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2021/02/1

総勢9名のキャピタリストが語る!学生向けVCスクール【Incubate Academy】潜入レポート

執筆者:

上原 晶

「次の産業を作っていく世代に向けて、VCの知見や想いを伝えたい」キャピタリストの想いから生まれたIncubate Academy

2020年12月14日〜18日に初開催された『Incubate Academy』は、大学生・大学院生を対象とした、「ベンチャーキャピタルとは何か?」を伝える講義形式のイベントです。学生からのVC業界の知名度は低く、VC業界への人材の流入はとても限定されています。Incubate Academyでは、これから社会に出ていく皆さんにも「大きな社会課題や産業課題を解決し、ゼロから次なる産業を創っていくという志」を持っていただきたい、そしていつかお仕事などでご一緒する日が来たら…という思いで、インキュベイトファンドがシードVCとして蓄積してきた経験や知識をお伝えしました。

Incubate Academyでは、新型コロナウイルス感染症の流行に伴う外出自粛を受けて、全ての選考プロセスをオンライン上で行いました。当日はコロナ感染対策を徹底し、マスクの着用や検温・消毒の徹底を行った上でオフラインで開催しました。

Incubate Academyには初開催にもかかわらず非常に多くの学生からの応募をいただき、公募の倍率は8倍を超えました。当日は、選考を突破した22名の大学生・大学院生にお集まりいただき、自由に発言や質問ができるインタラクティブな形式の講義を行いました。講義後には参加者同士でディスカッションを行う時間を設け、参加者同士の交流を促すとともに活発な意見交換が行われました。参加者の方々には5日間にわたって夕方以降の貴重な時間をいただきましたが、参加してよかったとの声を多数いただくことができ、またイベント終了後もコミュニティが活発に動き続けており、非常に有意義な会になったのではないかと思います。この記事では、そもそもIncubate Academyとは何なのか、目的は何なのか、そして全日参加した本記事の筆者目線での潜入レポートをお伝えします。

Incubate Academyの流れ

Incubate Academyは5日間にわたって開催され、インキュベイトファンドGP、パートナーファンドGPの総勢9名が、キャリアとしてのVCに関する情報、国内外VC・スタートアップの動向、過去の投資に関するケーススタディなど、様々な角度からVCについて学ぶ機会を提供いたしました。

日本のVCは欧米に比べて歴史が浅く数も少ないため、現役キャピタリストからベンチャーキャピタルについて体系的に学べるIncubate Academyのような機会はかなり貴重なものであるといえます。また、VCの考え方を理解することは起業時のアドバンテージにもなると考えられます。

日本の「失われた30年」は実はVCのせいなのではないか語る赤浦

GPの赤浦氏は言います。GAFAMなどインターネットの時代を牽引した企業の躍進の裏には、米国VCによるサポートがありました。こうした巨大企業が急成長を遂げた当時から米国VCでは非常に優秀で著名な個人が活躍していたのに対し、日本には個人のVCはほとんど存在せず、現在でも優秀な学生たちのキャリアの選択肢にVCはほとんど入っていません。今回のIncubate Academyのような取り組みを通して、日本の多くの優秀な学生がVC業界を知り、スタートアップの活躍を支えるVCの層が厚くなっていくことを期待しています。

 

潜入レポート

Day1 「国内VCのこれまでの歩みとこれからの展望」

1日目は、「国内VCのこれまでの歩みとこれからの展望」と題し、インキュベイトファンドGPの赤浦氏と村田氏による講義が行われました。村田はVCに関する知見の深さに定評があり、初日から VCの歴史についてかなり深ぼった内容の講義になりました。シリコンバレーはどのようにして生まれたのか、また日米の VC業界はそこからどのような軌跡を辿ってきたのかについて知られざる裏話のような部分までお話があり、初期のアップルやアマゾンなどとベンチャーキャピタリストの関係を例に挙げることでVCの重要性、そして社会に与えることのできるインパクトの可能性について知ることができました。

アメリカのVCと日本のVCの大きな違いは、個人がやっているか会社がやっているかです。個人が決定権を持つことで合議制よりもスピーディーな投資判断が可能になり、異動などの可能性もある会社型のVCよりも、起業家とキャピタリストがより強い覚悟と責任を持って並走することになります。日本にも独立系VCが増えていくことで、黒子であるVCがより強く裏から起業家を支え、起業家とはまた異なる形で経済を牽引する可能性を感じました。

Day2 「ベンチャーキャピタリストと起業家の関係性を紐解く」

2日目は、「ベンチャーキャピタリストと起業家の関係性を紐解く」と題し、ソーシング・事業立ち上げ・経営支援・Exitなどのフェーズごとのベンチャーキャピタリストと起業家の関係性について、ライフタイムベンチャーズ代表パートナーの木村氏とプライマルキャピタル代表パートナーの佐々木氏からお話をいただきました。

投資家と起業家という立場の違う者同士がどのように関わり合うのか、その実態について両氏に赤裸々に語って頂きました。起業家との知られざる秘話や普段語ることのない自身の投資哲学など、両氏の熱い想いを聞けました。立場の違う起業家と投資家が実際にはどのような関わり合い方をするのか気になっていたので満足したとの声も多かったようです。フラットな関係を築き、事業にフルコミットする起業家を信頼してサポートすることを心掛けているそうです。

Day3 「海外VC・スタートアップの動向」

3日目は、「シンガポール・インドの現場から見た、海外VC・スタートアップの動向」というテーマで、インキュベイトファンドの海外投資事業を統括されているGPの本間氏とIncubate Fund India代表パートナーの村上氏にお話いただきました。本間氏はシンガポールと日本を行き来しながら活動しており、今回はビデオ通話での参加となりました。村上氏は普段インドに滞在して活動されていますが、昨今の新型コロナウイルス感染症流行の情勢下で日本に帰国されており、Face-to-Faceでの貴重な機会となりました。

講義では、主に日米の投資環境の比較と、インドスタートアップの現状についてお話をいただきました。インド経済は高成長を続けている一方で、貧富の格差や医療体制、前時代的な農業の仕組みなど明確な社会問題が多数存在しています。大きな社会問題が存在していることはつまり大きなペインが存在し、事業機会がたくさんある状態であることとも言えます。また、政府主導でデジタルインフラの整備が進んでいる環境はスタートアップにとって大きなチャンスであり、海外VCからの資金流入優秀なエンジニア系人材の多さも起業に非常に適した条件です。ケーススタディとして、村上氏が実際にインドで生活している中で数年間のうちに普及したスタートアップのサービスを例に挙げてお話しいただき、インドの成長速度の速さを具体的にイメージすることができました。

Day4 「ベンチャーキャピタリストの実務」

4日目は、「ベンチャーキャピタリストの実務」というテーマで、インキュベイトファンドGPの和田氏が講義をしました。VCの実際の業務の流れについて、ファンド募集からソーシング、経営支援などの項目でかなり具体的なお話をいただきました。どのようにLPに対して訴求していくかについてや起業家をどのように評価しているかについて、一般的な話はもちろん、インキュベイトファンドや和田氏自身の考え方を詳しく聞くことができ、特VCのキャリアを現実的に考えている学生にとっては学びの多い回になりました。

Day5 「ベンチャーキャピタリストのキャリアパス」

最終日は、「VCのキャリアパス」ということで、インキュベイトファンドのアソシエイトから独立して現在1号ファンドを運営している、Full Commit Partners代表パートナーの山田氏とDRGファンド代表パートナーの日下部氏にお話いただきました。その道を歩んだ山田氏と日下部氏のお二人から、トラックレコードのない中でいかにLPや起業家に信頼されて数あるシードVCの中から選ばれるか、どういった特徴のファンドにしていきたいと考えているかなどについてお話いただきました。学生がVCとしてのキャリアを考えるにあたり、比較的年齢が近く現実的に想像しやすい体験談をお聞きできたのは大きなプラスになりました。また、同じくインキュベイトファンドから独立されたお二人でもファンドの作り方や方針に大きな違いがあり、同時に聞けたことは大変刺激的でした。

参加者からの声

参加者の方からの感想を一部ご紹介させていただきます。

・講義の内容に加え、振り返りや懇親会などで他の参加者との接点を持てたのが良かったです。優秀な方々が集まっていたのでとても刺激的でした。

・5日間、リアルにVC(しかも実際実務をしている方々から)について学べる機会、そして、VCに興味のある学生との繋がりを得ることができたこと自体が貴重な機会だったと思います。

・想像以上に濃い内容で満足できた。VCの方々が本当に面白いと思う内容を教えていただけてVCの醍醐味を感じられました。参加者同士とも仲良くなれて満足感が高かったです。

・自分以外のVCに強い興味を持っている多くの参加者が集まってたくさんのお話ができ、自分自身に不足しているものは何であったのか気づくことのできる機会の場でした。特に、普段は恥ずかしくて周りの友達とは話し合うことのできなかった夢の話も共有しフィードバックももらえたという点で大満足しました。

参加いただいたみなさま、ありがとうございました!

 

Incubate Academy 2期生を募集中!

今回開催したIncubate Academyは、参加学生のみなさんからも大変好評をいただき、3月上旬に第2回目の開催が決定しました!

Incubate Academy (9)

現在、3月8日〜12日の日程で開催予定のIncubate Academyの参加者を募集しております。興味がある方はお早め目にお申し込みください!

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上原 晶

寄稿者

慶應義塾大学商学部に在学中。ベンチャーキャピタル「インキュベイトファンド」のインターン生として、リサーチ業務などを担当しています。中国語を学習しており、中国スタートアップに興味があります。大学卒業後はベンチャーキャピタリストとして、起業家と伴走していきたいと考えています。

慶應義塾大学商学部に在学中。ベンチャーキャピタル「インキュベイトファンド」のインターン生として、リサーチ業務などを担当しています。中国語を学習しており、中国スタートアップに興味があります。大学卒業後はベンチャーキャピタリストとして、起業家と伴走していきたいと考えています。

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