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2021/05/28

忙殺される採用担当者に、未来の仲間と向き合う本来の仕事を。日本の採用課題を解決するThinkingsの挑戦

執筆者:

上原 晶

本来、企業の採用担当者は、経営計画を「人」というリソースを使って叶えていくための戦略を策定し、それらに資する人物を見極めることをミッションとしている。だが、実際には応募者管理やエージェントとの連絡、上司への報告といった雑務に追われている採用担当者が多く存在するという。

そんな日本の採用課題の解決に挑むHRテクノロジー企業が、Thinkingsだ。採用管理システム「sonar ATS」を使って採用業務の可視化と自動化をすることで、採用担当者が本来の業務に向き合うための時間を生み出そうとしている。

2021年2月10日に行われたオンラインイベント「投資家が語るThinkingsの魅力と期待~SONAR で日本の採用課題を解決する~」には、Thinkings株式会社 代表取締役社長 吉田崇氏と、インキュベイトファンド 代表パートナー 本間真彦が登壇。採用市場の課題を紐解きながら、Thinkingsが目指す理想の採用の形が語られた。

#プロフィール
吉田 崇氏(Thinkings株式会社 代表取締役社長)
2002年に早稲田大学政治経済学部を卒業後、在学中からインターンシップに参加していた人材コンサルティング会社へ入社。大手企業を中心に採用コンサルティングにて多数実績を残す。
2005年、双日株式会社へ入社。一貫してIT・モバイル関連ビジネスに携わる。日本および米国企業へのPrivate Equity投資、上場企業へのTOB等の投資実務多数。また投資先へ出向し、ITサービスの新規事業立ち上げ、マーケティング、営業を担当。2008年、米国駐在(サンノゼ)。
2013年、イグナイトアイ株式会社を設立し代表取締役に就任。2020年、Thinkings株式会社を設立し、 代表取締役に就任。

本間 真彦(インキュベイトファンド 代表パートナー)
慶應義塾大学卒業後、ジャフコの海外投資部門にて、シリコンバレーやイスラエルのIT企業への投資、JV設立、日本進出業務を行う。アクセンチュアのコーポレートデベロップメント及びベンチャーキャピタル部門に勤務。その後、三菱商事傘下のワークスキャピタルにてMonotaRO社等、創業投資からIPOを経験。2007年にベンチャーキャピタリストとして独立。ネット事業の創業投資に特化したファンド、コアピープルパートナーズを設立。10倍のファンドリターンを出す。2010年にインキュベイトファンド設立、代表パートナー就任。国内投資に加えて、シリコンバレー、インド、及び東南アジアの海外ファンドの統括も行う。

テクノロジーの力で採用担当者を煩雑な業務から解放する

吉田:みなさん、こんばんは。Thinkings代表取締役社長の吉田と申します。本日はイベントへのご参加、誠にありがとうございます。

はじめに、簡単に自己紹介をしますね。私は、大学在学中からインターシップに参加していた人材コンサルの会社に新卒で入社し、3年半ほど採用のコンサル業務に就いたあとに、総合商社の双日に転職をしました。シリコンバレーに駐在して、現地の最先端のテクノロジーを日本に展開するなど、8年間、ITの仕事に携わりました。それまで取り組んできた採用コンサルとITを組み合わせた新しいサービスを作ろうと、2013年に起業。今は、Thinkingsの代表取締役社長として、HR市場の課題にアプローチしたプロダクトを展開しています。今日は私たちのサービスの詳細はもちろん、HR市場の現状も本間さんと一緒に深掘りしていく予定です。よろしくお願いします。

本間:みなさん、こんばんは。インキュベイトファンド代表パートナーの本間と申します。私は、ずっとベンチャーキャピタルのバックグラウンドを歩んできました。2010年からインキュベイトファンドを共同設立して、これまでに直接投資は200社、間接投資も含めると350社に投資しています。日本はもちろん、アメリカのシリコンバレーやインド、東南アジア、ブラジルと、海外にも投資の幅を広げています。今回は、Thinkingsさんとのご縁をいただいてシリーズAの出資をしました。ここからThinkingsさんを急成長させていくフェーズですので、精一杯支援していきたいと思っております。よろしくお願いします。

吉田:本日は「Thinkingsの事業内容」「HRテクノロジー市場の現状と課題」「Thinkingsの魅力」の順で進めてまいります。
はじめに、私たちThinkingsの紹介をします。Thinkingsは、私が2013年に創業したイグナイトアイと、協力関係にあったインフォデックスが2020年に経営統合し、誕生した企業です。

私たちは、「採用の『解像度』を上げ、真のマッチングを実現する」というブランドビジョンを掲げ、採用フローを自動化する採用管理システムの開発と提供をしています。私たちのお客様である採用担当者の皆様は、応募者管理、求人管理、エージェントとの連絡や上司への報告に追われています。そのような状況では、採用候補者一人ひとりに向き合った採用は難しい。それゆえに、応募者への理解が不十分な状態で内定を出してしまい、入社後にミスマッチが浮き彫りになり、採用したメンバーが退職に至るケースも発生しています。

こういった状況を変え、全ての企業が一人ひとりの応募者に向き合うことができる世界を作りたいと考えています。

その世界を実現するために展開しているのが、「sonar ATS」と「SONAR Marketplace  (現 「sonar store」「sonarまとめてパックシリーズ」)」※です。

「sonar ATS」は、自社の採用業務を一元管理できるソフトウェアです。求人情報や応募者情報、スケジュールの管理などができるうえ、採用チャネルごとの効果測定や応募者へのリマインドなどを自動で行うことができます。煩雑な業務を効率化・自動化することにより、採用担当者が応募者一人ひとりと向き合える時間を増やしていくんです。

sonar ATSの活用イメージ

おかげさまで、ソフトバンク様やNTTデータ様、日産自動車様などの大企業をはじめとして、様々なお客様に導入いただいています。2021年1月には、累計導入社数が800社を突破しました。

「SONAR Marketplace」は、他社の採用管理システムを組み合わせ、あたかも一つのシステムのように集約できるサービスです。

採用は、求人媒体や採用メディア、適性検査、Web面接などさまざまなツールを活用します。そこで「SONAR Marketplace」では、「sonar ATS」で培ったデータをもとに、お客様の業種と相性のいいツールを選定してパッケージとしてご提案しています。それらを「sonar ATS」と組み合わせて使うことで、採用活動をシームレスに行えるようにしています。

この度、ThinkingsはシリーズAで9.5億円の資金調達をしました。今後、新たな仲間にもジョインしてもらい、事業をさらに加速していきたいと考えています。

求められる人材像が変化し、年々難易度が高まる採用活動

吉田:続いて「HRテクノロジーの現状と課題」についてお伝えしていきます。今、採用は難しさを増しています。昨今のデジタル化や様々な環境変化に伴い、企業の事業領域の幅が広がっているからです。かつては、企業の事業領域は、固定化されていました。しかし今は、テクノロジーの発展に伴い、変化のスピードが速くなり、多くの企業の事業が横断化してきています。これに伴い、企業が求める人材も多様化してきています。求職者側から見ても、どの企業に行けば自分の能力を存分に発揮できるのかを判断することが非常に難しい。今、自社がどんな人材を求めているのか、求人を通して外部にアピールしていくことがますます求められていると思います。

本間:たしかに、かなり難しくなっていますよね。海外の事例でいうと、テスラは電気自動車を開発しているイメージが根強いですが、家庭用エアコンへの参入にも意欲を示しているというニュースがありました。また、製薬会社のモデルナは、新型コロナワクチンの開発にあたって、コンピューターサイエンス人材を確保しています。遺伝子解析をするためには、高度なコンピューティング技術が必要だからです。

同時によく言われているのは人材の獲得競争の激化ですよね。企業が横断的に事業を展開し、求められる人材が多様化する中で、それに応えられるのはオールマイティな活躍が見込めるジェネラリストの超優秀人材です。しかし、全ての領域でハイパフォーマンスを発揮できるような人たちはごくわずか。しかも、現職で活躍をしているので、採用市場になかなか出てきません。そういった超希少人材に過度な期待を寄せるのではなく、事業を成長させるうえでどの能力に秀でた人材が自社に必要かを精査し、より明確に打ち出した求人を出していかなければいけません。

191097419_127828726081110_5944986596529185275_nThinkings代表取締役社長 吉田崇氏

吉田:本間さんは、企業にフィットする人材の応募を促すためには、何が必要だと思いますか?

本間:自社でしか出せない付加価値、すなわちビジョンを伝えていくことが重要だと思います。その重要度が増している割には、ビジョンをうまく伝えるチャネルを持っていなかったり、経営層の関与が少なかったりしていると感じています。

吉田:まさに同じような課題意識を私たちも持っています。採用は企業側の理念と、応募者側の想いの重なりが重要だと思うんですよね。ただ、欲しい人材を明確にして、そういった人たちに入社してもらうまでに、採用担当者には乗り越えなければいけないハードルが多すぎるんです。求人を出してから入社するまでの間をいかにスムーズにできるかが、HRテクノロジーの腕の見せどころだと思います。

本間:求める人材を採用するために駆使しなくてはならないツールが多すぎて、どのツールが目的に対して最適なのか、見極めが非常に難しくなっていますよね。だからこそ、それを評価してリコメンドしてくれるような「SONAR Marketplace」の機能は、採用担当者に非常に求められていると思います。

また、企業側のビジョンと応募者側の思いが重なることが理想のマッチングと言えるなら、会社や事業の方向性を理解しているマネジメントの人間と採用が直結しないといけないですよね。数年後にどういう組織の在り方があって、そのために今はどんな人材を探すべきなのかを逆算して考える必要がある。そこをすり合わせるためにも、経営層との連携は欠かせないですよね。

吉田:まさに、その通りだと思います。

新型コロナにより、採用現場のデータの可視化が加速

吉田:もともと採用の難易度が上がっていたのですが、追い打ちをかけたのが新型コロナウイルスですよね。採用市場の変化が、より複雑化したように感じます。

本間:そうですね。コロナ禍の1年間でDXが加速し、採用の現場も大きく変わりましたよね。選考はオンライン面接が当たり前になりましたし、リモートワークの普及に伴い、副業や分業が一般的になったことで、人材が流動化していると言えます。

インキュベイトファンド 代表パートナー 本間真彦

吉田:もともと仕事に追われていた採用担当者が、オンライン対応と転職希望者の増加でさらに疲弊している現状があります。DXが進むと、採用の現場においては、オンラインでの情報発信と情報収集が非常に大切です。企業が応募者に対面でアプローチすることは難しくなっているので、応募者が参考にするであろう企業の口コミ掲載サービスなどを採用担当者が把握し、採用候補者の懸念の払拭に活かしていくことが求められます。同時に欠かせないのが、採用のミスマッチを減らし、既存メンバーのエンゲージメントを高めること。良い口コミが蓄積されれば3年後、5年後の採用に効いてくるので、そのための種まきが大切になってきます。

また、コロナ不況により採用人数や予算が削減されているため、より採用候補者の厳選が必要です。そうした状況で、私が人材を見極めるために、今後より注目されると考えているサービスがいくつかあるんですよ。

本間:どんなサービスですか?

吉田:1つ目は前職の同僚や上司から採用候補者の情報を収集するリファレンスチェック系のサービスです。欧米では一般的なサービスですが、日本では広まっていませんでしたよね。ところが、ここ最近、注目度が高まってきています。オンラインサービスによって日本でも一般的になっていったら面白いと思っています。

2つ目は、オンラインの面接動画を解析するサービスです。動画解析によって相手の集中力や感情の動きを解析するようなサービスは営業の領域で既に出てきていますよね。採用のオンライン化によって各社に膨大な録画データが蓄積されつつあるので、同様に採用面接の精度もテクノロジーの力で高めていけると、さらに採用が進化するのではないかと思っています。

3つ目は、採用した人材の入社後の活躍をトラッキングして、5年後、10年後に本当に活躍しているのかをフィードバックして採用の精度を上げていくようなサービスです。今、HR系の管理ツールはかなり増えてきて、様々なデータが可視化されつつあります。蓄積されたデータを採用に活用できるようなシステムがあると、よりミスマッチが防げるのではないかと考えています。

オンライン化と厳選採用の必要性によって、このあたりはトレンドになると予測しているので、私たちもどういう会社と組んでいくのか、また自分たちでどういう機能を開発していくのかを検討していきたいです。

リソースはありつつも、成長の余地がまだまだある。Thinkingsは、今が一番面白い

本間:これまでの採用では、人材をたくさん募集しては採用するパワーゲーム的な側面が大きかった。しかし、本当に組織が強くなるためにはきめ細かい採用活動や採用管理のフロー設計が重要だと思います。採用自体ブラックボックスで不明瞭になりがちな部分なので、それらをデータを活用して可視化・プラットフォーム化しようというThinkingsの挑戦には非常に期待しています。また、シリーズAの段階で、大企業にも導入されている実力はやはり魅力的だと思います。

吉田:当社はこれまで、ほとんどスタートアップ界隈に顔を出していなくて、知名度もあまりないのですが(笑)、お客様と自社のプロダクトに真剣に向き合ってきたという自負はあります。日々ビジョンの実現に向けて邁進する誠実で熱意あるメンバーが集まっているので、私たちが描く世界や実力を評価いただけているのは嬉しいです。

本間:ThinkingsはHR市場をテクノロジーで変えていける会社だと思うので、日本の採用シーンをガラリと変えてくれることを期待しています。今はシリーズAで、メンバーは80人ですよね? これぐらいのサイズの会社は一番個人的に面白いと思っています。小さいベンチャーだと、いろいろなことにチャレンジできる一方で、リソースが少ないことも多い。上場目前の会社だとポジションが定まってしまっていることも多いんです。リソースはありつつも、まだまだやらなきゃいけないことはたくさんあるというThinkingsのフェーズは面白いと思いますよ。今後の成長にも期待したいですね。

吉田:ありがとうございます。私自身も本当に面白いフェーズだと思っています。上場を目指している途中ですが、事業統合に伴って人事制度も一新されたので、会社のサイズの割にポジションが空いているんです。お客様の採用を支援するのはもちろん、私たちも、自社の採用に力を注いでいきたいです。

経営企画や広報PR、新規事業担当やエンタープライズの営業も募集しています。カジュアルにでもお声がけいただけたら色々お話しできると思いますので、よろしくお願いします。

【Thinkings採用ページ】

【sonarブランドページ】

※「SONAR Marketplace」は「sonar store」「sonarまとめてパックシリーズ」へリニューアルしました。
 - 「sonar store」:sonar ATS管理画面内から、API連携している各種HRサービスを購買できます。今後更に購買可能なサービスを増やしていきます。
    - 「sonarまとめてパックシリーズ」:これまでの採用管理のノウハウをもとに最適なHRサービスを組み合わせたパッケージを、「sonarまとめてパックシリーズ」として販売していきます。

詳細はプレスリリースをご確認ください。
▶︎2021年5月24日 採用管理システム「SONAR ATS」を提供するThinkings、HRTech事業をブランドリニューアル 

 

上原 晶

寄稿者

慶應義塾大学商学部に在学中。ベンチャーキャピタル「インキュベイトファンド」のインターン生として、リサーチ業務などを担当しています。中国語を学習しており、中国スタートアップに興味があります。大学卒業後はベンチャーキャピタリストとして、起業家と伴走していきたいと考えています。

慶應義塾大学商学部に在学中。ベンチャーキャピタル「インキュベイトファンド」のインターン生として、リサーチ業務などを担当しています。中国語を学習しており、中国スタートアップに興味があります。大学卒業後はベンチャーキャピタリストとして、起業家と伴走していきたいと考えています。

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