目次
- 新しい事業モデルを”起業家と創る”、独立系VCを生み出す新卒制度
- 新卒1年目で「VCとして起業する」ことを決めた
- 日本版Sand Hill Road計画とインキュベイトファンドの進化
- 自分が存在したことで世界が変わったと思えるような仕事を
- インキュベイトファンドでは、26卒の新卒採用を実施しています
インキュベイトファンド(以下「IF」)では、「日本に、創業間もない段階から一貫して投資・経営支援ができるジェネラル・パートナー(以下「GP」)を増やす」という思いの元、ベンチャーキャピタル業界としては初めて、独立を前提とした新卒採用を行っている。2021年に入社した4名の新卒1期生を皮切りに一貫して新卒採用を続けており、2024年には4名の4期生が入社した。新卒採用の現場において、「新卒でベンチャーキャピタルに入社する」という選択肢が徐々に浸透してきたものの、その実態については明らかになっていない部分が多い。
今回はIFの代表パートナー赤浦に、新卒採用にかける現在の思いを聞いた。
代表パートナー 赤浦徹 略歴
ジャフコにて8年半投資部門に在籍し前線での投資育成業務に従事。 1999年にベンチャーキャピタル事業を独立開業。以来一貫して創業期に特化した投資育成事業を行う。 2013年7月より一般社団法人日本ベンチャーキャピタル協会理事。2015年7月より常務理事、2017年7月より副会長、2019年7月より会長、2023年7月より特別顧問就任。「日本で最も影響力のあるベンチャー投資家ランキング」2024年版で1位。
新しい事業モデルを”起業家と創る”、独立系VCを生み出す新卒制度
──今年度は新卒採用4期生が入社しましたが、現時点ではどのような印象をお持ちでしょうか。
赤浦:新卒採用を始めて良かったと思っています。一方で、自分を信じてくれた人たちに、約束した環境や経験を提供できているのか、チャンスを作ってあげられているのかということは気にしています。僕が期待していた以上に、皆が全力でチャレンジしてくれているからこそ、その気持ちに我々も応えていきたいですし、プレイヤーとしても更に引っ張っていきたい。 仲間が増えて、緊張感が増して「組織としてもっと強くならなければ」という責任感も増しました。新卒からパートナー陣に新しい気づきを与えられることもあり、まだ道半ばではありますが、新卒を始めてよかったですね。
──IFが新卒採用を始めた当初、VC業界での新卒採用は限定的でした。踏み切られた背景について教えていただけますか?
赤浦:ベンチャーキャピタリストはさまざまなスキルが必要な仕事です。他の企業などでスキルを身につけてからやるべきなのか、キャリアの最初からVCとして経験していくべきなのかという点から考えた際に、僕自身は新卒からずっとVCだったし、僕だけでなくパートナーの内4人(赤浦・本間・和田・村田)は全員新卒VCなんですね。人脈と経験がベンチャーキャピタルの大きな要素なので、早くから多くを見て経験を積んだ方がいいし、より多くの人脈と仲間を作った方がいい。自分自身の経験から、早くからベンチャーキャピタルの世界に入った方がいいんじゃないかと思い、新卒採用を実施しました。
──新卒の育成体制はどのように構築されたのですか。
赤浦:育成体制はゼロから皆で形にしてきました。まだ発展途上ですが、2021年3月にポール・マクナーニがGPとして仲間に加わり、彼はマッキンゼーでコンサルタントの能力構築プログラムの設計や実行を担当していた人物でもあります。今までIFになかった新しい武器を得ることができたこともあり、能力開発の面でも、新卒の人たちにとってバリューを提供することができているんじゃないかなとは思います。
──新卒メンバーはVCとしての独立を目指します。中途入社者の方で、IFからVCとして独立した方も増えてきました。
赤浦:IFから独立した人は全員成功するんじゃないかなと思ってます(笑)。既に手応えはあるものの、「成功」とは、どこまで行ったらゴールというものでもないので、領域の広がりや規模の面でいっても、もっともっと上を目指せるとも思っています。実際、初号ファンドがうまくいって2号、3号ファンドを組成しているキャピタリストも複数名います。業界内の評判としても嬉しいフィードバックをいただくことも増えて、ありがたいです。
──独立系VCを世の中に多く輩出していくことで、日本はどのように変わっていくと期待されていますか?
赤浦:日本はこれまで会社型(組織型)のVCが中心でしたが、米国と同じくパートナーシップ型の独立系VCが増えてきました。独立系VCは、合議制ではなく投資決定権を持つGPが投資の意思決定をするため、スピーディに大胆な挑戦ができます。我々は特に創業期から起業家と事業を創る文化があるため、世の中に既存の事業モデルにはない新しい会社をたくさん輩出していくことができますし、そのことが日本のビジネス環境が変革される一翼を担うことにもなると考えています。
新卒1年目で「VCとして起業する」ことを決めた
──赤浦さんご自身のことについてもお聞かせください。赤浦さんの新卒時代は、どのような環境でしたか。
赤浦:私が入社した会社は同期だけで52人いて、実は新卒でVCになる人は多かったんです。ただ、いま思えば、「ベンチャーキャピタリスト」の職種ではなく、「ベンチャーキャピタル会社の営業」ですね。儲かっている企業のリストを貰って、リスト片手に飛び込み営業で1件1件回るんです、ビルの下から。それをひたすらやり続ける仕事だったんで、今の「ベンチャーキャピタリスト」の印象とは違いますよね。
──赤浦さんご自身は、新卒VCというキャリアをどのような理由で選択されたのでしょうか。
赤浦:あんまり面白い話じゃないんですけど、単純に「起業したい」と思ってたんです。30年以上前なので、周りに同年代の若い社長はいないし、どうしたら起業できるか見当もつかない。既に社長をやっている人に会える仕事、ということでVCに興味を持ちました。コンサルとか銀行とか証券というよりは、投資の場合はもっとリアルにお金が絡んでくるため、生々しく実態がわかるんじゃないかと思ってVCを選んだんです。将来起業しようと思って入ったVCでしたが、その1年目で「自分はVCで起業しよう」と決めて、そこから計画を立てて独立したというのが僕の独立までの経緯ですね。
──新卒で入社されてから、1年で独立を決心したというのはすごいスピード感です。
赤浦:もともと起業したいと思ってましたが、具体的にどの分野で起業するかは決めてなかったんです。VCの仕事を始めてから、アメリカのVCについても知っていく中で、VCの本場はアメリカであり、アメリカは全部パートナーシップ制のベンチャーキャピタルであるということを知りました。一方、日本は会社がファンドを運用している。これはすごい違いだなと思いました。じゃあ、僕は個人のベンチャーキャピタルとして独立しようと決めました。いいとか悪いとか、正しいとか正しくないとかじゃなくて「決めた」という感じです。意を決してとか悩むことなく決断した、というより、私としては自然な流れで決めた感じですね。
日本版Sand Hill Road計画とインキュベイトファンドの進化
──2023年の10月にオフィスを麻布台ヒルズに移転しました。
赤浦:7年前に「日本にVCの集積地を作ろう」ということで、赤坂アークヒルズに複数のVCで集まって入居しました。日本のVC業界を更に盛り上げていこうと、発展拡大版として、この秋に麻布台ヒルズに移転しました。アメリカにはSand Hill Road(サンドヒルロード)と呼ばれるVC集積地となっている地域があるんですが、日本はアメリカに比べればまだまだ独立系のベンチャーキャピタルの層が薄いので、より強固にしていくために日本のSand Hill RoadたるVC集積地を作ろうと。森ビルさんもこの構想に賛同してくださり、麻布台ヒルズの桜田通りの一番目立つ場所に「Tokyo Venture Capital Hub」を作らせてもらえたという経緯です。
「日本版Sand Hill計画」として、ここ麻布台ヒルズには現在10社以上のベンチャーキャピタルが集まっていて、今後70社まで拡大していく計画です。桜田通り沿いの虎ノ門ヒルズにはジャフコやWiL、また中小機構も入居しており、日本経済界におけるVCの存在感というのを一段と増していけると考えています。
──IFの進化について、今後どのような構想をもっておられますか?
赤浦:ベンチャーキャピタル以上の何かになり、産業をしっかり作り上げるチャレンジをやり続けたいと思っています。社内では「More than a VC」「Build Industries」という言葉を使っていますが、いま世の中で認識されているVC以上の存在になり、お金を集めつつ起業家と出会い、新しい事業をゼロから作り上げ、「産業を創出したい」という思いです。今後はグローバルを見据えて、日本だけでなく世界が変わるようなサービスを生み出すことに挑戦し続けたいと思っていますが、我々はこの方向でこれからも愚直にやり続けます。
自分が存在したことで世界が変わったと思えるような仕事を
──新卒からVCを目指すにあたって、どのような人がVCに向いていますか。
赤浦:チャレンジ精神のある人です。よく、起業家と投資家は分けて語られがちですが、僕自身は自分を起業家だと思っているんですよ。もちろん投資家でもあるんだけど、本質的には起業家だと思っています。自分はベンチャーキャピタル事業をゼロから立ち上げて、そしてゼロからの事業立ち上げに投資をしているVCで、本当に起業家との違いはほとんどないと思っています。「起業家と投資家、どっちを選びますか?」ではなく、どちらでもいいけど、世の中に自分がいなければ生まれていない、生まれてこないというようなものを作り出すチャレンジこそが好きという人が向いてると思います。できるかできないかを考えて、できそうだから何々してみようというよりは、まずやってみようという勢いのある人が良いと思います。新卒においても、何かの専門性があるとか、何かを経験してきているから向いてるということではなくて、何かに向かってチャレンジをするということ、それが好きな人というか、チャレンジ精神のある人が向いていると思います。
──最後に、IFに関心を持っている26卒の方に向けて一言お願いします。
赤浦:世界の中での日本の存在感をもっと増していきたいし、自分が存在したことで世界が変わったと思えるような人生にしたい。そんなことを本気で思える職種ってあんまりないと思うんですけど、でも僕は本当にチャレンジし続けていて、おこがましくも諦める必要性は全くないなと思ってるんですよ。きっと日本はこれから変わっていくだろうし、僕も少しは変えられるかもしれない、そしてこの先もっと変えられるような気がしています。そんな風に思える仕事なんです。
IFはベンチャーキャピタルだけど、世の中で一般的に言われているベンチャーキャピタルと、IFは違うと思ってるんです。ゼロから自分がいなきゃ生まれていないというものを創る、それをやるのがIFなので、そういうチャレンジをしたい人に、是非興味をもってもらえたらなと思います。
インキュベイトファンドでは、26卒の新卒採用を実施しています
IFでは、次世代のイノベーションの創出に取り組める人材の育成に向けて、「ベンチャーキャピタルとして独立」を目指した26卒向け新卒社員の採用を開始したことをお知らせいたします。説明会を実施しておりますので、ご興味のある方はぜひご参加ください。
説明会エントリーフォームは🔗こちら
説明会の詳細・申込み方法や、26卒学生の方向けのイベントなどについては下記のページをご覧ください。
🔗インキュベイトファンド、26新卒採用募集開始