スタートアップ資金調達の基礎Vol.7 選ばれるピッチ資料の作り方をテンプレートを使って徹底解説!
資金調達
学びコンテンツ
2020/07/29
Media
2020/12/24
執筆者:
上原 晶
国内初の創薬型の農薬スタートアップである株式会社アグロデザイン・スタジオは、農薬の安全性を高め、消費者に安全安心な食品を提供するための研究開発を行っています。農薬産業は、スタートアップの領域としては完全なブルーオーシャンである一方、技術的・法規制的に非常に高い参入障壁が存在するため、株式会社アグロデザイン・スタジオの今後の展開には注目です。
創業期のスタートアップに競争力を有する独立系ベンチャーキャピタル、インキュベイトファンド株式会社。起業家にとって「最初かつ最大の応援団」たるべく、ジェネラル・パートナー個人の独立性と長期的視座を保ち、積極的な経営参画と多面的な支援を信条として投資支援を行っています。
今回の対談には、創薬型農薬スタートアップとしては国内で初めてVCから出資を受けた株式会社アグロデザイン・スタジオの創業者、西ヶ谷有輝氏と、同社にシードラウンドで投資をしたインキュベイトファンド株式会社の村田祐介氏が共に登壇。「なぜアグロデザイン・スタジオに投資決定したか」「なぜインキュベイトファンドから出資を受けたか」「投資を受けるまでのプロセスや当時の思い」など、実例に基づいてお話しいただきました。
またモデレーターとして、つくば市スタートアップ推進監の高瀬章充氏にご参加いただき、パネルディスカッションを行いました。
本記事は、2020年11月に開催したオンラインイベント「国内初の創薬型の農薬スタートアップと、同社に創業投資をしたVCの対談〜 “Zero to Impact” with アグロデザイン・スタジオ x Incubate Fund〜」を記事化したものになります。
プロフィール
西ヶ谷 有輝 氏(株式会社アクロデザイン・スタジオ 代表取締役社長)
博士(生命科学)、研究の専門は構造生物学と創薬科学。東京大学大学院にて農薬の研究開発で博士号を取得。その後、(国研)農研機構にて研究開発を継続。自らの研究成果を社会実装するため、起業を決意。東京大学の起業家養成プログラムで起業の方法を学び、2018年3月に株式会社アグロデザイン・スタジオを起業。2020年に国内農薬スタートアップ初となるベンチャーキャピタルからシードラウンドの資金調達(1億円)を達成。大型の公的助成金にも複数採択され、農薬の研究開発を推進中。防除対象生物のみが持つタンパク質に作用する化合物の創出によって、安全安心な農薬の普及を目指す。
村田 祐介 (インキュベイトファンド株式会社 代表パートナー)
2003年にエヌ・アイ・エフベンチャーズ株式会社(現:大和企業投資株式会社)入社。主にネット系スタートアップの投資業務及びファンド組成管理業務に従事。2010年にインキュベイトファンド設立、代表パートナー就任。2015年より一般社団法人日本ベンチャーキャピタル協会企画部長を兼務。その他ファンドエコシステム委員会委員長やLPリレーション部会部会長等を歴任。Forbes Japan「JAPAN's MIDAS LIST(日本で最も影響力のあるベンチャー投資家ランキングBEST10)」2017年第1位受賞。
清水 夕稀 (インキュベイトファンド株式会社)
2014年、株式会社ビズリーチに新卒一期生として入社。企業の採用活動支援や、ヘッドハンター向けのロイヤリティマーケティング、コミュニティマネジメントに従事。2017年11月インキュベイトファンド入社。起業家、応援者などスタートアップを取り巻くエコシステム全体のコミュニティ構築に従事。早稲田大学文化構想学部卒。
高瀬 章充 氏(つくば市スタートアップ推進監)
福岡県生まれ。久留米工業高等専門学校卒業後、筑波大学理工学群に編入学。2011年に筑波大学大学院システム情報工学研究科在学中にアプリ分析サービスApp Apeを提供するフラー株式会社を共同創業。2015年に株式会社空の創業者兼最高経営責任者。2018年よりつくば市役所に新設された「スタートアップ推進室」の推進監に就任。スタートアップ戦略策定、スタートアップエコシステム拠点形成に従事。
高瀬:まずは、本日の登壇者の紹介をさせていただきます。アグロデザイン・スタジオ代表の西ヶ谷さん、インキュベイトファンド代表パートナーの村田さん、インキュベイトファンドコミュニティーマネージャー/PRの清水さんにご登壇いただいております。そして私、つくば市役所スタートアップ推進室、高瀬と申します。
西ヶ谷さんが創業された国内初の創薬型農薬スタートアップのアグロデザイン・スタジオは、昨年の年末に1億円の資金調達を実施しました。そこに複数の出資者が出資しているんですけれども、その中の1社であるインキュベイトファンドさんに繋がりがある方々が集まっての対談になります。
現在つくば市はスタートアップ支援を行っていますが、インターネットサービスのスタートアップよりも大学や国の機関での研究内容を社会実装していくという形のディープテックスタートアップが多い状況です。しかし、この業界は非常に専門性が高いので、インキュベイトファンドのように出資をしている方もいらっしゃいますが、投資家の方々もまだまだ参入できていない方々も多い状態で、起業家が資金調達に苦労している状況が続いております。
かなり難しい分野でチャレンジしている西ヶ谷さんと、そこに投資をしようと考えたインキュベイトファンドさんから、資金調達に至った経緯や出資後の伴走について詳しくお聞きできればと思っております。
高瀬:まずはインキュベイトファンドの村田さんから、ファンドの説明や、そもそもインキュベイトファンドってどんなことをされているのかという風なお話をいただきたいと思います。それでは村田さん、よろしくお願い致します。
村田:インキュベイトファンドの村田と申します。我々は今年10周年を迎えたベンチャーキャピタルファンドになります。“First Round, Lead Position” を掲げて創業期のスタートアップのみに投資をするというベンチャーキャピタルでして、累計約620億円規模のファンドを介してこれまでの10年間で400社以上のスタートアップを支援してきました。
伴走者というキーワードを使うことが多いんですが、会社を見つけてきて投資をするというよりも、起業家を見つけてきて一緒に立ち上げていくスタイルで主にやっております。起業前の創業者とスタートするケースと、あるいはスタートしたばかりのスタートアップを投資対象としています。
インキュベイトファンドは、GP赤浦、本間、和田、村田の4人でスタートしたベンチャーキャピタルです。日本に加えて東南アジアのシンガポールの拠点とインドのバンカロールとU.Sのシリコンバレーにも拠点がございまして、グローバルでも投資を積極的に行っております。
私の自己紹介を簡単に申し上げますと、VCとしてのキャリアは今年で18年目の人間なんですが、その前は1999年前に自分でスタートアップを自分で起こしたという経緯があります。その会社は失敗したんですが、失敗を取り戻そうとしてVCで修業した後に起業しようと思ったら、自分がVCに完全にハマってしまってVCを立ち上げることになりました。もともとエンジニア出身ということもあり、テクノロジードリブンな会社に出資するということをひたすらやっています。日本ベンチャーキャピタル協会で、業界全体の情報発信や、政府とコミュニケーションして新しくスタートアップに適したルールや仕組みを作るなどの動きもさせていただいています。
ファンドの投資戦略としては、スタートアップがまだ何もないコンセプト状態というステージから支援を開始しまして、これまで創業してからこの10年間、全てこのプレシードステージから投資をしてきております。10年前に立ち上げた1号ファンドと8年前に立ち上げた2号ファンドに関しては一番最初の資金のみを提供する機能でしたが、3号ファンド・4号ファンドから規模が大きくなり、追加投資もできるようになってきました。2020年の7月に運用開始を致しました250億円のファンドからは、Day1からの出資に加えて継続的に出資していくというスタイルで運用しております。
重点投資領域としては、デジタルトランスフォーメーション(DX)、今日のテーマであるディープテック、そしてパブリックセクター、この3つをテーマにしています。西ヶ谷さんのアプローチもDXの切り口の一つだと思っていますが、DXは産業構造をデジタルの力、テクノロジーの力を使って一気に変えていくという、最近世の中で多く使われるようになってきたキーワードです。DXは元々得意分野ということもありまして、BtoBサービスやマーケットプレイス型のスタートアップは一つの重要な投資テーマとしています。
ディープテックに関して研究開発型のスタートアップに対する支援を5年くらい前から強化しており、投資の割合としてはかなり現状では大きくなってきています。テクノロジーの力で全く新しいマーケットを作っていくようなスタートアップに対して、ゼロから支援していくということをやっております。
パブリックセクターに関しては、特に最近このコロナの環境下でデジタルトランスフォーメーションを政府自身がやっていくこと、行政・公共サービスにDXが必要だという議論が非常に活発になってきましたが、こういった領域も積極的に投資をしているというところになります。全体感としては社会課題解決型スタートアップに対する支援が非常に増えているのかなと考えています。
村田:10年前にファンドをスタートした頃からネットベンチャーの支援は強みのある領域でした。そして5年くらい前から、ネットベンチャーとR&Dの会社の掛け合わせと言いますか、コンピューターサイエンスが果たす役割が研究開発に強い会社がデジタルトランスフォーメーションを仕掛ける装置そのものになっていくということを考えておりまして、研究開発型の会社に積極的に投資をしようという判断を致しました。
つくば市の出資先スタートアップとしては、Pixie Dust Technologies,Inc.(PXDT)が代表的な先です。筑波大学の准教授を現在も務めている落合陽一さん、メディアにもたくさん出ている方でもありますが、彼がまだ東京大学の学生だった時にたまたま共通の知人から紹介を受けて一緒に会社をやろうということになったという経緯の出資先です。事業内容は波動制御技術の研究開発で、超音波に音と光と電場と磁場をそれぞれ乗せていくと、人間の五感のうち視覚、聴覚、触覚、この3感覚が拡張できるであろうということで、未知の人類の体験を作っていこうという目論見で超音波の研究をやっていたチームが、設立した会社となってます。
PXDTの会社としてのスタートは5年前くらいになるのですが、非常にグロースしておりまして、昨年大型の資金調達を決め、これまで50億円以上の資金調達を実施しています。筑波大学との関係性が深く、落合さんが代表であるだけではなく、筑波大学に蓄積されている落合研究室が関わっている知財をPXDTが利用できる代わりにPXDTが発行する新株や株券を大学が予約承継するという取り組みを内閣からの支援を受けてスタートさせた事例があります。この取り組みは大学発ベンチャーを立ち上げるためにアメリカのスタンフォード大学で行われているギャップファンドようなもので、日本では初めての取り組みになります。PXDTは研究室で生まれた技術をカーブアウトさせる代わりに大学にエクイティを持ってもらって、うまくいったら大学がキャピタルゲインで回収できる、というモデルをトライした会社でもあって、このモデルが非常に注目されていろんな大学発ベンチャーでこの方式が使われ始めています。
ispaceはメディア露出も増えてきているのでご存知の方も多いかもしれませんが、宇宙ベンチャーです。月面の探査をするための探査機、ローバーという月面を走らせる車ですね、これと月面に着陸するための着陸船を作っている会社です。SFに出てくるような世界になってくるんですが、再来年に月に行くプロジェクトが今走っていまして、そこに向けて着々と準備をしているところになります。シリーズAの資金調達のタイミングで100億円以上集めたということで話題になった会社でもありますが、創業から伴走している支援先です。
AIメディカルサービスという投資先は内視鏡AIを研究開発しているスタートアップで、世界で初となるAI投載型の内視鏡の医療機器ソフトウェアを開発しています。昨年シリーズBの資金調達ラウンドで約46億円調達したことで話題になった会社でもありますが、創業前から支援し続けています。
Gateboxは、ホログラム投影技術と各種センサを活用して、専用デバイスに表示されるデジタルキャラクターとリアルなコミュニケーションを楽しめるプロダクトを作っている会社です。ここはシードから支援させてもらっていて、3年くらい前にLINEに買収されました。
それからEmbodyMeというのが非常に変わった会社なんですが、人工知能を用いて動画の中の人の顔と自分の顔をリアルタイムで入れ替えることができるプロダクトを作ったりしています。
SyntheticGestaltという会社は、創薬の中でもAI創薬に取り組んでいる会社です。ドラッグディスカバリーのプロセスを、全てドライプロセスと言ってコンピューターサイエンスで解決することにトライしています。
Ax Robotixというスタートアップは、AIとIoTを組み合わせてその人の寝相に応じた形になるベットを研究開発している会社で、他にも机や椅子をIoT化することでユーザーのパフォーマンス向上に貢献します。
Pale Blueというのは最近いろんなメディアで取り上げられたところでもありますが、今年できたばかりの東大発ベンチャーで、超小型衛星搭載用の推進機・を作っている研究開発型の会社です。
ざっと支援先のディープテック領域のスタートアップについてお話しましたが、特定の分野に限らずニーズとシーズ両方ともしっかり兼ね備えて、それらに沿ったファウンダーの組み合わせを見出しています。会社を創るタイミングもしくは走り出したばかりのタイミングで資金を提供させてもらって、チーム作りと事業のグロースに関する仮説を検証していくプロセスに伴走したり、資金調達をリードしていくみたいな活動をしています。
高瀬:今、村田さんに紹介いただいたディープテックの領域のスタートアップの中でも、筑波大の落合さんのPXDTがつくばでも有名な会社さんになっています。落合さんが代表取締役社長ですが、代表取締役COOの村上泰一郎さんという方がいらっしゃいますよね。私が聞いた話ですと、この引き合わせに村田さんも関わられている話を聞いたんですけども、その辺りのお話伺ってもよろしいですか。
村田:PXDT創業当時、東大の学生だった落合さんが筑波大学に赴任することが決まったタイミングだったので、逆にアカデミアに籍を置きながらプロダクトを作ってみることからスタートしました。当時は落合さんと共同創業者の星さん、この2人と僕だけのメンバーで回していて、2人の役割は研究開発でそれ以外の仕事は全て私が巻き取るという形でスタートしました。
プロダクトがある程度形になったタイミングで、もっと会社をスケールさせたいと落合さんが言ってくれたので、じゃあチーム作ろうということで、アクセンチュアのエースクラスだった村上さんをCOOとして口説いたり、当時ペプチドリームのCFOだった関根さんを引き抜いたり、Google日本法人の創業メンバーをチームに引き込んだりと、かなり力を入れて採用活動に取り組みました。大型の資金調達をする手前の段階で、スケールするための組織作りにしっかりコミットして、私自身が口説いていくというチーム作りの仕方をした事例でもあります。
高瀬:実は2年目のつくば市のアクセラレーションイベントのデモデイで村上さんにご登壇いただいて、先ほどの波動技術(音波を使って物を浮かせたりする技術)の説明を分かりやすくしていただいたんです。こういった経営チームを作る上で、投資家がそこをサポートしてくれるというのは本当に凄いことだなあと見てまして。
申し遅れましたが、実は私も市役所で働く前に自分の会社を経営しておりまして。何が大変かといいますと、やはりメンバー集めなんですよね。特に研究開発系ですと、西ヶ谷さんのようにいろんな研究所で働いてきて研究の経歴を持っている人材はいるんだけれども、そことタッグを組んで会社を大きくするにはまた違った人の力が必要になってきます。そういう時に投資家の立場で、人を引っ張ってくれるVCさんの村田さんのような人が活躍してくれるのは非常にありがたいことだと思います。
村田:ここ10年、アメリカでは経済そのものをスタートアップが作ってきたと高く評価されており、同時にベンチャーキャピタルもものすごく進化してきています。チーム作りだけではなくエンジニアリングだったりデザインだったりコーポレート機能だったり、資本政策そのものを伴走者が主体となってやっていくみたいなことをやっているベンチャーキャピタルも出てきていて、我々にとっても刺激になっています。直接アメリカのVCの話を聞きながら日本の僕らはVCとしてどこまでのバリューアップを可能にできるのかと、チームを強化してようやく可能になってきたという感じです。
高瀬:ありがとうございます。ただお金を投資するだけではなく様々な機能を持って伴走していくことによって、ファンドとしての成功確率が高まりますし、成功するスタートアップがさらに増えていくのではないかと思います。日本はまだアメリカのように経済の中心をスタートアップが担うようなところまではいっていないですけれども、その可能性が見えてくるなあと感じさせられました。
高瀬:それでは、ここまで投資の話やチーム作りの話が多かったですが、西ヶ谷さんが行っている研究や、作ろうとしているプロダクトがどういうものなのかというお話を是非お聞かせもらえればと思います。お願い致します。
西ヶ谷:アグロデザイン・スタジオは約2年半前の2018年3月にできた会社です。社名は、農薬の英語名であるアグロケミカルをデザインする会社という意味です。さらに農薬はイメージがあまり良くないので、農薬会社らしくないデザイン会社のような名前にしようということで、スタジオと付けました。
昨今は、有機栽培や無農薬栽培への注目度が高まっているのですが、実際には国内で無農薬栽培はたった0.2%の土地でしか行われていません。ほとんどの農地では、農薬を使った栽培が行われています。そのため当社は、99.8%の栽培に使われる農薬をより安全にするというビジョンを掲げております。
特に農薬の安全性は、ここ数年の農薬業界での大きなトピックとなっております。2年前にジョンソンショックと呼ばれる事件が起きたからです。末期がん患者のジョンソンさんという方が、「自分の癌の原因は世界で一番売れているグリホサート系の除草剤だ」と、その農薬を開発した会社を訴えて、約320億円の賠償命令が出たのです。その後、同様な訴えが相次ぎ、最終的に原告団は12万人に対して約1兆2000億円を支払うということで和解が成立しました。この事件を受けて、欧州の一部の国ではグリホサート系除草剤が販売禁止になりました。
さらにネオニコ系の殺虫剤もミツバチの大量死を引き起こすという声が上がり、欧州で禁止になりつつあります。他にも古くて比較的危険な農薬が次々に使用禁止になってきております。農薬の世界市場は6兆円程度ですが、1兆円強の市場が失われつつあるという状況になっています。この空いた1兆円市場に安全な新薬を投入したいと考えております。
ただ、気を付けなければならないこは、これらベストセラー農薬の発売時期はどれも数十年前ですが、最近になって次々に禁止になっていることです。つまり、爆弾を抱えたままずっと売られ続けていたわけです。なぜこのようなことになったかというと、農薬の開発方法、創薬法に問題があったというわけなんです。
今までのやり方というのは、ぶっかけ探索法というやり方です。農薬会社は化学メーカーの一部門であることが多いので、合成が得意です。まず、いろんな種類の化合物を合成して、それを害虫、雑草、植物病原菌等に添加、つまり『ぶっかけ』て死ぬかどうかを見ます。非常に効果が分かりやすい良い方法です。ただ、この方法ではなぜ効いてるかという作用機序はわかりません。これでは、人に対する安全性が担保できないのです。そのため、この方法はこれから使いにくくなると言われています。だからこそ、農薬の開発方法にもイノベーションが必要なのですが、農薬業界もそう簡単にイノベーションできない状況にあります。
西ヶ谷:農薬業界と医薬業界を比較しますと、どちらも法的なレギュレーションがかかるという意味で非常に似ておりますが、医薬の方は新薬の6割から7割をスタートアップが開発して、それを大手が買い取って製造販売をするという流れができています。つまり画期的な新薬の多くはスタートアップ発なのです。一方で農薬業界はスタートアップがほとんど存在しない業界です。国内では農薬スタートアップと言われるのは弊社ともう1社くらいだと思います。海外を見ましても、ほとんど存在しない状況です。ここから弊社が成功することによって、農薬業界にも新しいイノベーションを起こしたいと考えています。
実際に農薬の規模は、医薬にくらべて市場規模も開発コストも売上げもおおよそ1/20です。つまり国内に医薬スタートアップは200社~250社程度あると言われていますので、その1/20の10社くらいは農薬スタートアップがあってもおかしく規模です。そのため、うまくいけば非常に大きなシェアを獲得できると考えております。
とは言いましても、既存の農薬会社と同じようにやっていてはダメです。農薬会社は典型的なオールド産業、いわゆる製造業でもありますが、これを情報産業に変えなければなりません。医薬業界の方たちは、自分たちは製造業じゃなくて情報産業だと言っています。変えるためには、今までのような運任せの創薬の方法からITなども活用した理論的なデザインに変えていかなければなりません。とは言いましても、AIやビックデータを使えば良いとかいう単純なものではなくて、実験も含めた研究開発コンセプト自体を新しいものにする必要があります。
西ヶ谷:弊社のコンセプトは、実は新しい考えではありません。半世紀以上前に出版されたレイチェル・カーソンの『沈黙の春』という本をご存知の方も多いかと思います。この本は、農薬の危険性を訴えた本だと思っている方が多いのですが、実際にはこんなことも言っております。「選択的な薬剤ができれば、環境に安全な農薬になるでしょう」と。ここで言う選択的というのは、特定の害虫、例えばアブラムシだけにしか効かないとかカメムシだけにしか効かない、そういうものを指します。この本が出版された1960年代では、選択的薬剤を作れる技術は無かったのですが、今の医薬品開発技術やバイオロジーの発達を考えると、十分できる技術はあるわけです。
しかし、2年ほど前は農薬メーカーの研究者の方と話していたら「いわゆる選択的な農薬はビジネス上のリスクが非常に高いので、研究としてやる必要があるのはわかっているのだけれど、なかなか上は手を出そうとはしないんです」ということを言っていました。特定の害虫にしか効かないということは、販売額が狭まってしまう、それにも関わらず作るのは難しくなると。そこで、アカデミアの研究者であった私のような人間がリスクをとって基礎研究を行い、それをスタートアップとして実用化するという、まさに必要とされているところをやっています。
実際に弊社の創農薬方法について殺虫剤を例にご説明します。まず、害虫と人と益虫であり殺してはいけないミツバチのゲノムを比較しまして、その中で害虫にしかない遺伝子を発見します。次に、その遺伝子をもとにつくられた酵素のデータを取得いたします。例えば生化学実験やX線結晶構造解析を行います。つくば市内にある高エネルギー加速器研究機構の放射光施設なども使ってデータを取ります。
最終的にはそのデータを使ったコンピューターシミュレーションなども活用して薬剤を設計します。コンピュータを使った薬剤の設計というのは医薬の方で非常に発達してますので、その医薬のソフトウェアに適応可能なデータを取るというところで、弊社は工夫しているわけです。このバイオ実験に関しては大学や農研機構のようなアカデミアも得意ですので、複数の共同研究もしております。このような創り方で今のところ、6パイプライン(創薬プロジェクト)を回しております。
6つのパイプラインの中で、殺虫剤と硝化抑制剤は、ある程度効くものができております。殺虫剤は、農業被害の大きい蛾やチョウの仲間の幼虫だけをうまく叩くような薬剤を開発しております。硝化抑制剤は、土の中にいる肥料を栄養源として食べてしまう細菌を殺菌する薬剤です。実は半分くらいの肥料はこの菌が食べてしまっているんです。この菌を殺菌することによって、肥料の効率を上げるのが硝化抑制剤です。肥料の中でも重要な窒素肥料は化石燃料を消費して作られていますので、肥料が削減できるということは、SDGs的にも重要な農薬になります。この硝化抑制剤は、私が2011年頃の東大の博士課程在学時から行ってきた研究になります。
西ヶ谷:薬剤開発で一番重要なのは、薬剤ターゲットのタンパク質をどれにするか、どのタンパク質をを叩くかという部分です。この研究に5年、10年、場合によっては20年くらいかかりますので、ここはアカデミアの知見をうまく活用させていただいております。そして知財が生まれる創薬自体はアカデミアが苦手な部分ですので、主に弊社が担当しております。最終的には農地で試験をしたり、当局の認可取得が必要ですが、その前にライセンスアウトをして、既存の農薬会社さんに任せるというモデルを考えております。
農薬開発は十数年かかってしまいます。この間10年以上赤字を続けることになりますので、ベンチャーキャピタルから投資をいただく必要があります。ただベンチャーキャピタルの投資の期限というのは通常10年程度ですので、この10年を超えてくるとなかなか対応できないわけです。
医薬の方ではこの点でうまい仕組みがありまして、開発が半分くらい進捗したらその知財などを大手にライセンスアウトして、ライセンスフィーが入ってくるのを待つというモデルをとっております。弊社もそれをうまく取り入れてやっていきたいと考えておりまして、最終的にはライセンスで収益化に持っていきたいと考えております。
現役研究者、ビジネス経験ゼロからの起業
西ヶ谷:次は研究者からどうやって起業家になったのかについてお答えします。私の会社は「典型的なつくばのスタートアップですね」とよく言っていただくのですが、私自身もともと大学でずっと研究をしておりました。それほど出来が良くない研究者だったので博士号を取るのにだいぶ時間かかっています。さらにポスドクをしながら起業したので、ビジネス経験がゼロの状況での起業でした。今もまだ経営者は私一人ですが、なんとかやっております。
起業のきっかけは、2016年に東京大学の起業家養成プログラムのEDGEを受けまして、そこで優勝したことです。その後、VCさんも何社か回ったんですが、けちょんけちょんに言われて「これちょっとまだ駄目だな」と思ったので、農研機構で研究を進めつつ、いくつかのアクセラレーションプログラムやピッチコンテストに参加してビジネスモデルを磨いていきました。起業を決意して1年後の2018年の3月に会社の登記を致しましたが、すぐに投資を得られたわけではなく、またそこから大変な日々が始まったんです。
インキュベイトファンドの村田さん、種市さんにお会いさせていただいたのが、起業してから1,2か月後だったかと思います。そのころはまだ農研機構の研究者でしたが、アクセラレーションプログラムへの参加や、スタートアップとしての助成金採択もあったため、会社に費やす時間を徐々に増やしていきました。2018年の12月頃には、もう会社に専念するんだと思って、農研機構の勤務日を週1日にしてしまったんです。でも会社にはお金はなく、農研機構からの月収も4万円になってしまいました。貯金もほとんどなかったので「これちょっと早まったな、やばいな」と思って、ここから火がついて本格的な資金調達を始めました。2019年の9月頃にインキュベイトキャンプに参加させていただき、10月に1億円の投資が決定しました。一番お金を中心的に出したのがリアルテックファンドさんで、インキュベイトファンドさんと銀行系ファンドさん、の3社協調で投資いただいております。インキュベイトキャンプで2位を獲ったことが、かなり後押しになったと思います。
VCからの投資を得ると何が良いかと言うと、応募できる助成金が非常に多くなるんです。1億円という額は大きい額ではありますが、バイオ研究には全く足りません。数千万~1億円の装置はよく使いますので、全然足りない。そのため、助成金をとっていく必要があるんです。スタートアップ向けの国の助成金は、ほとんどがマッチングファンド形式になっています。自分たちが研究費の一部を出さないとNEDOやJST等は助成金を出してくれない仕組みです。そのため、まずVCのお金を呼び水にして、国の助成金をとっていく。おかげさまで弊社ここ半年くらいで約4.5億円くらいの非常に大きな額をいただきまして、大変な面もあるんですけど頑張らせていただいているところです。
助成金の獲得を手放しで喜べない大変さ
高瀬:ありがとうございます。今日かなり丁寧にご説明いただいて、初めて聞く方でも専門的なことはありつつも分かりやすかったかなと思います。私からも何個か質問したいなということがあるんですけれど、今回最後の方でお金の話が出てきたんですが、科研費などの助成金とVCからの資金、あと銀行からの借り入れも、それぞれ性質って西ヶ谷さんから見て違うように見えてるんですか?
西ヶ谷:助成金に関しては、アカデミア研究者としてとる場合とスタートアップとしてとる場合では、全く違う性質があります。スタートアップとして助成金を取って、助成金って後払いの方が多いんだなというのに初めて気づきました。大学などでは全部事務方がうまくやってくれますので、研究者の時は気づかなかったんです。後払いってことは、金を最初に用意しなければならない。銀行から借りるしかないので、利子が必要。しかもマッチングファンド分も用意しないとならない。つまりスタートアップが助成金をとると、次にしなきゃならないのは銀行から橋渡しの資金を借りてくること、その後しないとならないのはベンチャーキャピタルからマッチングファンド分の自己資金を投資してもらうことになります。3倍大変なんです。この大変さというのは、研究者やってるときには全く分からなくて、助成金採択直後は手放しで大喜びでした。しかし、そうではなかった。研究以外にやらなければならないことが膨大にあったのです。助成金に採択されるとプロジェクトリーダーが全く研究をできなくなってしまうという、ある意味で負の側面があります。
高瀬:研究所の場合、助成金をとったら後払いの分の金額は先に研究所から供給されるんですか?
西ヶ谷:はい、採択されてすぐに使えることが多いです。たぶん研究所の自己資金を使わせてくれているのだと思います。助成金によっては、アカデミアには前払いをする場合もあるようです。研究者だった時には気にしたことがなかったので、詳しくはわかりませんが。
高瀬:やっぱりスタートアップに来ないと気づかない部分もあるんだなと思いました。ここで、視聴者さんからの質問を読み上げさせていただきます。「農薬って化学工場等と違って、排水処理されず川に流れて何かしら世界に影響を与えますよね?川に流れて大丈夫な設計は可能なのでしょうか?それは農薬会社か大規模評価でも認可するには弱い気がします」ということです。いかがでしょうか?
西ヶ谷:農薬というのは農薬取締法などで定められた50項目以上の安全性審査を通過しないといけないんです。その中に分解性の審査があり、180日以内に半分以下に分解されないとダメだとなっております。一般的には1ヵ月で半分程度が目安と言われることもあります。つまり分解されないと、そもそも販売さえできないです。どちらかと言うと分解しないように設計する方が難しいので、分解が起こりにくいように設計していくことが多いと思います。
高瀬:ありがとうございます。
高瀬:次に、お二人とのパネルディスカッションに移っていきたいと思います。早速一個目の質問が、村田さんに対してなんですけども、なぜアグロデザイン・スタジオに投資決定をしたのでしょうか。村田さんはその前はSaaS領域の投資をよく実行されていたり、ご自身でもプログラミングをされていたということで、分野はちょっと違うところがあるのかなと思っているのですが、その中でどうして決定したのでしょうか。また、アグロデザイン・スタジオに対する村田さんのご意見も率直にお伺いできればと思います。お願いします。
村田:なぜ決めたのかというところは正直難しくて、「直勘」なんですよね。初めて西ヶ谷さんとお会いしたのが2018年の5月11日で、会社つくって数日後みたいなタイミングでした。きっかけは私の直下のアソシエイトの種市が西ヶ谷さんの記事を見つけたか、どこかのイベントでご登壇されているのを見たというところだったと思うんです。初めてお会いした時から、相当野心的なことをやられようとしているなとは感じました。まずプランがどうこうというよりも、西ヶ谷さんの誠実さだったり、そこにかける意気込みみたいなところにとても強いコミットメントを感じたのが印象として強く残っています。
よく「起業家をどうやって目利きしているんですか?」と聞かれるんですけど、事業の目利きと人の目利きというのはそれぞれあるかなと思います。一緒に事業そのものをつくる、チームをつくる、資金調達も一緒に伴走していく中で、お互いの信頼関係がそもそも築ける人かどうかというのが大きなポイントだと思っているんです。なので、目利きをするというよりも、一緒になって走って行って失敗したとしてもしょうがないよねってお互いに言えるくらいの信頼関係になれるかどうかが僕は一番大きなポイントだと思っています。それを西ヶ谷さんから感じたのが大きいです。
とは言え、さっきも話がありましたが、日本でたぶん唯一の農薬ベンチャー、世界で見てもたぶん数社しかなくて、僕は西ヶ谷さん以外でやっている人をたくさんリサーチしたんですけども一切出てきませんでした。10年前とか20年前にできた会社はたまに出てくるんですけど、スタートアップ的にやってるところってどうしても出てこないレベルのすごい挑戦なんです。本当に先人がいない状態です。創薬ベンチャーのアナロジーを農薬ベンチャーに持っていくフレームワークはあっても、実際の成功事例はこれまでないので、正直、事業としてはとても難易度が高いとは感じました。
それもあって、出会ってから3,4ヵ月くらいに1回ずつくらいコミュニケーションさせていただいて、我々のインキュベイトキャンプに出ていただくタイミングでようやくプロダクトが説明可能な状態になってきていました。2018年5月に出会った時よりも研究開発のパイプライン、狙っている化合物ごとのパイプラインというのが前に進展して、リスクがある程度計れる状態になってきていたというところまでたどり着いていたのが大きなポイントになるんじゃないかなと思います。
ただ根本的には、西ヶ谷さんという人物に僕自身が惚れたという部分と、これをやる志の高さに感服したというのが大きいです。世界中で問題になっているSDGsの中でもものすごく大きな部分を占める人間の食に関わる部分で、環境被害も含めて考えていくとすごく大きなテーマなので、スタートアップが取り組むことのできるテーマなのかというところから不安はありましたが、それを果敢に攻めていく、社会的使命を含めたアプローチに惚れ込みました。
高瀬:西ヶ谷さんすごいですね。西ヶ谷さんに対する質問になるのですが、なぜ他のファンドもある中で、インキュベイトファンドの出資を受けたのでしょうか。そして、どの時点でベンチャーキャピタルを選択すべきかについてお考えを聞かせていただければと思います。
西ヶ谷:インキュベイトファンドさんを訪問させていただいたのは起業した直後です。起業する1年くらい前からVC回りをしてましたので、確か13社目か14社目くらいだったかと思います。正直インキュベイトファンドさんはネット系のスタートアップに投資するというイメージがあって、うちとは領域違うなと思っていました。ホームページを見ても投資先はネット系ばかりだったので、「絶対これは無理だな」と思った記憶があります。村田さんのことも非常に有名な投資家であるにもかかわらず全く知らなかったんです。
そのため、「すぐに追い出されるだろうな」と思って訪問したのですが、しゃべっていると「おや?これは…」と思ったんです。それまで何社か行ったなかで、バイオ系が得意なVCと得意じゃないVC両方に行ったんですけど、バイオ系を知らないVCの反応はあんまり良くなくて、しかもトンチンカンなことを聞かれたこともありました。でも、ご対応いただいたインキュベイトファンドの村田さん、種市さんはそういう反応ではなかったんです。もちろん研究のことに関しては専門外なので、ほとんど質問はありませんでした。しかし、経営面に関しては、私自身が問題点だと思っていた部分、しかもそれまで訪問したVCさんは突いてこなかったところを突いてきたのです。「あれ?この人もしかしてすごい人なのかな」と思いました。村田さんは私に「なぜそのように考えているのですか?」という聞き方をしてきました。そして、私の考えに反対はせずに「こういうやり方もあるので、こういうのも考えたらどうですか?」というような選択肢を与えてくれたんです。
このやりとりから、「きっとこの人は投資家が変に言うよりも、起業家に任せた方がうまく会社が成長するということを実感しているんだろう。ということはこの人の周りにいる起業家は、安心して任せるくらいのすごい起業家ばかりで、ご本人の村田さんもきっとすごい投資家なんじゃないか」と感じました。それまではバイオが得意なVCからの調達しか考えていなかったんですが、この人から投資してもらうべきじゃないかと思いました。帰った後にForbesを見たら2018年投資家ランキング1位とあったので、「やっぱりすごい人だったんだ、この人からぜひ投資を受けたいな」と思い、そこからお付き合いをさせていただいたという経緯がございます。
次に、どういう目線で私がVCを見ていたかについてご回答します。VCから投資を受けるということは、担当者が社外取締役として仲間になるわけなので、仲間として尊敬できるか、あるいは仲間として一緒にやっていけるかというチームビルティングの面で見ていました。つまり尊敬できるキャピタリストから投資を受けたいと考えていたわけです。
高瀬:2人とも言っていることが同じですね。やはり信頼関係という話がでてきたり、任せてもらえるみたいな話だったり、観点は立場が違えど同じだってことなんですね。
村田:VCの選び方は難しくて解があるわけでは当然ないんですけど、合うか合わないかっていう話は大事だと思います。すごい大きなファンドを持っているからとか、すごい実績を持っている人だからとか、それは投資家サイドも起業家サイドもだから良いといって判断するよりも、単純に話した時コミュニケーションコストが低くて同じ志を目指せそうだなとお互い思えるのが一番かなと思います。
村田:そうは言っても、専門性みたいなところはどうしてもあって、コンシューマー・インターネット・SaaSみたいなネットベンチャーを投資する人と、研究開発型の会社を投資する人って結構業界内で分担してしまっている部分があるんです。特に研究開発の話になってくると、またそこからいろんな分岐があります。バイオベンチャーを投資判断できる人とか半導体ベンチャーが得意とか、あるいはそれ以外とか。それを突き詰めていくと、すごく狭い分野になってきちゃうんです。
ただ、スタンフォードで同じ領域で研究実績がある人が投資家として投資をすれば正しい判断をできるかと言うと全くそんなことはなくて、常識を知ってしまっていると逆にその常識で「農薬なんてゼロから作れるわけがない」と言う人がたぶんほとんどで、投資できないと思うんです。特に最近のバイオベンチャーに見られる現象でもありますけれど、コンピューターサイエンスがバイオサイエンスを飛躍させるような形で、全く違うアプローチで新しいプロダクトが生まれることも今あるので、逆にアンラーニングしないといけない人も結構多いんじゃないかなと思っています。
という中で言うと、国内のスタートアップの投資家は分担されていると言いながら、逆にネットベンチャーが得意な投資家がそれ以外の領域のスタートアップに投資をすると、そこから先の資金調達のラウンドになった時に、研究開発型の会社の説明をネットベンチャーが得意なVCにわかるように翻訳して伝えることができるようになるので、投資をしてくれるVCのユニバースが広がるという効果もあったりするんです。
さっき出てきたPXDTやAIメディカルサービスはこの両社だけで去年80億円以上資金調達しているわけですけど、研究開発の会社に初めて投資しましたという人が出資者の顔ぶれの中に結構多いんです。ネットベンチャーしか投資したことがないっていうVCをたくさん巻き込めたのは、彼らの理解しやすいプロトコルに翻訳することができたからだと考えています。ピッチブックひとつの作り方にしても、ベンチャーの人に分かりやすいように説明できたというところが大きくて、その辺も含めて、必ずしも専門性が合わないからどうこうという話ではなくて、響く人にちゃんと出会えるまでお互い頑張らなくてはということなんだと思います。
高瀬:西ヶ谷さんも起業する前から投資家の方に接触し始めたということなので、やはり1社2社にあたってダメだからもうダメかもと思うのではなく、粘り強く翻訳してくれる人や見つけてくれる人に出会うのが大事なんだなと感じました。
高瀬:では、次の質問にいくんですけど、出資までのコミュニケーションの中で「ここ難しいな」とお互い思ったことあるんじゃないかと思うんです。当時の思いとか、まず西ヶ谷さんから教えてもらえますか?
西ヶ谷:私一人で投資家回りから資料作りまで全てをやりましたので、相当苦労しました。そろそろ次の資金調達を考えなきゃなんですけど、考えただけで憂鬱になるトラウマを抱えるくらい、大変な時期がありました。実際に初めてVCを訪れてから、調達できるまで2年くらいの間に40社近く回りました。弊社は事業的に非常に長いスパンが必要というのもあってファンド期限が長いところを中心に考え、最終的にリアルテックファンドさんにリード投資家をお願いしました。
この時、リアルテックファンドさんはちょうどファンドの端境期で「今だと6年、半年待つと12年が償還期限の出資ができます」と言われたので半年待ったんです。しかし、それがものすごく辛かった。最後の1ヵ月は従業員さんの給料をアコムで借りて払いました。投資資金が振込まれる日には銀行残高が10万円を切っていたので、投資があと10日遅れていたら、本当にやばかったんです。また、起業を決意してからVC投資が決まるまでの二年半で一番辛かったのは、一人でやっていたのでどうしてもめげてしまいそうになるということでした。ちょっと手伝ってくれた方もいましたが、ほぼ私一人でやっていたので、めげないためにアクセラレーションプログラムなどに定期的に出て、強制的にビジネスを考えなければいけない状況に追い込んでいました。
高瀬:村田さんからはどうでしょうか。このなかなか難しい領域に投資していくにあたって、御社の投資委員会での苦労や、村田さん自身の葛藤、悩みなどもあったんでしょうか?
村田:僕らの投資決定のプロセスは一般のVCと比べてたぶん全然違うプロセスになっています。ファンドの代表を務めている4人の個人がそれぞれ僕らのファンドのGPといって全責任を負っていて、アメリカのベンチャーキャピタルはこういう形がほとんどなんですけど、日本のベンチャーキャピタルは今でも大半が会社がGPのいう立場にあって、ベンチャーキャピタリストたちがサラリーマンなんです。投資案件を会社の投資委員会にあげるプロセスがあって、その稟議を通すのが大変だったり、私自身も会社型のベンチャーキャピタルに7年務めた経験がありますけど、やろうと決めてから稟議を通すのに3ヵ月くらいかかるのが当たり前みたいな感じだったんです。
僕らの場合、GPがやりたいって言ったらやるという感じだったりするので、プロセスは大きく異なっていて、起業家に初めて会った時にその場で意思決定することは今までにもありました。特にうちの赤浦がよくやるパターンなんですけど、会って30秒で投資決定をすることもあったりします。去年上場したSansanという会社でいうと、会社がまだできる前、創業者の寺田さんと赤浦が初めて名刺交換した瞬間に、「投資します」と言いました。このようにまだ一言も会話していないのに「投資します」って言った事例があって、どういうことか聞いても何かを感じましたと答えるような、嘘みたいな話があるんです。
それぐらい瞬間で決められるわけではあるんですが、研究開発で農薬という領域になってくると、そもそも前提知識があまりにも僕自身になさすぎた。初見で「一緒にやりましょう」というのは言い切れなかったというのは正直あります。研究開発の中でも、コンピューターサイエンスで時間軸を変えていくみたいなアプローチについては僕自身の専門領域に近いのもあって、そこを通じて自分の頭の中で理解できるようになってきた部分はありました。
そうは言っても、研究開発のスタートアップを中心に投資をするファンドではもともとないし、さっき言ったディープテック系の9社、あの大半も私が投資担当しているんです。テクノロジーは海を渡るしグローバルにスケールしていく可能性が高いと、私は考えています。そういうところこそ私は支援していきたいと思っていて、関係者への説明に時間を要することもありますが、積極的に投資していきたいと思っています。
高瀬:ディープテック領域は説明に時間がかかりますよね。スタートアップ側もそうだと思いますが、西ヶ谷さんはトータルでVC何社くらい回りました?
西ヶ谷:1時間以上ミーティングしたのがだいたい30社で、5分10分程度話したのを含めると40社くらいになると思います。
高瀬:厳しい就職活動みたいな感じですよね。その都度に説明しなきゃいけない、説明の仕方を調整しないといけないというのは、スタートアップ側にとってもファンドを運営されている方にとっても、やっぱりそういうご苦労があるんだなということを今の話を聞いて思いました。では、次に清水さんに話を振りたいと思うのですが、清水さんまず最初自己紹介などもう少し詳しくいただいた後、インキュベイトファンドさんが運営されているインキュベイトキャンプはじめ他のプログラムのご紹介もいただければと思うんですが、お願いできますか?
清水:ありがとうございます。インキュベイトファンドでコミュティーマネージャーをしております清水と申します。西ヶ谷さんと村田からも話があったんですが、創業期に特化したVCということで、今すぐ資金調達をしたいという起業家の方とはもちろん、何か技術やアイデアは持っているがどう実装していいか分からないなど、そういう起業の手前の人たちともたくさん出会っていきたいと考えております。例えば、次世代の産業をつくるために横の繋がりを作って議論し合う「Blue Field Program」というプログラムの運営など、起業家の方のフェーズに合わせて必要なプログラムをインキュベイトファンドでは運営しております。
先ほどあったインキュベイトキャンプはそもそも何かと言うと、国内で最も資金調達が決まっているアクセラレーションプログラムの一つです。具体的には国内で投資の意思決定権限を持っているアクティブかつ実績のあるベンチャーキャピタルのパートナークラスの方16名と、今年だと473名の激戦を勝ち抜いた起業家の方16名を集めて1泊2日の合宿をするというイベントになっております。
西ヶ谷さんもインキュベイトキャンプには2年前に参加いただきまして、総合2位を獲得いただきました。結構毎年色があるのかなと個人的に思っていて、SaaSの会社さんが多かったりとかDtoCの会社さんが多かったりだとか、トレンドと言われているような領域での起業家が評価されるということもありますので、この中で西ヶ谷さんが第2位を獲られたというのは大変画期的というか、VC業界の方たちにも可能性を示された結果だったなと思います。ディープテックなどのように、まだまだトレンドと呼べるかわからないけど絶対これ今後SDGsとか考えると必要だよね、というスタートアップをインキュベイトキャンプにお招きして、たくさんのVCやメディアの方に、起業家の魅力や領域の可能性を届けるというようなことをやっていきたいなと思っております。
高瀬:インキュベイトキャンプに参加した人から聞くと、めちゃくちゃ大変だったという感想が皆さんから来るんですが、インキュベイトキャンプはどんな一日なんですか?
西ヶ谷:やはり一番大変なのは朝が早いということです。早朝に集合するのでつくばからじゃ間に合わないんですが、先ほども言ったように当時はアコムしなければいけない状況だったので泊まるお金もなく、夜の電車で行って漫画喫茶かどこかでほぼ徹夜して行ったので、グロッキーな状態での参加になりました。これは悪い例ですね。
参加してまず驚いたのは、お笑い担当の存在です。インキュベイトファンドさんは、比較的お堅いイメージがありましたが、私が勝手にチーフ謎かけオフィサー(CNO)と呼んでいる方が出て来まして、「こんなタレント揃えているファンド見たことないぞ、すげえ」と思いました。でも、そこからは非常に厳しい戦いでした。各ファンドの責任者クラスの方たち十数名全員と半日くらいかけてメンタリングする時間が始まりました。それが終わると村田さんが私をパートナーに選んでくれて、一晩かけてピッチを練り直して次の日に発表するというハードスケジュールでした。
それまでに出たピッチコンテストはバイオやディープテック系が多かったので、研究のことをある程度わかる投資家さんが多かったのに対し、インキュベイトキャンプはネット系が得意な投資家さんが多いので、バイオのことなんか説明しても全く伝わらないわけです。じゃあどうすれば良いかっていうので村田さんといろいろ話し合って完成したのが、今も使っているピッチの原型になっています。
ピッチコンテストでは2位を獲れたんですが、世知辛さも感じました。1位の方は日経新聞電子版の記事タイトルに社名が出たのに、弊社は本文にも全く社名が出ていませんでした。やはり2位ではダメなんだとここで痛感しました。
一方でメディアさんが写真を撮っていたので、村田さんと肩を組んだら、その写真をBRIDGEさんが掲載してくれました。実はそれがかなり後まで響いてきているんです。今でも「村田さんが投資してるんだったら弊社も投資したいです」というベンチャーキャピタルは結構います。それは私の「こうすれば注目集めるかも」と考えた一つの手が功を奏したというファインプレーだったと思っています。
高瀬:村田さんからもインキュベイトキャンプの雰囲気を教えてもらえますか?
村田:カンファレンスを絡めたピッチ大会はたくさん存在しますが、そもそもカテゴリーが異なっています。趣旨としては、起業家とキャピタリストを16人ずつ揃えて、起業家にはVC全員の前でピッチをしてもらって、その後キャピタリストは16人×13分をぶっ続けでメンタリングするんです。
脳内がパンクするまでディスカッションした後に、投資家側が起業家をドラフト指名します。組みたい起業家を1位から16位まで自分との相性含めて順位をつけていって、野球のドラフトと同じで1位指名が被らなかったらそのまま1位っていう形で決まっていきます。被ると起業家がどちらかの投資家を選ぶことになるので、有名投資家や、上場企業の経営者も「お願いします」と手を出すんですけど断られて崩れ落ちるのをその場で見ることもあります。
その後、夜遅くまで一緒にブラッシュアップします。僕の場合は西ヶ谷さんとはわりと「明日また朝早く集まろう」みたいな話をして、結果あんまり寝ないみたいな感じになっちゃいました。それでまた翌日もそのピッチを詰めていき、最後またプレゼンテーションをするという感じです。順位もDay1とDay2で入れ替わるんですけど、入れ替わるということはそのVCと起業家の組み合わせの化学反応で順位が変わるわけじゃないですか。だからVCからするとメンツをかけて順位を上げようっていう風に頑張る。順位が下がると、VCの存在がバリューを下げたことになるということで、メンツをかけて頑張るという感じなんです。
西ヶ谷さんと僕のペアは順位が上げられて、総合2位だったということで良かったなという結果でした。いろんな投資家に対して同時にアピールができ、順位がどうこうとかだけではなく、そこに参加している投資家たちがその場でアンケート形式のタームシートをぶつけるというのも仕組みとして提供しています。キャンプが終わった後に投資家と起業家のマッチングをまた改めてやるみたいな。で、実際に資金調達に繋げてもらうということをやっているのが僕らのイベントの全体の流れです。とにかく、めちゃくちゃストイックにやるという感じです。
高瀬:スタートアップが参加するようなピッチ大会だったりとか、そういうアクセラレーションプログラムっていうのは、巷に本当いっぱい増えたなというのは思うんですけど、インキュベイトキャンプはどちらかと言うと投資家に厳しいですね。投資家が辛いんじゃないですか?
村田:そうかもしれないですね。ホスピタリティは皆無ですね。VCの方も毎回参加していただき本当に感謝しています。インキュベイトキャンプに参加した後数ヶ月間は二度と行きたくないって皆思うんですけど、1年経つと忘れたようにまた出たいみたいな感じで言ってくれるんですよね。
月1で重要な示唆を与えてくれる関係性
高瀬:視聴者さんからの質問を聞いてみたいと思います。「インキュベイトファンドの投資後のフォローアップっていうのはどういうことをされるんですか?」という質問なんですが、お金を入れるだけじゃなくていろんなことをされていると思いますが、そこのところいかがでしょうか。
西ヶ谷:弊社にとってインキュベイトファンドさんはフォローとして入っていただいてるので、主にやり取りしてるのはリードのリアルテックファンドさんになります。村田さん、種市さんとは月1くらいの経営会議で他のVC2社さんと一緒にミーティングをしていただいております。弊社今はまだ研究開発フェーズですので、VCさんとの経営会議は月1ということでさせていただいています。
とはいえ、その月1のタイミングで村田さんから考えなければならないことをグサッと鋭く突っ込んでいただいています。村田さんは「こうしろ」って言い方はせず、「こういうパターンがいくつかあるけれど、こういうのも考えた方が良いですよ」という言い方をしてくれますので、、それについて1ヵ月考えます。結局、村田さんのサジェスチョンとは違うことをすると言った場合も、しっかりした理由があれば納得していただけます。月1ということもあって、本当に一番重要なところにダイレクトにサジェスションをしてくれるような関係が続いているので、私にとってはありがたい存在です。
高瀬:西ヶ谷さん、さっきから出ているリードやフォローって言葉、それはどういう意味なんですか?
西ヶ谷:弊社は3社のVCさんから協調で投資いただいてますが、そのうち一番お金を出してくれて3社の窓口となるVCがリードでして、弊社だと現在はリアルテックファンドさんになります。。それに対して、リードと一緒にチームを組んで投資してくれるところがフォローのVCの皆さまで、インキュベイトファンドさんもその一社さんになります。
伴奏者としてやれることは全部やるスタンス
高瀬:ちなみに村田さんからは、西ヶ谷さん含め投資先にどんな言葉を送り続けてるんですか?
村田:僕が一番のバリューを発揮するのは、会社が危機的状況に陥った時です。会社にはいろんなハードシングスがあって、これまで私も起業家としてハードシングスの経験があったり、出資先でのハードシングスをたくさん経験しているんですが、朝出社したら社員が全員辞めてたとか、共同創業者が夜逃げしたとか、作っていたはずのプロダクトのソースコードが一撃で白紙になったこととか。
特に、人にまつわるハードシングスが多いです。「キーマンとして大切にしている人が退職表明を出してきたけど、どうしたら良いですか?」とか、会社全般としてぎくしゃくしてくるタイミングっていうのは、ステージ的にやっぱり出てくるんです。こういう時に僕が出てきて、消防車みたいに火消しをするわけです。ひたすらその人とコミュニケーションします。その社内のキーマンの方と飲んで口説くこともあります。
口説くって言葉は、先程のPXDTの時もありましたけれど、特にこの西ヶ谷さんたちの会社はまだシードラウンドなので、今後シリーズA,Bと重ねていった時に、今までと違ったタイプの人材をチームに引き入れる必要が出てきます。経営人材を代わりに面談したり、代わりにアトラクトしたりということはやっていくし、採用戦略そのものを一緒に描くようなこともしていくことになると思います。そういったレベルアップのためにも動くし、もっと危機的な状態の時にはリカバー役としても動いていきます。それこそ社員全員と1on1して、何が今起きているのか代わりに把握する役割も担います。
一緒に投資しているリアルテックファンドの永田さんという素晴らしい方がいるんですが、リアルテックファンド流の専門性の高いフォローと全く被らないところで、僕はサポートしたいなと思っています。特にステージが変わっていった時に、いろんな役割が必要になってくるのかなと思っています。これまでは人をたくさん増やしたらダメなタイミングだったりもして、最近になって大きな助成金というかグラントが取れたので、そろそろアクセル踏みますかみたいな話になった時に、私の出番がたくさん回ってくるんじゃないかなと思っています。
高瀬:最後に視聴者さんからいただいた質問についてお話しいただいてクロージングの方に持っていきたいなと思うんですけど、これは村田さんにお答えいただいた方が良いかなと思います。「VCや補助金等での資金調達はもちろんありますが、銀行からの借り入れでの資金調達はベンチャーやVCから見てどうなんでしょうか?前向きなのか後ろ向きなのか感覚的なことでも良いのでお聞きしたいです」ということです。
村田:もちろん前向きです。借り入れが怖くてできない、個人補償入るのがどうしても怖いという風に仰る経営者の人もいますがエクイティで調達するのに合わせて別途で引っ張ってくるのは積極的に行ってほしいです。また、銀行とのコミュニケーションは創業時から行った方がよくて、先ほど出てきていた補助金が後払いみたいな問題は銀行を使うことでうまくキャッシュフローを先行させることができたりするので、いろんな仕組みがありますから絶対使った方が良いです。
高瀬:ありがとうございます。資金調達をいろいろ勉強しましょうってことなんですかね。私も元経営をしていた立場でありつつ、このような支援をしている立場で今回はいろんな大きいインプットがありました。最後に、西ヶ谷さんに今後どういう風にアグロデザインスタジオを成長させていきたいかという意気込みを聞いて終わりにしたいなと思います。
西ヶ谷:今、農薬業界にはBig4と呼ばれる4大農薬会社がありまして、1社は中国国営企業に買収されて中国資本になっていますが、全部欧米の会社です。世界に農薬会社は15社あり、その内の10社の農薬会社は日本なんですが、その10社よりも4社の方が大きいんです。弊社はBig4と戦える会社になりたいと思っております。それらの会社は時価総額10兆円前後なので、そこまでいくためには企業価値を1年につき1.4倍上げるとすると30年必要です。コツコツと毎年1.4倍企業価値を上げていきたいと思っております。
村田:いけますね、これは。
高瀬:やっぱりディープテックとか関係なしに真摯に誠実に野望を語るって大事だなという風に感じました。ぜひ村田さんからも一言いただきたいんですけど、お願いできますでしょうか。
村田:ありがとうございました。僕はつくば市という場所がすごい好きで、いろんなご縁があります。西ヶ谷さんとのご縁もそうですし、落合さんとの縁だったりとか、五十嵐市長とはよくコミュニケーションさせていただくんですけど、つくばをどういう場所にしていきたいか、スタートアップの発信地にしようって話を散々してきたところでもあります。市としての取り組みでこういう取り組みが行われること自体、とても素晴らしいことだなと思いました。
今回の視聴者さんはおそらくいろんな思惑で来られていて、農薬のことに興味関心がある方もいれば、スタートアップそのものに興味ある方もいれば、投資家ってどんな人種なのかを見に来られた方もいらっしゃるかなと思います。自分自身が将来起業する可能性のある方がたくさんいらっしゃるのかなと思うのですが、ぜひチャレンジして欲しいと思います。いろんなスタートアップに飛び込むのも良しですし、自分で改めてゼロからプランを考えてみるとかもどんどんやって欲しいです。
いろんなベンチャーキャピタルに話をもちかけると、いろんな副次効果があったりします。自分が起業しようとしていなくても、ベンチャーキャピタルの人間と会うと、今いけてるスタートアップを紹介してもらえたりします。信頼関係が大切という話がありましたように、それを一緒に積み上げていく意味でも、より身近な存在としてコミュニケーションしていただけると嬉しいなと思います。興味関心を少しでも深めていただけると、我々としても仕事のやりがいがあると思いました。本日はありがとうございました。
高瀬:本日は本当にありがとうございました。西ヶ谷さんの話、インキュベイトファンドさんの話、ためになりました。それではこれでお開きとさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
西ヶ谷、村田、清水:ありがとうございました。
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