『Incubate Camp』は、本気で資金調達を目指すシード・アーリーステージの起業家とGP・パートナークラスのベンチャーキャピタリスト(以下ゲストVC)とがタッグを組んで事業を急加速させる、2日間の宿泊型イベントです。今年で17回目を迎え、2010年の1st開催以降、累計参加起業家人数は250名を突破、直近11th〜15thにおける参加企業の資金調達額は、約90億円を突破しています。
今回のIncubate Campの選考においても、スタートアップの経営者が直接ご応募いただける従来通りの「公募ルート」に加え、VC・エンジェル投資家からの推薦による「VC推薦ルート」を設置し、非常に多くの起業家からご応募をいただきました。選考の際には、外部VCから14名のキャピタリストの皆様にご協力いただきました。ご協力いただいた選考委員会の皆様、誠にありがとうございました。
さらに今回は、オーディエンス起業家・オーディエンスVCを加えた約180名を超えるゲストの皆様にご参加いただいた過去最大規模のイベントとなりました。
そんな大幅にバージョンアップした今回のIncubate Campでは、選考委員会の選考を通過した16名の起業家にご参加いただきました。本記事では、そんな盛大に行われた『Incubate Camp』の全貌についてご紹介いたします。
Incubate Camp 17th 参加起業家一覧(氏名五十音順)
株式会社iiba / 逢澤 奈菜氏
株式会社アウトラウド / 朝澤 隼氏
株式会社LOKIAR / 伊藤 健太氏
HerLifeLab株式会社 / 大塚 響子氏
Trash Technologies株式会社 / 木部 剛氏
株式会社SAZO / ギル マロ氏
nook株式会社 / 熊澤 龍生氏
株式会社StoreHero / 黒瀬 淳一氏
at FOREST株式会社 / 小池 友紀氏
株式会社ミラリンク / 佐取 直拓氏
booost health株式会社 / 芳賀 彩花氏
Powder Keg Technologies株式会社 / 濱村 将人氏
bgrass株式会社 / 咸 多栄氏
DouDouDoujin株式会社 / 水谷 翔一郎氏
verbal and dialogue株式会社 / 森川 善基氏
株式会社Josan-she's / 渡邊 愛子氏
Incubate Camp 17th ゲストVC(氏名五十音順)
Skyland Ventures / 木下 慶彦氏
株式会社サイバーエージェント・キャピタル / 近藤 裕文氏
株式会社iSGSインベストメントワークス / 佐藤 真希子氏
W fund / 新 和博氏
株式会社ジェネシア・ベンチャーズ / 田島 聡一氏
投資家 / 立岡 恵介氏
Spiral Capital / 千葉 貴史氏
XTech Ventures / 手嶋 浩己氏
伊藤忠テクノロジーベンチャーズ株式会社 / 中野 慎三氏
ANOBAKA / 長野 泰和氏
JAFCO / 沼田 朋子氏
Bonds Investment Group 株式会社 / 野内 敦氏
グロービス・キャピタル・パートナーズ株式会社 / 福島 智史氏
WiL / 松本 真尚氏
DIMENSION / 宮宗 孝光氏
株式会社UB Ventures / 頼 嘉満氏
Incubate Camp17th 審査員(氏名五十音順)
デライト・ベンチャーズ / 浅子 信太郎氏
SMBC日興証券株式会社 / 尾塩 俊彦氏
グロービス・キャピタル・パートナーズ株式会社 / 仮屋薗 聡一氏
Coral Capital / 澤山 陽平氏
フォースタートアップス株式会社 / 恒田 有希子氏
DBJキャピタル株式会社 / 新美 正彦氏
TBSイノベーション・パートナーズ合同会社 / 西川 直樹氏
株式会社三井住友銀行 / 保泉 学氏
株式会社 マクアケ / 坊垣 佳奈氏
株式会社セガ/セガサミーホールディングス株式会社 / 堀江 悦子氏
Eight Roads Ventures / 村田 純一氏
株式会社フジ・スタートアップ・ベンチャーズ / フジ・メディア・ホールディングス / 若月 賢一氏
インキュベイトファンド / 赤浦 徹
インキュベイトファンド / 本間 真彦
インキュベイトファンド / 和田 圭祐
インキュベイトファンド / 村田 祐介
インキュベイトファンド / Paul McInerney
Incubate Camp17thは、2024年10月11日(金)〜10月12日(土)に千葉県のオークラアカデミアパークホテルにて開催されました。
Day1では、各起業家が5分間のピッチを行い、各ゲストVCとのメンタリングを行います。その後、起業家とゲストVCによるドラフト形式でのマッチングイベントを行い、パートナーを決定します。各ペアは一晩かけて事業とプレゼンテーションのブラッシュアップを行います。Day2の午後には決勝プレゼンテーションを行い、事業プランの完成度や一晩での成長度を競います。今回のIncubate Campではオーディエンス起業家やオーディエンスVCを招待するなど、過去最大の参加人数となりました。毎回恒例の決勝プレゼンテーション後の懇親会に加えて、新たにネットワーキングランチを設けて、参加者間の交流も活発的に行われました。
ここからは、そんな大白熱したIncubate Camp17thの全貌を、潜入レポート形式で解説していきたいと思います。
8:00 品川駅集合
参加起業家は品川駅に集合し、バスに乗車して会場まで向かいます。到着後、すぐにDay1ピッチが始まるということもあり、早朝から準備していた起業家もいらっしゃったようです。遠くからご参加いただいた方もいらっしゃる中で時間通りに集合いただき、ありがとうございました。
9:00 オークラアカデミアパークホテル到着
ホテル到着後、メイン会場に移動します。到着後まもなくDay1ピッチが開始するため、すぐに準備に取りかかります。事前に提出いただいたDay1ピッチを会場で投影確認を行います。ゲストVCも続々と到着し、会場全体が高揚感と緊張感に包まれていました。
10:00 開会式
開会式では起業家の紹介とゲストVCの自己紹介を行います。今回も非常に印象に残る挨拶をいただきました。過去に参加経験のあるゲストVCからは、Incubate Campをきっかけに資金調達に繋がった思い出話をいただき、今回がはじめての参加となるゲストVCからは、当イベントにかける思いや熱量についてお話いただきました。Incubate Campでは、「起業家がゲストVCを選ぶ」という毎年恒例のマッチングイベントがあります。国内屈指のゲストVCが、起業家に選んでもらうために自己紹介をしている姿は、非常に新鮮で、大変熱気の帯びた開会式となりました。
10:40 起業家ピッチ(DAY1)
Day1の5分間ピッチでは、事前に提出いただいた資料に基づいてピッチを行い、ゲストVCが評価を行います。Day1ピッチの結果が、Incubate Campの今後を左右するといっても過言ではないため、起業家・ゲストVCともに真剣にピッチに挑みます。毎年、Day2の決勝プレゼンテーションで大きくピッチ構成が変わることもあるため、Day1のピッチ内容は刮目すべきポイントです。各起業家には、自身の事業に対する思いや今後の事業展望について5分間に凝縮してピッチしていただきました。
12:30 昼食
Day1のピッチ後、束の間の休憩時間となります。濃密でタイトなスケジュールのもと、参加者同士のつながりができていくのもIncubate Campの魅力です。今回参加いただいた起業家の皆様は、参加者間の関係値構築にも非常に積極的で、イベントの合間でコミュニケーションをとられていたのが非常に印象的でした。Incubate Camp後も、ランチに行ったり、SNSで資金調達リリースに関する記事を見たりすることも、非常に刺激になっているとの声もいただいております。
13:30 メンタリング開始
Day1の時間の大半を占めるのが、このメンタリングです。各テーブル13分ごと16ローテすることで事業を磨き上げます。長丁場のメンタリングではありますが、起業家とゲストVCともに脳に汗をかきながら、事業をブラッシュアップしていきます。Day2に発表されるベストキャピタリスト賞は、こちらのメンタリング結果をもって決定するため、ゲストVCの中には、事前に資料を読み込んでいる方もいらっしゃるそうです。起業家もゲストVCも正真正銘「全力投球」で、メンタリングに挑みます。
起業家とVCの関係性は、短くても数年・長ければ10年以上続くものとなります。国内屈指のゲストVCの、圧倒的な経験に裏付けられたメンタリングは、それだけでも貴重な経験となりますが、ゲストVCとの相性を確かめることができるのもIncubate Campの魅力です。16名のゲストVCからメンタリングを受けることで、ともに事業をスケールできる相手を検討できるという意味でも、このメンタリングは非常に大きな機会となります。
19:00 ドラフト指名の結果発表・マッチング
ピッチとメンタリングを踏まえて、ゲストVCは参加起業家を”ペア”を組みたいと思った順に選択していただき、ドラフト方式でマッチングを行います。起業家とその人を指名したキャピタリストが壇上に呼ばれて起業家とゲストVCが一対一でマッチングされればペアが成立します。ただし、ゲストVCによる指名が重複した場合、ゲストVCは壇上で起業家に対しての「想い」を主張していただき、起業家はその中から1人のゲストVCを選びます。ゲストVCが手を差し出して起業家が握手に応えたらマッチング成立となります。
「起業家を選ぶ」というイメージが強いゲストVC達ですが、それと同時に「起業家に選ばれる」立場でもあります。国内屈指のゲストVC達が、メンタリング中の議論内容についてアピールしたり、自身のこれまでの実績についてアピールしている姿勢は非常に新鮮なものでした。今回のマッチングでは、単独指名されるケースが多い印象で、起業家とゲストVCの思いが一致したようなマッチング結果となりました。
マッチした16組のペアは以下の通りです。
<起業家 × ゲストVCマッチング>
株式会社iiba / 逢澤 奈菜氏 × 投資家 / 立岡 恵介氏
Powder Keg Technologies株式会社 / 濱村 将人氏 × グロービス・キャピタル・パートナーズ株式会社 / 福島 智史氏
verbal and dialogue株式会社 / 森川 善基氏 × XTech Ventures / 手嶋 浩己氏
HerLifeLab株式会社 / 大塚 響子氏 × JAFCO / 沼田 朋子氏
nook株式会社 / 熊澤 龍生氏 × 株式会社ジェネシア・ベンチャーズ / 田島 聡一氏
bgrass株式会社 / 咸 多栄氏 × 株式会社iSGSインベストメントワークス / 佐藤 真希子氏
株式会社LOKIAR / 伊藤 健太氏 × DIMENSION / 宮宗 孝光氏
株式会社SAZO / ギル マロ氏 × W fund / 新 和博氏
株式会社アウトラウド / 朝澤 隼氏 × ANOBAKA / 長野 泰和氏
at FOREST株式会社 / 小池 友紀氏 × Bonds Investment Group 株式会社 / 野内 敦氏
booost health株式会社 / 芳賀 彩花氏 × 株式会社UB Ventures / 頼 嘉満氏
株式会社Josan-she's / 渡邊 愛子氏 × 伊藤忠テクノロジーベンチャーズ株式会社 / 中野 慎三氏
DouDouDoujin株式会社 / 水谷 翔一郎氏 × 株式会社サイバーエージェント・キャピタル / 近藤 裕文氏
株式会社ミラリンク / 佐取 直拓氏 × Spiral Capital / 千葉 貴史氏
株式会社StoreHero / 黒瀬 淳一氏 × Skyland Ventures / 木下 慶彦氏
Trash Technologies株式会社 / 木部 剛氏 × WiL / 松本 真尚氏
ここで、起業家による5分間ピッチをキャピタリストが5点満点で採点したものを集計した、Day1時点での順位が発表されます。
<Day1時点での順位>
第1位 Powder Keg Technologies株式会社 濱村 将人氏
第2位タイ booost health株式会社 芳賀 彩花氏
第2位タイ verbal and dialogue株式会社 森川 善基氏
第4位 株式会社iiba 逢澤 奈菜氏
第5位 株式会社LOKIAR 伊藤 健太氏
Day1での結果はあくまでも途中経過にすぎません。例年は一晩にして全スライドが変更されるといったこともあるため、翌日のプレゼンテーションに向けて努めていきます。翌日の表彰では総合評価だけでなく前日比で1番順位が上がった起業家に向けてグロース賞も送られます。朝からピッチにメンタリングと盛りだくさんのコンテンツでしたが、ここからが起業家とゲストVCにとっての正念場です。
20:00 夕食
ペアの起業家とキャピタリストは、この夕食時間後から事業・ピッチのブラッシュアップを行います。夕食時間からはインキュベイトファンドのメンバーもサポートメンバーとしてチームに合流します。サポートメンバーは翌日のプレゼン資料作りや起業家のサポートなどをメインに担当します。ここから夜にかけて事業をブラッシュアップするために、夕食をともにしながら交流を深めていきました。
20:30 ブラッシュアップタイム
ここから一晩かけてIncubate Camp恒例のブラッシュアップタイムが始まります。ブラッシュアップの時間はDay1の夜とDay2の午前中しかないので、夕食後すぐに事業のブラッシュアップに取りかかります。ピッチ資料を変更したり、収益構造を整理したり、市場規模に関してリサーチをしたりなど、各チームが魅力的なエクイティストーリーを構築するために、ディスカッションしながらスライドに落とし込んでいきます。起業家の思いや事業案について具体的に形にしていくことが、ゲストVCの腕の見せ所です。会場は夜遅くにも関わらず非常に熱気を帯びておりました。
24:00 ブラッシュアップ終了
24時を過ぎると休戦協定に入ります。議論が白熱し、毎回夜遅くまで作業を行うチームが多くございますが、翌日のピッチイベントに備えるためにも、今回は夜間作業は原則として禁止させていただきました。翌日の決勝プレゼンテーションに向けて、しっかりと休息します。
後編に続きます。
(文・アナリスト 片岡 宏斗)