2018年12月17日、Sansan株式会社オフィスにてIncubate Fundの出資先企業を集めた勉強会が行われました。勉強会のテーマは、「BtoBソリューション営業(特に大企業への営業)を展開する上で大事なこととは?」と、出資先企業の多くが抱える悩みを解消するものとなっています。今回は、SMB営業と、大企業営業の両方を経験しているSansan株式会社取締役の富岡さんを講師に、勉強会を行いました。(本記事は、インキュベイトファンドのインターン生による潜入レポートです。)
SMB営業から大企業営業へ移行する際に考えるべきこととは?
Sansan社は、どういったタイミングで大企業に対する営業を始めたのか。
富岡さんによれば、最初は「企業の規模を問わず、売れるとこに売って行く」という姿勢で営業活動を行なっていました。しかしSansan社は、当時顧客としてシステムを導入してくれていたSMB企業に加え、大企業も顧客にする必要があると考えました。
その結果、これまでの営業部とは別に、「アカウント営業部」として大手向けへの営業部門を新設し、適性のありそうな社員を集めました。この取り組みは上手く行き、現在では大企業、中規模企業、小規模企業と規模ごとに3つの営業部を設置するまでに至ったとのことです。
では、Sansan社はどの様に「適性のありそうな人材」を選んだのでしょうか。富岡さんによれば、基本的には営業実績を見て判断しているとのことです。営業担当の社員には、あらゆる規模の企業に向けた営業を経験させ、その中でよりパフォーマンスの良い営業部門に所属させることで、マッチングを行なっています。また、会社の規模が大きくなればなるほど、クロージングに掛かる期間は長くなります。
よって、大企業への営業に関しては、半年単位での目標設定と、実績の振り返りを行なっているとのことです。
また営業部門の人材を、採用を通して得る際には、経験や人脈よりも「より若い人」を採用したいと考えている様です。給与に関しては、社内のグレード制に従って決定されます。転職を通して入社してくる人材に関しては、パフォーマンスを見て、グレードの調整を行うそうです。
大企業向けの営業を行う上で、どのようにパイプラインを得ているのか
Sansan社の営業担当は、どの様に大手企業とのパイプラインを作っているのか。
富岡さんによれば、Sansan社はテレビCMや、ウェブマーケティングに加え、大企業に向けた「プッシュの営業」を行なっているとのこと。具体的には、⑴Sansan社の名刺管理・顧客管理サービスを通して、自社内で人脈を持っている社員を見つけて活用する、⑵ウェブサイト等から役員の名前や連絡先を検索し、アウトバウンドコールをする、⑶イベントを開催し、大企業のキーパーソンを集客し、人脈を手にするなどのアプローチを取っているといいます。
こうした業務は、「Sales Development」として、「商談やアポイントメントを作り出す」部隊が担当しているとのことです。
また、Sansan社はコンペにも参加しており、「コンペで勝つ上で抑えるべきこと」を以下の様に挙げました。まず最初に大事になってくるのは、⑴ビジネスパートナーとして見てもらうこと。
そのためには、顧客となり得る企業へのヒアリングは欠かさず行い、集めた情報を元にソリューション営業を行うことは必須であるといいます。
次に重要となるのは、⑵顧客と何かしらの接点を持っておくことです。
相手が営業一般社員であっても、一度アポイントメントを取り会いに行くことが大事だといいます。こうしたアポを通して、「その会社の営業活動がどの様に行われているか?」や、「意思決定の鍵を握るのがどの部署か?」等を把握することができます。
営業を行う上でのキーマンの見抜き方
後半は、実際に悩みを抱えるCEOや営業担当の方々が、富岡さんへの質問を通し、大企業向け営業についての理解を深める会となりました。
その中でも、より議論の焦点となったのは「営業を行う上で、どうやってキーマンを見抜いているのか?」というものでした。
これに対して、Sansan社で様々な営業経験をしてきた営業部門の長谷川さんが、丁寧に説明をして下さいました。
まず実際に営業を行う前に、「どの部門が全社的な戦略を考える権限持つのか」探ることが大事だそうです。長谷川さんは、中・長期経営計画がどの部署で作られているか突き止めることで、そうした経営戦略に対する「提案」を、効果的に行うことができると考えています。そして、公表されている経営計画に関して、責任を負っている人・部署が判明した後に、直接該当する人達にアプローチを掛けるといいます。そうしたプロセスの中で、意思決定に関係する部門の役員等も説得することができれば、一層営業の成功確度を高めることができるそうです。
こうした質問の他にも、初めて作られた大企業向け営業部隊の規模についてや、営業管理の手法について等多くの質問が挙がり、とても実りのある会となった様です!
今回自分はインターン生として、議事録を作成する立場で参加しましたが、「どの様に人脈を作るか」や、「どの様に人脈を有効に生かすか」などについて知見を深めることができ、とても為になる勉強会となりました。
Incubate Fundは、こうした出資先企業への勉強会の他に、スタートアップの経営者や、スタートアップに関心がある方に向けたイベントも開催しております。是非そうしたイベントも、「EVENT」のページからご確認下さい。