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2020/04/16

ベンチャーキャピタルが主役になって日本を再興する未来を。代表パートナー赤浦が日本にキャピタリストを増やしたい理由

執筆者:

Zero to Impact編集部

インキュベイトファンドの21卒新卒採用の説明会も残すところ僅かとなりました。ここで、ベンチャーキャピタリストを新卒から育てるということの背景や思いについて、代表パートナー赤浦にインタビューしましたので、ご覧ください。インキュベイトファンドについて理解を深めたい人、受けるかどうか迷っている人へ手助けとなれば幸いです。

Speaker

赤浦 徹(あかうら・とおる)インキュベイトファンド General Partner
ジャフコにて8年半投資部門に在籍し前線での投資育成業務に従事。1999年にベンチャーキャピタル事業を独立開業。以来一貫して創業期に特化した投資育成事業を行う。2013年7月より一般社団法人 日本ベンチャーキャピタル協会理事。2015年7月より同協会常務理事。2017年7月より副会長。2019年7月より会長。東海大学工学部卒。

VCが主役になって日本を再興していくために。17社を超えるファンド設立支援を行なってきたいま、新卒VCの育成へ乗り出す

ー本日は宜しくお願い致します。インキュベイトファンドでは2010年に設立して以降、今年(2021年卒)初めて新卒採用をすることになりました。「新卒を採用したい」と最初に仰ったのは赤浦さんでしたね。インキュベイトファンドで新卒をやりたいと思った背景や、きっかけを改めて教えてください。

赤浦:まず、私の思いとしては日本にベンチャーキャピタルを増やしたいというのが大前提にあります。今でこそ、ベンチャーキャピタル(以下、VC)として独立して、パートナーシップ制で運営するというのも当たり前のようになってきましたが、日本はVCの数自体がそもそも少なかったんですね。なので10年以上前から、独立してファンドを運営したいと思っている有望な人材に対してLP出資することを通して、彼らのファンドの組成支援をすることで、日本のVCの数を増やし続けてきました。初号ファンドへの設立出資の実績は17社を超えます。

しかし、これでもまだまだ日本にVCは足りないと思っている。なので、VCを増やすための一つの方法として、インキュベイトファンドでは中途で採用したアソシエイトの独立支援を行なっています。社会人4年目ぐらいの方をアソシエイトで採用して、将来独立してねってことで育成し、彼らのファンドに対しての設立出資もすると。ただこれを数年続けていて、このパターンでのファンド組成支援実績も4社(20204月時点)と積み上がってきて。 

ここで思ったのが、「これもしかしたら新卒から採用して育成することもできるのではないか」ということです。

僕自身も新卒でベンチャーキャピタルに入社しています。自分の過去の経験踏まえても、最初の3年間ってすごく大きな経験をしてきました。一番最初からベンチャーキャピタルにいた自分がやってきたような経験を、新卒の方に経験していただくだけでも大きな経験ができると思っています。 

ベンチャーキャピタルを増やしたい、日本をもっと元気にしたい。ベンチャーキャピタルが主役になって日本を再興できる、再び盛り上げていけることができるような、そういう立場にベンチャーキャピタルをしていくために、新卒で有望な人材を採用し、彼らをVCとして育てたいと思っているんです。 

ーベンチャーキャピタルが主役になって日本を再興する、という未来を実現するために、独立系VCの数自体ももっと増やさないといけない、と。

 赤浦:アメリカのベンチャーキャピタルは、ほぼ全社がパートナーシップ制*で運営してるんですね。一方で、日本のVCは過去どういう変遷だったかというと、自分がJAFCOに新卒で入った1991年当時は、ほぼ全てが証券会社や銀行などの金融系のベンチャーキャピタルでした。自分が入ったその日本最大のベンチャーキャピタル(JAFCO)も例に漏れず、野村グループのベンチャーキャピタルでした。 

*パートナーシップ制:個人のGP同士が契約し、利益も分配するという形態。日本語では「組合」と表現される。

 日本とアメリカのVCの運用形態を比較した時に、自分は違和感を感じまして。VCの本場、アメリカでは全て個人として独立してVCを運営してる、だから自分も将来は独立して個人でやりたいと思いました。そこでアメリカでのVCの独立の仕方を調べてみて、アメリカでは平均8年修行するということを知り、僕も8年間はJAFCOで修行して独立しようと決めました。

「失われた平成」はなぜ起きた?令和時代の地盤沈下を防ぎ、日本をもう一度勝たせたい

ー日本はもともと金融系VCが多くて、独立系が増えてきたのはここ数年のことなんですね。日米間の差は埋まってきたものなのでしょうか…?

当時から比較しても独立系VCが増えてきたとはいえ、ベンチャー企業が調達している金額を日米間で比較すると、実は差が開いています。当時、平成元年ぐらいだったら多分10倍ぐらいで、2018年で37倍。「失われた平成」という表現があったりしますよね。平成以前と比較して、平成以降の30年間の日本の経済状況を鑑みた時に、「平成失われたよね」っていう表現がされたりしますが、実は令和時代のほうがもっと"失われそう"なんです。日本が地盤沈下していってしまう、と。

 この「失われた平成」の30年間で何があったか?平成以前、自動車・エレクトロニクス産業のときには、大量生産・大量消費で日本が勝ってたが、平成以降、経済の中心が情報産業になってから日本が負けてるんですね。マイクロソフトやGAFAなど、世界を代表する会社がアメリカから生まれてきて全盛を迎えました。一方で、日本は相対的に落ちていっています。ですので、次の「マイクロソフト」なり「GAFA」なり、もっと言うと日本が勝っていた時代のSONY・松下・ホンダのような次の日本発グローバル企業というのをベンチャーキャピタルが主役となって作らなきゃいけない

 ーなぜアメリカはGAFAを作れたのに、日本は作れなかったかのでしょうか。

 その歴史を紐解いてみると、GAFAの誕生には、アメリカのベンチャーキャピタルが最初に登場しているんですね。GAFAやマイクロソフトといったグローバルカンパニーは、ほぼ全てベンチャーキャピタルがきっかけとなって大きく成長している。

 私は、日本はベンチャーキャピタルが力が無かったから、情報産業で勝てなかったという側面もあるのではないかと思っています。アメリカでは一番優秀な人がそのベンチャーキャピタルに来てそういう次の産業を代表する会社を黒子として支えている。一番優秀な人がとれるキャリアのオプションとして、もちろん起業もいいと思うのですが、アメリカでは、官僚でも商社でも銀行でもなくてベンチャーキャピタルへ来る。だから日本もそういうふうにしていかなきゃいけないんですね。

 そして、いま新卒採用をやってるベンチャーキャピタルが殆どないじゃないですか。だからうちも、まあ規模(採用人数)は小さい、小さいんだけど、それなりに新卒を始めて、これから毎年やっていって、将来独立してベンチャーキャピタルをやって、日本を、そして世界を作っていくようなベンチャーキャピタリストを育成していきたいな、と深く強く思っています。

 2005年から持ち続けてきた思いは、これまで数々の独立系VCの立ち上げに貢献してきた。新卒採用だけは、やれていなかった

ー日本経済をもっと元気にするために、日本に独立系VCがもっと必要で、そのためにこれまで17社のファンドに創業投資されてきているのですね。インキュベイトファンド設立以前から初号ファンドへのLP出資をされていると思いますが、かなり以前から、こういったVC主導で日本を元気にするという志を持っていたんですね。

 赤浦:そうですね。2005年か2006年かぐらいかな、経産省主催で、日本を元気にすることを目的とした"バーチャルシリコンバレー研究会"みたいなのがあって。のちにバーチャルシリコンバレーという名前がかっこ悪いから名前を変えた記憶があるんですけど、VSV研究会と呼ばれているものがあって()。私、滅多に資料作らないんですがその勉強会で資料を作って、文字しか無い資料だったけど。当時、「日本の失われた10年」とかって言ってる頃の時代に、「失われた10年について、これはもうベンチャーキャピタルのせいだ」「アメリカのベンチャーキャピタルは全部独立系で、日本は全部株式会社だからだ」と。

 この仕事って、個人が責任・リスクを取ってやるものなので、覚悟のある個人がやらなきゃいけない仕事なんです。そのベンチャーキャピタルの覚悟の差が、あの失われた10年を生んでるんだっていうことを話して、独立系のベンチャーキャピタルを日本にもっと増やすべきだという話を、経産省の方々であったり、当時マイクロソフトにいらっしゃったの古川さんとか、UTECの郷治さんがいらっしゃった場で発表しました。

 ー2005年くらいから構想されていたと。

 赤浦:そうだね。実際2007年に、本間さん(当時:コアピープルパートナーズ、現:インキュベイトファンド代表パートナー)に「ベンチャーキャピタルやらないか」って口説いて、その後に和田さん(当時:セレネベンチャーパートナーズ、現:インキュベイトファンド代表パートナー)を口説いて。で、その後もスマートニュースの鈴木健、あとサムライインキュベートの榊原さん、って独立系VCを増やしていって。2010年ぐらいにはアンリ(ANRI 代表パートナー佐俣 アンリ氏)に独立しろっていう話をしたり。East Venturesの松山大河さんとも、彼の独立の一番最初のファンド「クロノスファンド」のときに話をしたりだとか。

 ー今でこそたくさん独立してるVCも増えてきましたが、2000年代当時の日本は珍しかった。

 赤浦:本当はシンプルで、「ベンチャーキャピタルが主役となって日本を元気にしたい、そのために独立したベンチャーキャピタルを増やしたい」ってことを昔から一貫して思っていて、それを中途の社会人向けには提供してきていて、新卒採用だけはやってなかったんで、やってみたいと。自分自身も新卒でベンチャーキャピタルに入ってるから、その時の経験を生かして、こうやればいいんじゃないかって思ってることはあるので、それを試してみたいし、気持ちを込めて新入社員の皆さんには接してみたいです。

 ーどういう人に来てほしいというのはありますか?

 赤浦:元気な人ですね。やっぱり人を好きになれて、人を一生懸命応援する気持ちを持てる人。

 ーありがとうございました!

Zero to Impact編集部

寄稿者

VCが運営するスタートアップ・VC業界の情報発信マガジン「Zero to Impact」を運営しています。起業家の魅力や、スタートアップへのお役立ち情報を発信します。ベンチャーキャピタル「インキュベイトファンド」が運営。

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