ベンチャーキャピタルといえば、起業家・経営者に対して経営のアドバイスやファイナンス支援を通して伴走するプロフェッショナルだ。一般的には、経営や事業の経験が豊富で、金融知識に精通する人材が携わるイメージだろう。
インキュベイトファンドが2021年度の新卒採用を発表したとき、就活生からは「なぜ新卒でキャピタリストを採用するのか?」「どんな人物像を求めているのか?」など多数の質問が寄せられた。そこで今回は、そんな疑問に答えるべく、21新卒内定者4名に対して新卒でベンチャーキャピタルに入社するということに対する現在の率直な思いや、彼らから見えているインキュベイトファンドの姿について聞いた。
インキュベイトファンドは現在2022年新卒採用を実施している。新卒でベンチャーキャピタル業界に興味のある就活生の参考になれば幸いだ。
プロフィール
下原右多(しもはら・ゆうた)
私立修道高校(広島県)出身。一橋大学 商学部2021年卒業予定
溝口然(みぞぐち・ぜん)
県立人吉高校(熊本県)出身。慶應義塾大学 法学部2021年卒業予定
富永晃世(とみなが・こうよう)
私立早稲田高等学校出身。東京大学 農学部獣医学科2021年卒業予定
岩崎遼登(いわさき・りょうと)
筑波大学附属駒場高校(東京都)出身
東京大学 工学部2021年卒業予定。
4者4様の人生!21卒内定者の素顔とは
――今日はインキュベイトファンドの21年4月に入社予定の内定者の4人に集まってもらいました。では早速ですが、自己紹介も兼ねてどんな学生生活を送ってきたかについて教えてもらえますか。誰からいきましょう。
下原:じゃ、僕から。一橋大学4年生の下原右多と申します。大学では主に体育会剣道部の活動と、1年間の交換留学に力を入れていました。剣道部では、1・2年生の間はレギュラーに入るのに必死で、レギュラーになってからは、全国大会出場に向けて練習していました。結局全国大会出場は叶いませんでしたが、大学生活の前半では、部活一色の生活送っていました。
留学は、高校生のときに初めて行った海外旅行で「英語で世界中の人とコミュニケーション取れたら世界が広がる」と思って、ずっと海外留学はしたいと思っていて、大学3年生からハワイに留学していました。剣道部では副主将だったのですが、僕の代だけ副主将を2人配置してもらったりして、仲間には迷惑をかけながらも4年生の夏までの1年間をハワイで過ごしました。で、留学らしい留学ではなくて、ずっと剣道とサーフィンをしていました。
ーー向こうで剣道もやっていた。
下原:剣道もありました。週3ぐらい剣道教室に通って。日本だったら全然有名選手とかじゃないですけど、ハワイだったら最強みたいな感じでした。
ーー「サムライ来た」みたいな感じで。剣道頑張ってたんだね。では、次いきましょうか。
溝口:はい。慶応義塾大学法学部4年の溝口然です。熊本県の人吉という人口3万人くらいの地域で生まれ育ったんですが、高校生ぐらいの時から、やっぱり田舎って進路の選択肢狭いな、みたいなことを感じていて。そこで、高校2年生の時に、友人と一緒に県議会議員や経営者、地域活性化に取り組む方々との交流の機会など、高校生が学校以外の「世の中」と関わる機会をつくるよう活動を始めました。
大学に進学するタイミングで活動を法人化し「一般社団法人グローカル」として展開し、大学がない人吉に全国各地から大学生を呼んで、高校生とディスカッションするイベントなどを開催しました。シリコンバレー在住の方とオンライン通話を使ってイベントを開催したこともあります。今でこそコロナの影響もあってZoomなどが一般的になり、遠隔地の方を招待してイベントを開催することは当たり前になりましたが、当時人吉みたいな田舎の高校生が使うのは珍しくて、かなり苦戦しながら運営していたのを覚えています。
やりたいことがあったとしても、経済的な事情で断念せざるを得ない学生も少なくないという課題も感じました。この問題をどうにか解決したいと思い、地元の企業の社長さんに相談、支援をしていただいて、地元の高校生を対象とした奨学金を作ったりしていました。こんなことをしていたので東京と地元とを往復することが多かった学生生活でしたね。大学でも県人会組織の代表をしていたこともあり、全国の出身者と関わることが多かったです。
ーーそんなにコミットしてたら、地元の中では圧倒的な存在だよね。
溝口:自分からすると、親ももちろんそうなんですが、親以外の地域の方とか、地域のコミュニティの色んな方に育ててもらった恩をすごく感じていて。地元に帰ったら挨拶で周りますし。
ーー地域に深い繋がりを感じているんですね。では、次の方お願いします。
富永:富永晃世と申します。大学では獣医学専修で獣医学の勉強をしています。獣医学部は医学部と一緒で6年間あるので、現在は修士2年の歳です。
部活では競技ダンス部に所属し、学部生の4年間は全国大会目指して週6~7回練習の部活漬けの日々を送っていました。自分たちの代が4年生の時に東大の競技ダンス部の70年の歴史の中で初めてグランドスラムを達成したんです。年に6回大きな大会があって、それで全部東大が優勝しました。最後の全国大会では個人でも優勝することができました。
獣医学部の方では、4年生からは研究が始まりました。一般的には先輩の研究を引き継ぐことが多いんですが、自分は独自に研究を進めたいと考えたので、現在注目されているAIの技術と自分の専門領域である獣医学を掛け合わせた内容の研究を始めました。
ーー研究は、どんなテーマで?
富永:猫がオペの際に感じる痛みの評価をAIの画像解析を使って定量的に行うことをしています。猫は人間とは違い言葉で痛みを表現できないですが、猫の顔の筋肉の動きで痛みを理解することができるんです。5年生の時はそのAIやプログラミングの勉強に時間を費やしました。研究の中でNTTさんの勉強会に突撃したりと色々奔走していましたね。
また、AIの勉強をしていた時期に知り合ったエンジニアと、10人くらいのグループで、「獣医療もっと良くしようぜ」ってことで、団体を立ち上げて活動中です。ビジネスプランコンテストなんかにも出たりしています。その3つが僕の主な学生生活です。
ーー日本一ダンスが上手い獣医学部生。じゃあ、最後、岩崎くんお願いします。
岩崎:東京大学工学部4年の岩崎遼登です。大学では去年の11月までラクロスをしていました。1年生の4月に「青春したいなあ」「先輩たちかっこいいなあ」と思ったから入部したという、凄く浅い動機です(笑)。ずっと日本一になりたくて、「日本一だ、日本一だ」とチームメイトと言い合いながら、4年生の最後まで練習していました。それで最後に関東決勝で早稲田に負けてしまい、今でも悔しい気持ちの残る終わり方をしました。
引退してからもスポーツから離れられなくて、スポーツに対して何か豊さを還元したいと思って体育会部活生×教育のようなベンチャーでインターンをしています。
また、現在、友達とスポーツ関係のサービスの立ち上げも行っています。アメリカの大学スポーツの規模ってホントに凄くて、大きな大会が開かれる日には学内の人間は勿論、街中から人が集まって10万人規模のスタジアムがいっぱいになるんです。自分と友人はその文化を東大で作りたくて、その一歩目を踏み出すためのサービスを作っています。
人生観を突き詰めたときに「パイを奪い合うのではなくパイを作り出し、世の中を豊かにする」というIFの考え方に共鳴
ーーありがとうございます。そんな皆さんですが、就職活動時代にどういった業界を志望していたんですか?
下原:3年の夏からハワイに留学することが決まっていたので、就活自体はかなり早めに始めました。3年生の6月から応募開始の早い外資系を中心に、コンサルや投資銀行を周りの友人の真似をして受けていましたね。特に明確な志望理由があったわけでもないので当然うまくいくはずは無く、そのまま留学に行きました。
留学先でボストンキャリアフォーラムに参加したのですが、ここでもかなりミーハーな就活をしてしまい、コンサルから外資系メーカー、日系IT、メガベンチャーと的を絞らず手を出しました。就職先を探しに行ったボストンも完全に観光に終わってしまい、ようやく自分にも本格的に焦る気持ちが芽生えました。
本腰を入れて自己分析を進める中で幼少期から自分の人生を振り返るのですが、自分の価値観を決めるうえで、自分の家族の影響は大きいことに気づいて自分の実家は広島で懐石料理や創作和食のお店を家業として営んでいます。祖父が原爆で全てを失ったゼロの状態から単身上京して修業を積んで創業したお店です。料理の基本を忠実にしながらも、他にない新しい料理を創る祖父や父の仕事を幼少期から見てきて、自分も何か世にない物を自分の手で創っていくような職に就きたいと考えている事に気付きました。
スタートアップと実家の創作料理は「現在世にない物を創って人の生活を豊かにする」という点で似ていると思います。ボストンからハワイに帰ってからはスタートアップを中心に見ていました。その中で、たまたまインキュベイトファンドの存在を知ったという経緯です。
溝口:僕は就活生としての意識が高くなくて、あまり会社員になるというイメージが持てず、動き出すのがとても遅かったですね。
ーー色んな活動はしていたけど。
溝口:そうですね。就活解禁日の3年の3月から始めたのですが、そんなとき、同じ熊本出身で、現在アメリカ在住のVCの知り合いの方に久々にお会いする機会があって。その時VCという仕事についてかなり面白そうだと感じて色々調べていると、たまたまIFが新卒募集を開始したというプレスリリースが出ていて、「これしかない!」と思い、すぐに応募しました。
富永:僕は最初は外資コンサルを見ていました。選考に通ったり落ちたりしている中で、あまり興味が沸かないなとも思っていました。9月くらいから別のVCでインターンを始めたのですが、その時もVC自体にはあまり興味がなくて、投資も胡散臭いと思っていました(笑)。しかしインターンとして働く中で、自分の親が経営者ということもあり、経営者を応援する仕事をかっこいいなと思うようになりました。自分の親は倒産を経験していますが、それでもまた新しい会社を立ち上げていて、その姿を見ていて経営者に対するリスペクトが生まれました。親からも「絶対に負けるな、絶対に勝て」と言われて育ってきました。そういった価値観で働いている経営者と常に関わっていける業界では、大企業の中で同じ方向を向いて戦っていくこととはまた違ったプレッシャーを感じると思います。自分はそういったプレッシャー自体も面白いと思いました。自分も部活で「絶対に負けるな、絶対に勝て」と考えて、目標を追っていましたが、そういった雰囲気が強いのはスタートアップだと考えて、就活でもスタートアップ業界を見るようになりました。そのうえで「外資就活ドットコム」上でたまたまインキュベイトファンドを見つけたという経緯です。
岩崎:僕は去年の11月か12月の、部活を引退したころに就活を始めました。最初は先輩がいる企業を中心にミーハー就活生していました(笑)。就活を進める中で、凄く変な言い方をすると、自分はもう1度ラクロスをしたいんだなと思い始めました。自分にとってのラクロスを抽象化して就職に当てはめたときに、自分事として事業に熱中できることだなと思い、それからは総合商社やメガベンチャー、小規模のスタートアップなどを中心に見ていました。事業家志向でしたね、いずれ事業家として独立することも視野に入れていました。
そういった軸で就職をするときに「ベンチャーキャピタル」という全く聞いたことのない業種の企業からメールが届き、「ベンチャー」や「起業家」という単語が気になり、金融業だということを理解しないままドアをノックしました。
ーー色々選択肢がある中で、最終的にインキュベイトファンドに決めた理由について教えてください。特に、インキュベイトファンドは「VCとしての独立を目指す」ことも大きな特徴ですが、なぜその決断ができたんでしょうか。
下原:説明会の内容が、自分的に「これ、めちゃくちゃ面白そうだ」と思ったのが一番大きなタイミングだったかなと。説明会のスライドの最初のところで、「GAFAに入るんじゃなくて、GAFAを創ろう」みたいなフレーズが飛び込んできて掴まれた。今までの自分の価値観とか振り返って、自分、こういうことしたいんだなって腹落ちして、いいなって思ったんです。
プレゼンの中で、インキュベイトファンドは既存の軌道に乗ったビジネスに投資を行うのではなく次世代の産業を創るようなビジネスをゼロから創っていくというお話しを繰り返ししていて、シードフェーズでゼロイチにこだわって投資をするという特徴が、何か自分の手で新しいものを創って世の中を豊かにしたいと考えてた自分の価値観に刺さりました。
あと記憶に残っているのが、赤浦さんのコメントが載っているスライドです。そこで赤浦さんは、「経済大国だった日本が所謂失われた30年を経て今の地位まで下がっているという現状に対し、VCとして次世代の産業を創っていくことで再び日本を成長させていく」とおっしゃっていたと思うのですが、それを見て、個人としてここまで当事者意識を持っていて、実際に日本の新産業の創出に貢献している人はいないと思い、とても感銘を受けました。逆に言うとVCは個人でこのスケールでモノを考えられる影響力のある存在なんだとも思いました。僕はもともとVC自体にもほとんど無知でしたが、その説明会で一気に惹き込まれてこの仕事に挑戦したいと強く思うようになりましたね。
溝口:僕も、下原さんが言っていた「産業を作り出す」という部分に魅力を感じて。生まれ育った人吉がどんどん衰退していく姿を見ていると、地域を支えるビジネスや産業の存在の重要性を感じます。それは地方に限った話ではなく、産業ができあがることで経済基盤が創られるということが日本全体や世界に必要なことだとも考えています。そこに貢献できるという点で、VCという仕事に惹かれましたね。
あと、結構特殊じゃないですか、独立を前提としているって。ある意味、日本のVC業界がこれからどんどん成熟していく段階にあり、キャリアパスも確立されていない中で、逆に自分がロールモデルになれるのではないかと思って。その二点が魅力でしたね。
ーーロールモデルになっていこうと。
溝口:あとは、VCの仕事が自分が学生時代にやっていたことと少しリンクするような気がしたというのがあって。大学時代に取り組んでいた「奨学金」は、企業からお金を集めて、高校生に配分するようなことをしていたので、モデルが似ているなと思いました。そういう点でもVCの話を聞いたときに自分の中で腑に落ちたのかも。最終的に決断したのは、僕は最初からVCに入りたいと思っていたのと、みんなが行かないほうへ行った方が結果的にいいんじゃないかという逆張り的な考え方があったので、これは、もうチャンスだとしか思わなかったですね。
富永:僕も溝口さんと一緒で、最初から入ろうと思って受けていたので特に迷いはなかったです。なんで入ろうと思ったかというと、VCは凄く熱い職業だなって思ったからですかね。当時面白く生きることってなんなんだろうとずっと考えていて、その時に自分が面白く生きていくには面白い人間と関わっていくことが必要だと考えるようになりました。その面白い人間というのは、何かにチャレンジしていて、泥臭くても気合いで成し遂げていくような人だと思うんです。そういう燃えている人と関われる職業を探すようになりました。もちろん自分が起業家になることもいいと思うんですが、自分は目立つ立場に居たいわけではなく、燃えている人と関わりながら一緒に熱いことに挑戦していきたいと考えました。
岩崎:自分の価値観からまず話すと、自分は共感力が人一番強いんです。自分がアツくなるのは、何か夢を持つ人に共感してその人達と一緒に熱中して、全力でそこに向かって貢献している時なんです。ラクロスの日本一という夢も、僕個人が最初から思っていたわけではなくて。僕にとってのラクロスのモチベーションは、尊敬してる先輩や素敵な仲間が日本一になりたがっていて、彼らと彼らの持つ夢が本当にアツいからそこに貢献したいと思ったんですね。
それを仕事に当てはめて考えたときに、事業を0から作って熱中したいけれど、起業家である必要はないと思ったんです。VCとして力をつけたら、起業家のビジョンに凄く共感して熱中して彼らに伴走し続けることができる、そんな楽しい人生になると期待しました。
あとは、インキュベイトファンドが新たな産業を創り出すことを目標に掲げていることに凄く惹かれました。これも自分の価値観なのですが、部活などをしていても「ライバルを倒す!」「誰よりもうまくなる!」より「仲間と高めあう!」という考えの方が好きだと自己理解していました。互いに競争することよりも、同じ方向を向いて上を目指して一緒に戦っていく方が自分は好きなんです。そこで、インキュベイトファンドの、パイを取り合うのではなくパイを創り出すというのが、自分の考え方に凄く合っている気がしました。
チャンスが目の前にあるなら、飛び込まない理由は無い
ーー内定受諾をしてから半年以上が経過し、インキュベイトファンドのイベントに参加したり、アソシエイトやGPと話す機会も沢山あったと思いますが、現在はインキュベイトファンドにどのような印象をもっていますか。
溝口:他の企業と比べても、個人の働きが尊重されるので、個人として問題意識を持って行動しないとあっという間に置いていかれるとおもっています。良い意味で危機感を持っています。
富永:僕も凄く一緒で、何か定型な業務に対してのパフォーマンスが評価されるというよりも、自分で考えて行動したことを評価してもらえると思っているので、それが面白くもあり、大変なところだと思っています。そういった意味では、入社した後もずっと自分の中で行動の指針になる確固たるものを持っていないと、居続けられないような気がしています。小さなプロジェクト単位でも能動的に動かないといけないと思っています。
ーー課題とかテーマを探して、探したものに対して自分でアクションを起こしていく。
富永:そうですね。ちっちゃいプロジェクト単位でもなんか自分で探して、能動的に動く。そこが面白さでもあり、大変なところでもあるかなって。
下原:イベントや業務のお手伝い等をさせてもらう中で、就職活動の際に得た事前情報として分かってはいたんですが、やっぱり「起業家を支える」という信念が強さは改めて感じるところがありました。「次世代の産業を創る」という大きなミッションを掲げながら、自分はあくまで黒子に徹し、起業家を一番前に出していくというスタンスをイベント運営とか、飲み会ひとつとっても感じました。
岩崎:そうですね。嘘をつかれていなかったなあというのが実感としてあって、赤浦さんが面接のときにVC業界と日本の未来についてアツく語ってくださったのですが、それが本当に本心からお話しして頂いた内容だと最近実感していて、素敵だなぁと思っています。
あと、いい意味でも悪い意味でも、新卒一期っていうカオスな状況になりそうっていうのはすごく面白そうだと思っていて。「組織としてもっとこうした方がいい」という意見をしっかり伝えたら、それはしっかり受け止めてくれますし、カオスな状況ながらも大切にされているっていうのは、いま半年間内定者として過ごしてきて思います。同時に、すごい期待されているなっていうのは、各所で思います。プレッシャーだけど楽しいなって思います。
ーープレッシャーは常にあるよね。「そんな期待されることある?」みたいな。真剣にそう思っていて、真剣にそういう場を用意しているというのは、あんまりないよね。
岩崎:あんまり言わないですよね。22歳とかに、お前らに日本かかっているんだぜ、みたいなことを。
あとは標語として掲げている”Zero to Impact”という言葉は凄く面白いなと最近思っています。この言葉は「ゼロからインパクトを創る」と言っているだけで、どういうインパクトかは示されていないので凄くフワッとしている言葉だなと思っていました。でも、その「フワッと感」に「そのインパクトは会社が決めるのではなく自分で意思を持って決めろ」というメッセージを込めている気がするのがなんかすごい好きで、最近、あーなんかいい会社に入ったなって改めて思ったポイントでした。
ーーでは次に、就活生からもよく聞かれる質問ですが、皆さんは新卒でVCで働くということをどのように捉えていますか。事業会社やコンサル・金融等を経てVCに転職してもいいんじゃないかという話はよくあると思いますが、皆さんは新卒でVCで働くことをむしろ良いことだとポジティブに捉えていると思います。今実際に新卒でVCで働くことについてどのような考えでいるのか、皆さんそれぞれの言葉でお聞かせください。
溝口:自分でも色々考えてみましたが、やっぱりシンプルにやりたいことを今やるチャンスが目の前にあるのであれば、飛び込まない理由はないと思いました。あとは、インキュベイトファンドのGP4人は皆さん新卒でVC業界に飛び込んで今まで実績を積んできた方ですよね。その4人が事業会社やその他キャリアを経ずともVCとしてやっていけるという考えで新卒採用を始めているので、それを信じて、自分が新卒でもVCができるんだということを証明できればなと思っています。
富永:そうですね。例えばGMO VPの村松さんとか、他の方も含めて、新卒VCで成功している方は全然いますね。そういった意味で先行事例はあると思います。で、かつ、飛び込めるなら、なんでいま飛び込まないんだ。やりたいのに。やらない理由がない。ので、やりたい人はチャレンジすべきなんじゃないかなと思います。もちろんどこかの会社を経ることで得られる経験や肩書はあると思いますが、VCに必要な経験はVCで培っていけるんではないでしょうか。もし仮に新卒VCで失敗したとして、それはどこか別のキャリアで積むべきだった経験が足りなかったからではなく、単純に自分ができなかったんだと思います。
下原:確かに新卒でVCに入って最初の2,3年くらいは、スキルや経験、知識の部分が評価されて、起業家さんに「この人と仕事をしたい」と思ってもらうことは難しいと思います。やはり自分で事業に投資をしたこともなければ、事業会社で働いた経験もないので、ネガティブな意見でも言われる通り、スキルの部分でバリューを出していくのは難しいと思います。一方でスキル以外の部分で起業家側から「この人と仕事をしたい」と思っていただくことは可能だと思っています。例えば、「起業家を支える」といった精神的な部分で、起業家を愚直に支え抜くという気持ちは新卒でも持てます。そのサポートをする手段はいくらでもあると思うので、他のキャピタリストが手が回らないようなことであるとか、新卒としてできることを探してやっていきたいと思っています。最初から起業家に頼られることを前提にするのではなく、起業家に頼ってもらえるようになるまでのプロセスを新卒入社してからの数年間で考えて行動していきたいと思っています。
岩崎:新卒にVCができるのかという議論には、「新卒入社してVCとして成功することの難易度」の話も含まれると思っていて、その難易度は確かにとても高いと思っています。しかし難易度が高いことに挑戦するという意味では、起業をして社会に影響を与えることも、事業会社で大きなプロジェクトを成功させることも同様に難しいことですよね。新卒でVCに入社してVCとして結果を出していくことがとても難しいことだと認識したうえで、失敗しても死なない20代のうちに難易度が高かろうがやりたいことにチャレンジしてみたいんです。何もできないことを自覚しながら、とにかく真摯に全力で頑張ろうと思います。
――皆さん、ありがとうございます。ではこれで最後になりますが、22年卒業の就活生に向けて皆さんから一言メッセージを頂きたいです。
岩崎:僕はインキュベイトファンドに決めるのに、実は凄く迷いがあったんです。GPの本間さんからは「迷っているなら止めたほうがいい」とも言われました。普通のキャリアではないうえに難易度も高いので、迷っているなら止めたほうがいいというのは本当に正しいと思います。しかしその迷いが一体どういう迷いなのかは見極める必要がある。「自分が本当にやりたいことなのかどうかが分からない」という迷いなのか、「本当は挑戦したいけれど周囲の意見や難易度が気になって一歩踏み出せずにいる」という迷いなのかを見極めてほしいです。迷いが後者であるならば、是非勇気をもって飛び込んできてほしいです。
下原:VC自体もそうですが、インキュベイトファンドはある種凄く特殊なキャリアの選択肢だと思います。まず独立が前提で入る会社は珍しいですし、シードVCがやる仕事はシードVCしかやっていない、つまり他の事業会社や金融機関がシードVCがやっているような業務をそのままやっているかと言えば、そうではないと思います。しかし、特殊なキャリア選択だからこそ、ピンポイントにシードVCをやりたいと思っている僕たち4人のような学生の方はいると思っています。特殊だからこそ反対意見があったり、100%賛同してくれる意見が少ないということはあると思いますが、自分を見つめたときにインキュベイトファンドというキャリア選択が自分自身に凄く刺さっていると感じている人は自信を持って選考に臨んでほしいと思います。
溝口:就職活動は自分の物差しで測って進めていくことが1番大事だと思います。その上で、僕の物差しで言うならば、ベンチャーキャピタルという仕事に新卒で挑戦できる機会や環境はとても貴重で、やりがいのあることだと思います。興味のある人はぜひ応募してみてください!
富永:そうですね、確かに反対意見はすごく多いと思います。新卒でVCは難しいという議論であったり、親の反対であったり。その上、一般的な学生からの評価としても、優秀層の学生が目指すような、外資系銀行やコンサルに名前が並ぶほどの知名度や人気度は得られていないのが現状です。しかし、今VCに挑戦したいという気持ちがある人は迷う必要はないと思います。動き出さなければ始まらないので、今すぐ応募フォームをタップしてください!
ーー皆さん有難うございます。
22年新卒、絶賛採用中!
内定者座談会、いかがだったでしょうか?
インキュベイトファンドでは、2022年の新卒採用を実施しています。2020年年内の説明会の日程も残りわずかですので、興味のある方はお早めにお申し込みください!(2021年の説明会開催は未定です。)
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