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2023/12/12

経営者を目指して新卒キャピタリストに。目標はインキュベイトファンドを超える組織の設立【IFアナリストインタビュー Vol.3】

執筆者:

Zero to Impact編集部

インキュベイトファンド(以下、IF)では、「ゼロイチ期のスタートアップへの投資・育成ができるジェネラル・パートナーを日本で増やしたい」という思いの元、ベンチャーキャピタル業界としては初めて、独立を前提とした新卒採用を行っている。2021年に入社した4名の新卒1期生を皮切りに、2022年には5名の2期生が、そして2023年には4名の3期生が入社した。少しずつ「新卒でベンチャーキャピタルに入社する」という選択肢が浸透してきたものの、その実態については明らかになっていない部分が多い。

そこで、本シリーズではIFに新卒入社後、事業開発アナリストとして業務に従事するメンバーに入社の思いや業務内容について聞いた。第二弾は、一橋大学商学部出身の下原のインタビューだ。

下原 右多(しもはら・ゆうた)
広島県出身。一橋大学商学部でコーポレートファイナンス(特にクロスボーダーM&A)を専攻し、3・4年次にはハワイ大学シドラービジネススクールへ留学。一橋大学剣道部では副主将として活動。2021年、インキュベイトファンドに参画。事業開発アナリストとして新規投資先の発掘に従事。

「インキュベイトファンドに120%染まる」を目指して動いてきた3年間

――入社して3年経ったかと思いますが、まずはこれまで行ってきた業務内容を教えてください。

下原:最初の2年間はソーシングを中心に、起業家の方と一緒に事業を作る、最初の資金調達の伴走をするといった業務を担当させていただきました。
その後、3年目はローテーション制度を活用して現在のポジションに至ります。
働く中で大事にしてきたことは、信頼関係をきちんと作ることです。シードの資金調達にただ伴走するのではなく、直近3年間の事業計画の作成など資金調達を成功させる以上のバリューを付与することにこだわって取り組んできました。

――会社としても初めての新卒採用ということで、社内からの期待もあったかと思います。この3年間を振り返ってみていかがですか。

下原:とりあえずやってみようという気持ちで駆け抜けてきた3年間だったと思います。

入社時、インキュベイトファンドにはすでに確立してるスタイルがありました。これがインキュベイトファンドのやり方だというGPの5人が共通して持っている手法があったので、まずはそれに120%染まってみようというところから始まりました。

とにかくGP5人の口から出る言葉や意見に注目して、時には彼らが使った単語を真似て使ってみたり、彼らからもらったフィードバックをもとに実践してみたり。それらを続けていくと、自然と起業家の方々への対応ができるようになり、徐々に自分のスタイルにも落とし込めるようになりました。まずはバカ真面目に代表たちの真似をしてみたのはよかったと思います。

――この3年間で印象に残っている案件はありますか。

下原:学生が起業するきっかけを作ることができた案件が最も思い入れがあります。

その案件はインキュベイトファンドでインターンを希望していた方の紹介でプログラミングやゲーム開発を行っている高校生を紹介してもらったところからスタートしました。彼がやっていることがどのようにビジネスになるかのディスカッションから始まり、ビジネスモデルや会社の設立までのロードマップを一緒に考え、実際に彼は起業を決意。インキュベイトファンドでも出資をさせていただくことになりました。

「下原さんがきっかけで起業に至りました」と言っていただけたこと、インキュベイトファンドとしても出資という形で応援できたことは、一つの成功体験になったと思います。

パラレルアントレプレナーとハンズオンの姿勢に惹かれて入社

――インキュベイトファンドに入社するまでの経緯についても教えてください。就職活動はどういった基準で進められていたのですか。

下原:実家が家業をやっており、祖父や叔父も会社を経営していたことから、高校生の頃から経営や経営者としての働き方に興味を持っていました。そのため大学では商学部を選択し、就活時も将来的に起業して経営者になることを前提で企業を見ていましたね。

――初めからベンチャーキャピタル業界も選択肢にあったのですか。

下原:なかったです。ベンチャーキャピタル業界という選択肢があること、インキュベイトファンドという会社があることは外資就活ドットコムで知りました。そしてGPである赤浦が自身のことをパラレルアントレプレナーだと言っているのを聞き、もしかしたらこれが自分のやりたいことかもと思ったのです。

――ベンチャーキャピタルという立場でありながら、起業家と同じ目線で意見をすることができるところに魅力を感じられたのですね。

下原:インキュベイトファンドの、同時多発的に自分が主語で取り組みたいことを仕掛けられるポジションがあることはとても魅力的だと思いました。

起業家のやりたいことに対して黒子に徹するのも大事な仕事ですが、自分達の裁量を持って投資をしている立場である以上、GPがどんな事業を作っていきたいかを考えながら取り組むのがインキュベイトファンドです。起業家に120%任せない、そんな資金の出し手以上の存在であるインキュベイトファンドのキャピタリストいう職業に憧れを感じたのだと思います。

キャピタリストになることを考えた時に思ったのは、起業家がうまくいってない時も、この事業を一緒に成功させたいという強い意志を自分自身も持って起業家を支えたいということ。そうでなければ、経営に関与しているという感覚を持つことができず、意味のある仕事だと捉えられないのではと思ったのです。

赤浦はよく「会社を探すのではない。一緒にやる人を探している」と言っているのですが、まさにそのような姿勢を大事にする会社が自分にはあっていると思いました。会社を経営している人とそれを支えている人という構造ではなく、一緒の目線で物事を見たいな、と。

――確かに、インキュベイトファンドでは、投資した後の経営は起業家に任せるハンズオフや何かあった時だけサポートするハンズイフではなく、外部の人間でありながらも経営にしっかりと関与するハンズオンを大事にしていますね。

下原:新卒で入社して修行をさせていただく立場からすると「自分はこれがやりたくて、それを一緒に実現させるパートナーとしての起業家を探している」と思っているからこそ得られる経験があると思っています。そしてその経験こそが将来的に自分自身も独立を目指す時に役立つと考えています。

――とはいっても、ベンチャーキャピタル業界への新卒での就職はあまり一般的な選択ではなかったと思います。また就活の時点で、ベンチャーキャピタリストとして独立するという説明があったかと思いますが、入社にあたって不安はありませんでしたか。

下原:当時は不安以上に面白そうという気持ちが強かったです。ポジションや責任に関してあまりよく分かっていない部分もあったので特に深いことは考えず、とにかくやってみようという前向きな気持ちでした。

不安で言うと、実際に働き始めてからの方が仕事内容やベンチャーキャピタリストの役割などの解像度が上がったことでより感じるようになったと思います。これから自分が身につけていかなければいない知識や能力の多さを知り、少し恐れのような気持ちが出てきたイメージです。

若い起業家の支援を通して世の中に大きなインパクトを与えたい

――これから、インキュベイトファンドでご自身が支援してみたい業界あるいはサポートしていきたい起業家はいますか。

下原:社会に対する理想像や貢献心を内に秘めた起業家と一緒に仕事がしたいです。働く中で、『何となく起業したい・やってみたい』ような輪郭がぼやけた状態の起業家に多く出会う機会があります。それぞれ、その起業家しか出せないインパクトがきっとあると思っており、その言語化や実現に一緒に取り組みたいです。目先の利益や経済的成功ではなく、各々の考える理想を実現する手段として、ビジネスや資本の仕組みをハックできると面白そうだと思っています。

現在インキュベイトファンドとして学生起業家を2社、支援中です。起業を考えていなかった人がインキュベイトファンドとの出会いを通して起業したり、若くして起業をした人がインキュベイトファンドの投資を受けて成功したり。そんな例を今後もたくさん作っていけたらと思っています。応援している若い起業家に伴走する中で、たくさんの成功体験を一緒に作っていきたいです。

そして起業家が目標としていたIPOやM&Aなどを達成した時には、「下原さんと一緒にやっていてよかった」や「下原さんがきっかけでここまで来れた」と言ってもらえたらと思います。

ーーその中で、いつか下原さん自身も経営者となるタイミングがいつかやってくるということでしょうか。

下原:そうですね。今後ベンチャーキャピタル業として起業する際にはインキュベイトファンドを超える会社を作りたいと思っています。

そのためにも今の日本のベンチャーキャピタルではやっていないファイナンスのスキームや海外のオペレーションの勉強をしていきたいです。

――既存のベンチャーキャピタルにはない仕組みや機能で差別化を既に考え始めているのですね。

下原:スタートアップ同様に、VCにおいてもまた社会の変化や市場の構造的課題に向き合わないといけないと思っています。人々の暮らしを変容しうる技術や新たな価値創造に取り組む起業家に対するリソースの配分という観点では、VCがもたらすポジティブな影響は普遍的だ、とも。しかし一般的な指摘として短期的なリターン追及や起業家の視座を下げているといった批判を受けていることは無視できないと思います。本当の意味で社会の豊かさを創出できる仕組みとしてのベンチャーキャピタルを自分が創りたいと漠然ですが、考えているところです。

――なるほど。独立に向けて日々、色々と考えているのがとてもよく分かります。

下原:とはいいつつ、まず今やるべきことはキャピタリストとしてしっかり結果を出すことです。キャピタリストという職業を通してより多くの若い起業家に出会い、ベンチャーキャピタルから資金を調達してスケールするという選択肢があることをどんどん提示していきたいと思います。

キャピタリストとして働くことで、若い世代で経済のエコシステムを作れる人間がどんどん増えていき、最終的に大きなインパクトを世の中に残せたら嬉しいです。そんな社会に影響を与えられる存在でいつづけたいです。

ーーこれからがますます楽しみですね。最後に新卒でインキュベイファンドを検討している学生さんに、ぜひメッセージをお願いします。

下原:学生さんからのよくある質問に「新卒でベンチャーキャピタルに入るのはリスクではありませんか?」や「専門スキルがつかないのではありませんか」があります。確かに、ベンチャーキャピタリストという仕事は一般的な概念からすればジェネラリストです。しかしシードのベンチャーキャピタルは、シードの投資という点でそもそも特殊性が高く、他の会社に行って得られるようなスキルではできない難しさがあり、そういった意味では唯一無二性が高いキャリアじゃないかと思っています。

大手企業への就職ももちろん魅力的な選択肢だと思いますが、総合職採用が一般的な新卒採用では配属によっては全く興味のない仕事をしなければならないというリスクがあります。いわゆる配属ガチャです。

逆にベンチャーキャピタルという業界あるいはベンチャーキャピタリストという仕事が面白そうと思っていて、かつキャピタリストになれるチャンスがあるのに飛び込まないのもリスクではないでしょうか。インキュベイトファンドが面白そうと少しでも思っているのであれば挑戦してみない理由はないと思います。

弊社の壁谷も「やりたいんだったらやれば」といつも言ってますよ。

一緒に働ける日を楽しみにしています!

インキュベイトファンドでは、25卒の新卒採用を実施しています!

インキュベイトファンドでは、次世代のイノベーションの創出に取り組める人材の育成に向けて、「ベンチャーキャピタルとして独立」を目指した25卒向け新卒社員の採用を開始したことをお知らせいたします。説明会を実施しておりますので、ご興味のある方はぜひご参加ください。

<オンライン説明会会実施日程> 
https://m.incubatefund.com/media/recruitment2025
 12/26(火)17:00~18:30
 12/29(金)16:00~17:30
※各回のエントリー締切は前日12:00まで。
※説明会はオンライン開催となります。
※エントリー後、説明会参加方法について事務局よりご連絡させていただきます。

<新オフィスご招待企画>
 12/23(土)【25卒新卒向け】1Day Workshop 『GPとしてVC経営を考える』
12/23(土)【25卒新卒向け】理系院生が語るベンチャーキャピタルの魅力

Zero to Impact編集部

寄稿者

VCが運営するスタートアップ・VC業界の情報発信マガジン「Zero to Impact」を運営しています。起業家の魅力や、スタートアップへのお役立ち情報を発信します。ベンチャーキャピタル「インキュベイトファンド」が運営。

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