2018年9月28日、赤坂アークヒルズ3Fクロスオーバーラウンジにて、Incubate Fund社主催「未来のCFOについて考える」というテーマで、パネルディスカッション・懇親会が行われました。日本ベンチャーキャピタル協会によると、スタートアップ業界の資金調達額は2012年以降増加の一途を辿っている中、スタートアップにて求められる「理想のCFO像とは何か」現役スタートアップCEO、CFOが集まり議論されました。(本記事は、インキュベイトファンドのインターン生による潜入レポートです。)
スタートアップCFOが語るリアル「Financeを担う経営メンバーの一員」
最初の登壇者は、Clipline社CFOの渡辺さん。Clipline社は、「多店舗ビジネスを動画でカイゼンする」というコンセプトに、OJTをクラウドに置き換えるビジネスを行っています。Clipline社のサービスは、3600店舗、7万人が活用されており、今年3月産業革新機構らから6.1億円の資金調達を行いました。
大規模な資金調達を牽引したCFOである渡辺さんは、株式会社モブキャスト社で経営企画担当となったのを機に、財務の勉強を始め米国公認会計士を受講しました。その後、経営企画部長を経た後、グッドパッチ社へ移り初めてのCFOを務めることになりました。
渡辺さんは、CFOに対して「資金調達を取り仕切る人」「資金調達と企業価値の向上に携わる人」というイメージを持っていました。一方、0から全てを生み出すスタートアップのCFOの経験を経て、その見方は大きく変わりました。オフィスの移転や採用、時には社員合宿についてまで、広く経営イシューに向き合うCFOは、「specialistかつgeneralistである」ことが求められます。
その結果、CFOという役割において、資金調達は「ごく一部」に過ぎず、Financeに関するバックグラウンドを担った「経営メンバー」として経営に積極的に向き合うことが大きく求められているとのことです。
最後に、CFOとしてのやり甲斐について、「資金調達」といった営業、財務、採用等あらゆる経営イシューにインパクトを与える役割を担いつつ、スタートアップにおける「答えのない課題」に対してもメンバーを率いて、問題設定し、解決に取り組むことができることを挙げて下さいました。
Sli.doを活用したセッション「CFOは公認会計士を取るべきか?」
今回、「未来のCFOを考える」では、Sli.doといったサービスで随時質問を投稿して頂くサービスを活用しました!こちらで挙がった渡辺さんへの質問では、「米国公認会計士等は取っておいた方が良いのか?」といったものが挙がりました。
それに対し、渡辺さんは「資格を取らずとも、会計士の勉強等を通して専門性を掘り下げる時期はあった方が良い」と語ります。
Sli.doを活用した質問セッション(質問の確認画面)
一方で、「(会計を集中的に勉強したが、)会計を詳しくなってももっと詳しい人もいる」ため、寧ろ「スタートアップでは、問題はこれと教えてくれる人がいないから、問題設定をできるといった能力がより求められる」と語り、より広い職務に貪欲に手を出しいていくことの重要性を語りました。
渡辺氏「本来僕の仕事ではないのかなという事にも手を出していくことが大事」
インターン生目線で学べたこと
今回のイベントでは、大学生の目線で「CFOは財務関連の最高責任者」くらいのイメージしかなかった自分にとって、かなり多くを学べる会となりました!CFOというのは、ただFinance部門を取り仕切るだけでなく、経営イシューについて自らCEO達と熱い議論を交わし、社員を率いる「会社のリーダー」の一人であり、会社の経営においてとても重要なポジションだとわかりました。
個人的には、渡辺さんの「冷静さの内から滲むアツさ」の様な雰囲気が、かっこいいと思いました。自分が将来事業を立ち上げるとなった時に、CFOとして、「こういう人がいたら心強い」と感じるのはどういう人かなと考えたり、また自分自身、何か一つ強みを持ち、その上でオールラウンドに経営に貢献できる様な人材でいたいなと感じる様になりました。
以上、前編は現役CFOによる講演会のレポートでした!後編では、実際に「CFOを今すぐ欲しい」CEO達による「理想のCFO像とは何か」のパネルディスカッションをレポートしたいと思っています。