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2020/05/1

インキュベイトファンドが考えるCOVID-19によって生じる社会課題と市場機会

執筆者:

Zero to Impact編集部

背景

新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)の拡大に伴い、外部環境と密接に影響したビジネスの一部が機能しなくなったことにより、ドミノ倒しのように産業構造の転換を迫られています。

実際に私たちの投資先の多くも、コロナによって影響を受けています。 

・ポジティブな影響を受けて業績を大きく伸ばしている先
・コロナ以後の世界にポジティブな影響を与える可能性がある事業に取り組んでいるにも関わらず、短期的には業績に悪影響が出始めている先
・これまで好調なトラクションを上げてきたところにコロナの影響でブレーキがかかり、一度立ち止まって事業プランを再検討する必要が生じている先
・リアルを前提とした事業を展開しており根本から見直しを迫られている先

等、多かれ少なかれほぼ全てのスタートアップがなんらかのスピーディな変化を求められています。

このような変化に対応し、今後の世界にとって必要となる市場機会とはなんなのか、インキュベイトファンドとしての考えを明らかにすることで、新たな投資と事業創造をこれまで以上に加速していきたいと考えています。

※ 本文章に記載している投資テーマ以外にもコロナに関わる市場機会を狙った起業テーマは数多く存在していると考えており、是非そのような方もご連絡いただければと思います。また、コロナに関わる市場機会とは無関係の起業テーマに関してもこれまでと同様に投資検討しております。

コロナ下における社会のフェーズ(段階)分類

日々状況は刻々と変化しており、コロナの感染拡大の状況に応じて社会が求めるニーズやそれに伴う市場機会は柔軟に変化するため、スタートアップも自らを変化させていく必要があると考えています。

そこで私たちは、感染拡大の状況に合わせて、社会を3つのフェーズ(段階)に分類して捉えています。

 AgainstWithはほぼ同じタイミングで起きていますが、医療やテクノロジーによってコロナの感染拡大をダイレクトに防ぐ「緊急性の高い」テーマとしてのAgainst、日々の生活や経済活動をコロナに合わせて変化させる「重要性の高い」テーマとしてのWithに分類しています。

現在はAgainst/Withの真っ只中にいると認識しており、この状態をいかに短期化できるかがPostの到来の時期に直結します。

さらに、仮に日本国内におけるコロナが収束したとしても、今後も海外から再びもたらされる可能性や変異型の出現、さらなる感染症が到来するリスク等を踏まえて、Against/Withに起こった社会活動の変化はPost以後も強く根付いていくと考えています。 

各セグメントに生じている課題

 今回のコロナの感染拡大によって、日本社会のあらゆる機能および産業の課題が浮き彫りになってきました。

以下、代表的な例を挙げます。

ここからは、より具体的にそれぞれのフェーズにおいて求められるテーマを深堀りしていきます。

コロナによって求められるテーマOverview

このように、一刻も早い打ち手が求められている「短期的課題」、収束するまでに生じることが予想される「中期的課題」、そして収束後の人々の行動や市場機会の変容を踏まえた「長期的課題」など、時間軸によって、「医療」「公共・インフラ」「金融」といった各領域(=セグメント)が対面する課題は大きく変化していくと考えられます。結果として、「社会課題を解決し、新しい価値を創造する」という社会全体からみたスタートアップの役割を考えた時に、どのタイミングで起業するのかによって起業家としてトライするプラン内容も影響を受けるでしょうし、投資家として追い求めるテーマも、どの時間軸を見据えているのかによって、投資したいテーマは変わると考えられます。

私たちインキュベイトファンドはシード期を対象としたベンチャーキャピタルであり、スタートアップに最初に投資してから、そのスタートアップが社会に大きな影響を与えるまでには一定の時間を要することが多いです。そのため、「この度の市場の変化を踏まえて、シードVCとしてどのように価値創造をしていくのか」ということについて、結論からいうと、短期・中期的に発生すると考えられるAgainst/Withフェーズにおける社会のニーズに対しては、既存投資先と一緒にやれることを取り組みつつ、Against/Withのテーマの中で、以後の社会に長く根付くものや、Postに起こりうる社会課題やニーズといった長期的課題については、それらに取り組むスタートアップをゼロから立ち上げる(新規投資していく)必要があると考えています。

以下、私たちが考えているそれぞれのフェーズにおいて各セグメントで生じる社会課題と、符合する市場機会の一覧を記載します。

テーマ

ここからは、より具体的にそれぞれのフェーズにおいて求められるテーマを深堀りしていきます。

コロナによって求められるテーマ①Against

新型コロナウイルス感染症対策となり得る有効な打ち手を開発・提供することを目指す 

 テクノロジーで感染症と戦うスタートアップが該当します。

オンライン診療の初診解禁が承認された事例のように、規制緩和によって新たなソリューションを生み出しやすい環境が整いつつある領域です。一方で、人命に直結する領域であり、正確性と高い技術力が求められます。ゆえに、既に類似領域の技術や、異なる用途を想定したソリューションを保有している専門性の高いチームやスタートアップが本領域に参入しやすいと考えています。 

既存投資先の事例 - Against - 

 医療

 オンライン診療①:メドレー

 オンライン診療②:リンクウェル 

 ■公共・インフラ

人流分析:フューチャースタンダード

コロナによって求められるテーマ②With

新型コロナウイルスの感染拡大が収束するまでに生じる様々な社会課題を解決するテーマに挑む

コロナ下において生じている社会生活の変化を受けて、変化に適応するための、あるいは今までの生活維持できる仕組みを提供することに取り組んでいるスタートアップが該当します。

これまでオフラインでサービス提供することが前提だった領域に対して、スタートアップの強みである“機動力”を活かしてオンラインで誰もが簡単に利用できるプロダクトを開発することが強く求められています。

既存投資先の事例 - With -

医療

 自己予防:iCARE

 ミナカラ

公共・インフラ

電子申請:グラファー

 オンライン教育:schoo

 ジョイズ

 ビジネス

 リモートワーク:キャスター

 営業支援:ベルフェイス

 Sansan

 生活・娯楽

 自宅QOL向上:チカク

 ユアマイスター 

 イベント運営:DetonatioN Gaming

コロナによって求められるテーマ③Post

新型コロナウイルスの感染拡大が収束した後に生じる人々の行動変化や市場機会を捉えるテーマに挑む

 コロナ以後の社会を創るスタートアップが該当します。

爆発的な感染拡大が収束した後もコロナや今後起こりうる感染症と継続的に長い時間軸で付き合っていかなければいけない以上、人の移動を伴う社会活動を安全に再開できるようにするためのテクノロジーや、人の移動を伴わない社会活動をより豊かにするためのテクノロジー、そして社会活動や人の生き方そのものを再定義する必要があると考えられます。 

既存投資先の事例 - Post -

医療

 遠隔・AI医療機器:AIメディカルサービス

公共・インフラ

 都市デザイン/空間開発:ピクシーダストテクノロジーズ

 

金融

 資金調達:Crezit

ビジネス

 生産性向上:ClipLine

示唆

新型コロナウイルス感染症後の世界はこれまでの延長線という考えは捨て、変化する社会に合わせて投資領域・ビジネスモデルの双方に対して大きなアップデートをかけていくことが必要だと考えています。

産業・投資テーマのアップデート

DXイノベーション

これまで長年変化することのなかったレガシー産業に対するデジタルトランスフォーメーションが加速する

パブリックセクターイノベーション

行政・医療・インフラ等、これまで以上に社会に必要不可欠な領域にこそテクノロジーによる課題解決が求められるようになり、スタートアップにとって取り組む主要なテーマになる(一方で、Nice to haveな領域に対するニーズや大企業の予算が戻るのは一定の時間を要する)

ディープテックイノベーション

これまでは経済合理性が(労働集約的な解決解よりも)低かった先端テクノロジーが事業継続性の観点から導入検討が加速し、市場機会が開けていく

ビジネスモデルのアップデート

・スタンドアローン化(外部要因をシャットアウトし、影響を一切受けない完全オンラインの1対1サービスへと転換する)する
・コロナによる影響を考慮し、受益者(エンドユーザー)の先にいる環境や社会に配慮したプロダクトやサービスにアップデートする
・変化する環境に柔軟に対応可能な、オンライン・オフライン問わず多人数がn対nで利用することを想定した全体最適化ネットワーク(≒社会システム)を構築する

以上を踏まえて私たちは、Postコロナを見据えた新産業を創造するために、資本やデータといった基盤のないスタートアップがゼロイチで取り組めるテーマ・戦い方を日々検討・立案していきます。志のある起業家のご連絡をお待ちしています!

本レポート制作にあたって

冒頭にも記載した通り、本文章に記載している投資テーマ以外にもコロナに関わる市場機会を狙った起業テーマは数多く存在していると考えております。

本レポート制作にあたって、社内でのリサーチ・事例収集はもちろんのことですが、弊社が主催している業界横断勉強会プログラム「Blue Field Program」でも本テーマを題材にディスカッションを行ました。

▼Blue Field Programとは

詳細:http://incubatefund.com/community/blue-field-program/

今後も社内外問わず、ディスカッションしていただる方を募集しております。ぜひ今後イベントやミートアップ、勉強会でお話させてください。また、コロナに関わる市場機会とは無関係の起業テーマに関してもこれまでと同様に投資検討しております。

インキュベイトファンドへのコンタクト方法

弊社では資金調達・事業相談を希望する起業家に向けて、様々なプログラムを実施しております。

■ Circuit Meeting(半日イベント/オンライン開催)※選考あり
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・エントリー期間中(4/1-8/31)は、勉強会やイベント多数開催予定!

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Zero to Impact編集部

寄稿者

VCが運営するスタートアップ・VC業界の情報発信マガジン「Zero to Impact」を運営しています。起業家の魅力や、スタートアップへのお役立ち情報を発信します。ベンチャーキャピタル「インキュベイトファンド」が運営。

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