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2019/07/17

Incubate Camp連載企画 #4 iSGSインベストメントワークス 五嶋一人氏へキャピタリストインタビュー!

執筆者:

インキュベイトキャンプ運営事務局

こんにちは、Incubate Camp事務局です👋

 7月中盤に差し掛かりまして、インキュベイトキャンプ12thエントリー期間も残り僅かになりました。pre-seedからシリーズAの起業家の皆さまにとっては、1日で資金調達&事業のブラッシュアップもできる絶好の機会となっておりますので、是非お早めにエントリーくださいね。

 さて、IC12thにご参加いただく素敵なキャピタリストの皆さまへのインタビューシリーズ、第4弾をお届けします✊今回はiSGSインベストメントワークスの五嶋さんにお話を伺いました。

 一万字超え(!)のボリュームたっぷりインタビュー。五嶋さんのキャリアヒストリーから「肉と漫画」の話まで、必見です👀🔥

 ※過去記事も是非ご覧ください!第1弾はグロービス今野氏、第2弾はDNX倉林氏、第3弾はジェネシア・ベンチャーズ田島氏のインタビューを公開済

 編集部注)
・インタビューは2018年春に実施し、そちらを書き起こしたものになります。

【プロフィール】

銀行において主に法人融資を担当、その後ソフトバンク・ファイナンス株式会社に入社し、投資先企業の発掘・投資実行・経営支援・ファンド管理業務、及び事業子会社の立ち上げに従事。
2006年、株式会社ディー・エヌ・エー入社。同社の投資及びM&A責任者として、株式会社エアーリンク・WAPTXLTD・株式会社横浜DeNAベイスターズ等の買収、株式会社みんなのウエディングの新設分割の他、多数の投資・買収等を主導。併行して国内外企業の買収後のPMIに経営メンバーとして参画。
2014年、株式会社コロプラ入社。引き続きべンチャー投資及びM&A等に従事。同社での主な投資実績は、ランサーズ株式会社、株式会社Fablic等。
2016年6月、株式会社iSGSインベストメントワークスを設立、代表取締役 代表パートナーに就任。

500万円から2億円まで、「LifeStyle Changer」に対し、オールジャンル・オールステージに投資する

事務局:Incubate Camp連載企画、キャピタリストインタビュー。本日は、iSGSインベストメントワークスの五嶋さんにお時間いただいて、お話いただきます。五嶋さん、よろしくお願いします。

五嶋:よろしくお願いします。

事務局:早速ですが、まだ五嶋さん、もしくはiSGSさんのことをよくご存じない起業家の方々もたくさんいらっしゃるかと思いますので、ぜひこの機会に、五嶋さん自身の自己紹介をいただければと思います。

五嶋:iSGSは、現在1号ファンドを運用中の、いわゆる「独立系」のベンチャーキャピタルです。投資ジャンルは、「LifeStyle Changer:人々の生活に革新をもたらす」であるスタートアップを対象として、ジャンルやステージは問わずに投資していく、というスタイルです。実際に家具や音楽教室といった、リアルなビジネスへの投資も行っていて、ご相談をいただくのも事業領域をインターネットに限定しないスタートアップも多いと思います。

1号ファンドを組成して約2年(インタビュー時点)ですが、現在投資先は44社(20196月末現在:64社)あります。オールステージを対象としているので、金額ベースではミドル・レイターのステージへの投資が半分弱、件数ベースではシードからアーリーステージが6割強で多いです。 

事務局:オールジャンル・オールステージなので、色々おありなのかもしれないですけど、多いものであったり、金額的にはどのくらい投資されているんですか?

五嶋:これまでの実績では、最も少額の投資が500万円、一番大きな投資先で2億円です。平均を取ると、1社あたりで4,000万円くらい投資させていただいています。事業領域では、ヘルスケア、EC、教育、HR、スポーツ、エンターテイメント、飲食や住宅、農業関連など、オールジャンルの看板通り幅広い領域に投資させていただいています。BtoCでもBtoBでも、「LifeStyle Changer」となりうる事業とポテンシャルがあるスタートアップが対象です。

事務局:では、ファンドとしては本当にオールジャンル・オールステージで、会社のニーズやタイミングに沿って投資されていらっしゃるのですね。

五嶋:投資先企業の事業内容も成長ステージも様々ありますので、投資先同士の協業や、投資先企業とファンドの投資家様との協業も多く生まれています。我々3人のGPの強みを最大限に活かすという点でも、よい投資活動ができていると思います。

ベタな銀行員生活を7年半。VC転身のきっかけとは

事務局:ファンドとしての説明は今ご紹介いただいた通りなんですけど、五嶋さんご自身のキャリアヒストリーみたいなものをご紹介いただけたらと思います。 

五嶋:僕は他のキャピタリストの方と違って、基本的には落ちこぼれのキャリア人生でして(笑)。

事務局:とんでもないです。

五嶋:大学卒業して、最初に地方銀行入りまして、そこで7年半銀行員をやっていました。仕事としては、支店の銀行員として、入行して1年は出納係としてひたすら現金を数え続け(笑)、2年目は半年ほど窓口に座らせて頂き(笑)、その次は集金外交で例えば180軒、田植えをしているおばちゃんや大学の先生のところへ職場訪問して定期積み立ての集金して回ったりATMの修理をしたり(笑)。3年目くらいから融資担当として住宅ローンや教育ローン、自動車ローンを担当させて頂き、そこから法人融資で最初は保証協会の制度融資から入って、プロパー融資をやらせていただくまで、ずいぶん長かった気がいまでもします(笑)。そういったベタベタの銀行員を30歳までやらせていただきました。

その後、当時ソフトバンクグループでベンチャー投資を担っていたソフトバンク・インベストメント(現:SBIホールディングス)というベンチャーキャピタルに移ります。ベンチャーキャピタルに移ったつもりだったんですが、北尾吉孝さん(現:SBIホールディングス代表取締役執行役員社長)との面談で、「五嶋くん、銀行員だったら住宅ローン分かるやろ」ということで(笑)、最初に住宅ローン会社の立ち上げを1年半ほどやらせていただきました。そこは本当に0に近い状態からやらせていただき、当時はかなりしんどかったですが(笑)、いまになってみてものすごく良い経験をさせていただいたと思っています。

その後に、ベンチャーキャピタル部門に移りまして、ちょうどそれが2001年から2006年の間だったので、業界としてはライブドア事件があるなど、これも当時は大変でしたが(笑)、とても面白く、良い時期だったと思います。ソフトバンク・インベストメント自体も、そのとき1,500億円という、当時の日本では最大規模のベンチャーキャピタルファンドを運営していて、運用総額は2,000億円を超えていて、とにかく投資件数もめちゃくちゃ多かった。1年の新規投資が100件以上とかあったったんじゃないですかね?

事務局:すごいですね。

五嶋:自分自身はベンチャー企業への投資・売却の交渉と契約、株主総会決議、あるいはファンドの投資家様とのIRやファンドレイズ、ファンドクローズなどのオペレーションが集約されるポジションでしたので、とにかく扱わせていただく件数も膨大、事例のバリエーションも膨大で、これは本当にものすごく力をつけさせていただいた期間ですね。

これまたけっこう仕事的にはめちゃくちゃキツかったんですが(笑)、ここまで銀行でデット・ファイナンス、ベンチャーキャピタルでエクイティ・ファイナンスを経験させていただいて、将来こうなりたいという目的があったわけではないんですが(笑)、 やはり事業会社でコーポレート・ファイナンスを経験したいなと考え、DeNAに入社させていただきました。当時のDeNAはまだeコマースだけの会社だったんですが、そこで投資とM&Aの責任者を7年半やらせていただきました。M&Aではいわゆる「買い手側」ですね。DeNAの最初のM&Aだった旅行代理店の買収、結局3社買収して、合併させたり。国内だけでなくシリコンバレーの会社もあれば、中国の会社もありました。中国の会社は買収後に代表として2年弱、中国での事業も経験させていただきました。その他ではやっぱり世間的に大きなインパクトがあったのが横浜ベイスターズの買収ですね。

その後、ゲーム会社のコロプラさんに移りまして、そこでも2年弱くらい、投資とM&Aをやらせていただきました。その後にiSGSの立ち上げをやらせていただいて、当初のiSGSとは別法人の新会社として現在のiSGSを設立し、完全に独立したベンチャーキャピタルファンドとして、無事に1号ファンドも組成でき、現在運営させていただいています。 

事務局:ありがとうございます。一番最初にベンチャーキャピタルをやりたいと思ったタイミングが銀行員時代になってくる?

五嶋:そうです。

事務局:キャリアの中で立場が変わりつつも、ベンチャー投資に関わり続けていらっしゃる理由みたいなところって、どういうところですか?五嶋さんの場合は。

五嶋:当時で言う「ITベンチャー」を知ったきっかけは、1995年の終わりにWindows95がでて、1996年にヤフージャパンがサービスインして、1997年にインターネット常時接続サービスが月額4万円くらいで始まって、といったなかで、銀行員時代に週刊ダイアモンドを読んでいたら、ITベンチャーっていう言葉が出始めてたのって98年くらいですかね?、名前も聞いたことないような地方の小さい会社に、東大卒とかの秀才が集結して、テクノロジーで世界と勝負してるみたいな記事があって。地方銀行でIT関連といえば当時はNRIのデータ入力代行の発注書みて運転資金を融資させていただく、くらいの接点しかなかった(笑)。でも当時からインターネット大好き人間だった僕はそれを見てすごく衝撃を受けて。これは本当に面白いなとずっと心に残っていたのと、同じような時期に、ソフトバンクが今とはまた全然違う雰囲気でものすごく活発に国内外で投資をしていて。ベンチャーとよばれる企業があって、ベンチャーに投資してる会社があって、そういう世界があるのだなと。

そういった中で、ITバブルみたいなのがバーッと来て、僕も銀行を辞めるのになかなか時間が掛かって、そうこうしている間にITバブルが崩壊しました。そこでどうなるか分からないと思いながらも転職活動をするために銀行を辞めて、その上でソフトバンクの門を叩いたら、あっさり入れちゃったっていう(笑)。いまになって思えば、当時のソフトバンクはYahoo! BBをスタートしたばかりで、あらゆるメディアで連日のように「ソフトバンクは潰れる」のように報道されていて(笑)、希望者は全員採用されてたっていう噂があったくらいの時期だったので(笑)。

そういうご縁をいただいたきっかけで、ベンチャー投資に直接関わらせていただくと、めちゃくちゃ面白いし、魂を燃焼させられるし、これはもう辞める理由が無いので(笑)、それで今までずっとやらせていただけていると思いますね。

事業会社でM&A担当だった経験が今に活きている

事務局:ソフトバンクグループの中でってことでいうと、そこからだと今、十何年目になるんですか?

五嶋:18年目(※2018年当時)ですね。

事務局:ですね。18年の中で、いろんなことがあった中で、続けていこうであったり、独立して、独立したベンチャーキャピタルで始めようと思われて、というところだったりっていうのは、今、どんなモチベーションで日々やっていらっしゃるんですか。醍醐味みたいなところをぜひ、お話いただきたいなと思うんですけど。

五嶋:醍醐味ね〜。分かんないっすね(笑)。

事務局:なるほど。

五嶋:っていうのは、やっぱり、ベンチャーキャピタルって金融の仕事で、金融の仕事って、必死にやればやるほど、なかなかそれに見合った醍醐味を日常的に、あるいは頻繁に得るって、なかなかないんじゃないかと思います。承認欲求が満たされるかというと、満たされるべきではないと思ってますし、感謝されるかっていうと、感謝されない場面の方がやっぱり多くて(笑)。投資した瞬間や融資をした瞬間はとても感謝していただくんですが、その瞬間の感情って、あたりまえですが時間を追うごとに二次曲線的に薄れてきて。しまいには割とジャマなんじゃないか(笑)くらいになったり(笑)。だからこそ、投資の価値を最大化するためにも、僕らは投資して以降も起業家にとって価値ある者であり続けなければならない。とはいえそのための努力や労力がキャピタル・ゲインといった定量的なものだったり、起業家からの感謝や自己達成感といった定性的なもので頻繁に報われるかと言うと、そんな機会は滅多にないわけで(笑)。ベンチャーキャピタルの仕事は、必死にやればやるほど、わかりやすい短期的なモチベーションというと難しい。でも、やはりたくさんの優秀な人たち、熱量の高い人たち、それは起業家の方だったり、投資家の方だったりと、成功や失敗を共有できるということが面白いし、飽きない。やっぱりそこは面白いところですね。

事務局:なるほど。面白さや難しさも両方ある中で、キャピタリストとしての五嶋さんの得意技というか必殺技。殺す必要は無いんですけれども。こういう場面になったら、任せい。こういうとこだったら呼んでくれい。みたいな感じなところを教えていただければと。

五嶋:得意技。僕、自分は嫌いなんですけど、契約書とか見るのはすごい得意なので。

事務局:嫌いなんです?

五嶋:嫌いです(笑)。見なくて済むのであれば、そりゃ見たくないんです(笑)。ただ、これまでのキャリアで当事者として量も種類も膨大な契約書類を読み込んできて、それはもう相対的に強くないとアカン、というのはありますよね(笑)。ベンチャーキャピタルの仕事だったり、会社経営をやっていく上での会社法だったり、税務だったり。特に税金の部分って、そこにアンテナが立たない起業家の方、あるいは投資家の方でも意外と多いのかなという気がしています。

あと、交渉ごとは強いと言っていただくことがありますが、自分では実感はないです。ただ単に怖いだけだって話もよくあるんですけど、ぜんぜん怖くないという自信はあります(笑)。

事務局:交渉の当事者として、これまでも逆側にも。 

五嶋:そうなんですよね。インターネットの事業会社で、いわゆるM&Aをさせていただく側として結構長くやってきたので、彼らの意思決定のプロセスだったりとか、勘所だったりとかはある程度押さえてるかな、と思います。そういう場面では色々ご相談いただけると役に立つこと多いんじゃないかなと思います。

あと、個人的にはスポーツとかエンターテイメント、アニメとか、ゲームとか。そういういわゆるサブカルチャー的な領域がすごく好きなので、そういうところの起業家の方々であれば話すと楽しいんじゃないかなと。

事務局:なるほど。話が合って。

五嶋:話が合うんじゃないかなと。 

事務局:じゃあその上で、資本政策の話をしようか、と。

五嶋:そうです(笑)。 

事務局:なるほど。

金融のプロとして、上場までサポートする

事務局:事務局が個人的に勝手に注目してるのが、CFOの方をお招きしたCFO勉強会をやってらっしゃったりもすると思うんですけど。iSGSさんっていうチームだったり、五嶋さんっていう個のキャピタリストの得意分野なテーマの勉強会だと思うんですけど。ああいうのってどういうことをお話されていらっしゃるんですか。 

五嶋:そこで言うと、CFO勉強会って、まだ年に1回か2回くらいなので、もうちょっと増やしていきたいなと思っていて(2019年より渋谷に2拠点目のオフィスを開設し、勉強会やイベントを頻繁に開催する予定)。CFOって、実は定義がCXOの中で、一番曖昧なんですよね。経理部門のヘッドみたいな方がCFOとしてなられてる場合もあれば、副社長だったりとか、CEOに近い方がCFOっておっしゃってる場合もあったりして。「会社が大きくなってきたら、最低限こういうことをやらないといけない」という基礎の部分と、「そこで止まっていたら絶対にダメで、こういう風に領域を広げていかないといけない」という株式上場に向けてのインプットを行なっています。ベンチャーの方々にとって、株式上場がブラックボックス過ぎるので、こんな書類作ってますっていうところまで、一部見せたりとか。それは、1の部、2の部って話だけではなくて、僕だったり、代表パートナー3人のうちの1人の菅原だったりが長年経験してる中で、証券会社さんとのコミュニケーションは、こうやって管理してましたというExcelとか。

事務局:いやあ、本当ね。欲しいですね。

五嶋:実物も一応、お見せしてるような感じですね。あと、個別に投資先の中で、必要ならばということで、CFOの方々に個別メンタリングをやっています。僕と菅原の2人と、CFOの方で、大体朝の8時とか8時半から、月に1回とかで2時間くらい、お悩み相談ではないですけど、今こういう風になっていて、ここどうしたら良いのかな、みたいな話を、雑談も交えて割と時間取ってやらせていただいてます。これは結構評判が良い気がするので、より拡大していければなと思っていますね。

事務局:なるほど。ありがとうございます。

五嶋さんが惹かれる起業家像

事務局:チームのみなさんの力を結集して支援していらっしゃるのですね。投資に関して、オールラウンド・オールジャンルでいらっしゃるので、色々あるのかもしれないですけど、「あえて言うと、例えばこういう起業家の方と出会いたい」みたいな、好きな起業家とか会社のタイプってあるんですか?

五嶋:そうですね。人柄的にはやっぱり、熱量が圧倒的に高い人というのが1つ。スタートアップに足りないものはあって当たり前で、完璧な起業家やチームなんてないと思っています。その足りない部分は、その後の採用であったり、我々投資家が協力して補っていけばいいんです。ただ「熱量」だけは、これは我々に補い得るものではないですよね、一時的にモチベーションが下がってしまった起業家をサポートすることはできたとしても、ベースにある「熱量」は誰にも補えないですから。

事業の進め方でいくと、手数が多い起業家が好きですね。いろんなことを次々次々とチャレンジしていく。失敗したら、上手くいきませんでした、その理由を分析した結果こうなので、次はこういう手を打ちます、と、手数をともかくどんどんどんどん動かしていくタイプの方が、僕たちには合うのかな、という気はしてます。あと、数字ベースで語れる起業家は、すごく良いなと思っていて。そこは、数字が正しいか、正しくないかという議論は別に置いておいても、数字ベースで色々説明しようとする性格の起業家の方は、僕は合うのかな、という気はしてますね。

あと、最近「泥テック(DORO-TECH)」という言葉を勝手に作って個人的に使い始めたんですが(笑)、「泥臭さ+テクノロジー」で大きなことに挑戦し続ける方、愚直に、真面目に、地道に、挫けずに、いい意味で「泥臭く」動き続ける起業家の方は、好きというか尊敬と憧れですね(笑)。 

事務局:今、投資していらっしゃる方でも良いんですけど、会社名、挙げていただいても、伏せていただいても結構なんですが、印象的だった投資先の方々とのやりとりみたいなものってありますか?

五嶋:そうですね。でも、それこそIncubate Fundさんとご一緒させていただいたGateboxさんなんかは。

事務局:はい。Incubate Campにも。

五嶋:Incubate Campにも来られていて。僕、Gateboxさん、Gateboxができる前から。武地さんが鳥を出す前からやりとりしていて。Incubate Fundさんのお力で、現在のGateboxに辿り着くってタイミングで僕らも参加させていただいて。一貫して、代表の武地さんは愛すべき人柄ですよね。彼は数字で語るタイプだし、熱量は圧倒的だし、泥臭く動き続けられる方で。

※編集部注)同社が現在のGateboxを作る前に取り組んでいた鳥型のIoTプロダクト

事務局:そうですね。 

五嶋:やっぱり、彼は手数も多いんですよね。

事務局:多いですね。

五嶋:素晴らしい起業家だな、と今でも思ってますね。あと、iSGSの投資先でいくと、会社を設立してすぐ僕らがファーストインベスターで入るみたいなこともやらせていただいているのですが、そういうところはやっぱりひとつひとつ、全部印象的で思い入れがありますね。

あと、やっぱり一緒に考えてきたというところで言えば、例えばリンクスポーツっていう、これも割と長くやっているスポーツベンチャーなんですけれども。4年前くらいに出会って、投資させていただいたのは去年(※2017年)の後半なんですけど、僕らとのディスカッションの中で、そもそもやりたかった事業に挑戦して、そこに僕らが投資させていただくという形なので、やっぱり印象にあるし、本当に頑張って貰わないと困る(笑)という感じですね。

ベンチャーキャピタルはランナーではなく伴走者 

事務局:これはしないようにしているとか、言わないようにしているとか、NG行動みたいなこととかって、五嶋さんの心の中で、持っていらっしゃるものとかあるんですか? 

五嶋:言わないようにしていること? 

事務局:大事にしてることというか。

五嶋:そうですね。僕らは基本的に金融であって、金融におけるベンチャーキャピタルが成すべき最大の機能っていうのは、やっぱりファンドの投資家様からお預かりした資金から、スタートアップに資金を供給することなんですよね。そのリターンを最大化するためにいろんなサポートだったりアシストとかがあると思っているので、良い意味ですべてにおいて出過ぎないようにしています。やっぱり、起業家の方が主であって、僕らは従であって、あくまでもランナーではなくて、伴走者だし。演者じゃなくて黒子だし、というところは意識してます。

あとやっぱり、フラットなコミュニケーション。僕が年齢だったり、学歴だったり、肩書だったり、そういうところで人を区別することがそもそも苦手な人間で。性別もそう。女性だから有利だ、不利だって、社会にはそういうことは残念ながら存在するのでしょうが、少なくとも僕らとのコミュニケーションの中ではありません。それは、学生もそうだし、逆に言うと、年を取ってるからもそうなんですよね。だから、学生だから甘くすることもないし。逆に、学生だから厳しくすることもない。それは年を取ってるから、というのも同じです。ベンチャーの良いところって、そういう属性に関係なく勝負できる、あるいは勝負を強いられる(笑)、というところだったはずなんです。

事務局:すごくフラットにお話をする。そういうところっていうのは大事にしようという。ありがとうございます。五嶋さんのキャピタリストとしての目標というか、こういうことを成し遂げたいっていうのがもしありましたら、ご紹介いただければなと思います。

五嶋:ファンドをお預かりしている立場なので、まず、お預かりしているファンドに関しては、とにかくしっかりとリターンをお戻しすること、それはもう当然のことで、ベンチャーキャピタルとしてボトムのところだと思っています。

iSGSとしては、代表パートナー3人でやっていて、もうちょっとパートナーを増やしたいですね、Incubate Fundさんを見習いながら(笑)。

仲良しこよしチームではなく、信頼できる仲間と切磋琢磨するチームにしていきたいです。個人的には、そんなにお金を使うタイプでもなく、名誉が欲しいというタイプでもないはずなので(笑)、20年後とかはどこか山奥でひとり淡々と平和に暮らせてると良いなと。 

事務局:禅に入るみたいな。

五嶋:できることならば。あ、肉とお酒とインターネットがないと死ぬので禅はダメですね(笑)

事務局:ありがとうございます。

肉と「湾岸ミッドナイト」

事務局:ここから、五嶋さんの人となりみたいなものをお伝えできる時間をぜひ作っていきたいなと思ってまして。事務局の勝手な主観でテーマを決めていくと、肉とベンチャーキャピタルと私、みたいなテーマとか。五嶋さんといえばやっぱり肉みたいな感じがソーシャル上でも出てますけど。肉って、仕事の上というか、私生活の上で、どういう意味で大事なものとして?

五嶋:人間、肉さえ食ベて入れば死なないはずなので(笑)。 

事務局:すごい。本質的な。 

五嶋:だって農耕が無かった時代は、基本狩りで生きてきたわけです、ホモ・サピエンス20万年の歴史のうち19万年は狩猟と採取(笑)。寿命の長短は別にして、美味しくて、手軽で良いんじゃないですかね。 

事務局:最近ハマってらっしゃるお肉とか、部位とか、お店とか、そういうのってありますか?

五嶋:ずっとしゃぶしゃぶ食べ放題を一人で行くっていうのをすごいやっていて。

事務局:温野菜さんとかじゃなくて、もっとこう? 

五嶋:「しゃぶ葉」っていうのがあって、都内だと渋谷のスクランブル交差点にあるんですけど。いま若手の子だと、温野菜とか、モーパラとか行ったりするんですけど、僕の中では時代は完全にしゃぶ葉ですね(笑)。野菜はビュッフェ方式で取り放題っていうのがいいです、そして安い(笑)。

事務局:しゃぶ葉ですか。なるほど。実際、しゃぶ葉にチームのみなさんでとか?

五嶋:僕だけですね。常に一人ですね。 

事務局:一人肉をしていく上での秘訣というか、しゃぶ葉での神髄みたいなものは?

五嶋:しゃぶしゃぶ、煮るんで秘訣とかないんですよね(笑)。焦げたりしないので、やっぱり焼くより楽ですよね(笑)。左手にスマホでKindle、右手に箸で食べまくる(笑)。目と口からインプットをやり続けて、「あー今日も1日失敗ばっかりだったな〜」と思いながら(笑)。

 事務局:やっぱり、死なないことが一番大事だし、みたいな。

五嶋:大事です。しゃぶしゃぶなら野菜も採れる。起業家もベンチャーキャピタルも、健康でさえあればどうにかなるはず(笑)。

事務局:投資先との肉コミュニケーションとか何かあったりとかは? 

五嶋:それこそ、投資先のみなさまだったりとか、ファンドに投資していただいているLPさんだったりとか、一緒にお食事となると基本「肉で」って言っていただくので、楽ですね。

事務局:シンボルとしての肉みたいな。

五嶋:期待値が肉1本なので、ある意味では楽です(笑)。僕、もともと一人でごはん食べるのがすごく多くて。ビジネスタイムはずっと人と会ってるし、夜もほとんど会食になるので、それ以外の時間はなるべく、一人安らかに孤独のグルメ的なのが良いなと。 

事務局:そうやって、お友達にKindleが居るってその状態が、すごくストイックで。

五嶋:ひたすらKindleですね。本って漫画しか読まないんですが(笑)。

事務局:本当ですか?バイブルになってらっしゃる好きな漫画ってありますか。コンテンツについて明るい五嶋さんならではのお気に入りみたいなのをご紹介いただけたら。

五嶋:漫画はですね・・・・、これ言うと非難囂々なんですけど、ベンチャーキャピタリストが読むべき漫画は「ONE PIECE」や「キングダム」より、まず「湾岸ミッドナイト」だろうと(笑)。

首都高を改造車で走りまくるっていう、全42巻と続編が12巻出てる漫画なんですが、これをもうベンチャーキャピタリストというか全大人が読むべきだと思っていて。

事務局:本当ですか? 

五嶋:全42巻の中で、前半はまあクルマ中心なんですが、中盤以降は昭和のおじさんたちが車の走ってないところで淡々と人生を語る、っていう謎の漫画なんですけど(笑)。極まれに秀逸な台詞というかポエムが散りばめられていて(笑)。全42巻の後半部分、続編の12巻は、至高の名言が散りばめられている漫画なので、我慢して全巻読んでいただきたいですね(笑)。 

事務局:さすがです。感動しました。

インキュベイトキャンプに参加する方法

それでは、この感動の涙と汗の一泊二日間、インキュベイトキャンプに参加する為にはどうしたらいいのでしょう。

他のメンタリングイベント同様、インキュベイトキャンプにも一定の参加基準があります。

*ご参加対象
・プロダクトローンチ済みで、数千万円~億円規模の資金調達をしたい起業家
・プロダクト完成前で、市場規模1兆円超の巨大市場を目指している起業家
・登記前で、代表が35歳以下のスタートアップ起業家
・Incubate Campに興味のある起業家

上記をクリアしている場合、直接キャンプへ応募してみましょう!

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寄稿者

本気で資金調達を目指すシード/アーリーステージ起業家のための、起業家/投資家合同経営合宿「インキュベイトキャンプ」を運営。

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