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2018/11/1

4人のSEED VCが語る!共闘するベンチャーキャピタリスト達から見た、スタートアップの現実

1025日、六本木アークヒルズ3Fにて、シード期(創業初期)のスタートアップへの投資を主戦場とするベンチャーキャピタリストが4名集結し、「スタートアップシーンのリアル」をお話するトークイベントが行われました。昨今、シードに特化したベンチャーキャピタリストが増えていますが、各社どのような特色があるのでしょうか?パネルディスカッションを通して、熱い思いを持ったキャピタリストの思いを浮き彫りにしていきたいと思います。(本記事は、インキュベイトファンドのインターン生による潜入レポートです。)

創業初期から投資を行う、Pre-Seed/Seed VCのリアルとは?

今回登壇して頂いたのは、シードVCとして独立し、日々起業家と奮闘中のパートナーの方達です。まずは4名の方々より、参加起業家に向けて、「どんなファンドを運営しているのか?」についてのリバースピッチをして頂きました。 

1人目は、「起業家」と「投資家」という2つの顔を持つ、ソラシードスタートアップスタジオの柴田氏です。柴田氏は、Incubate Fund社の主宰するIncubate Campにて起業家として出場し、そこでの高いパフォーマンスから「VCをやらないか」と言われたのをきっかけにVCになりました。新卒で入った会社で、10年目の上司が自分と全く同じ業務をしているのを見た際、「めまいを覚え」、その後パイオニアとしての道を模索し続けたと言います。柴田氏は、2017年に『フォーブス』誌が選ぶ「日本で最も影響力のあるベンチャー投資家ランキング」で6位に選出されました。

 2人目は、リスクのあるシードVCながら投資先を10社に絞り、投資先の経営に深く関わる「フルコミット投資」を信条として掲げるFull Commit Partnersの山田氏です。山田氏は、グリー社の社長室/財務戦略部でコーポレート業務に従事していた際、事業が落ち込んでいる時の無力さから、「売り上げを作れる」様になりたいと思い、「事業を創るファンド」に関心を持ち、VCになったと言います。

3人目は、宇宙ベンチャーで世界初、シリーズA100億円調達したispace資金調達の影の立役者でもあるLifetime Venturesの木村氏です。「軍師になりたい」と小さい頃から思っていた木村氏は、一度キャリアとしてコンサルタントとなります。一方で、コンサルタントして経験した、意思決定が複雑な大企業への提案は「想像していた軍師」のイメージ像と異なり、VCなら「よりシンプルな」意思決定に携われるのではないかと考え、業界に入ってきました。

 4人目は、大学院まで物理学を修め、グローバルに日本・米国・イスラエル・シンガポール・ニュージーランドといった国の「科学技術の力で世界を良くしたい」といったビジョンを掲げるIDATEN Venturesの足立氏です。VCとなる前は、「キャピタリストは手に届かない存在」だと思っていた足立氏ですが、某ベンチャーキャピタルとの出会いをきっかけで、「面白い技術を起業家と共に実現する」ことができるキャピタリストを目指すようになりました。

 出資先を決める際に重視していること

 4人のキャピタリストで共通している要素は、人柄に関するものでした。山田氏は、情熱・コミットメント・推進力(人を巻き込む力)、知見などを確認する要素として挙げており、「夢を応援したいと思えるか」が大事であると述べています。

 出資先を「ものづくりやものはこびを支える技術やサービス」に特化している足立氏は、「アジェンダの大きさ」を一番に見ていると述べます。また、まだ誰も気づいていない「潜在的なニーズ」を捉えたアイデアを持っているか、「この人に巻き込まれたいな」と感じられる様な人柄であるかなども見ているとのことです。

 VCとしてこれまで経験した困難

4人が挙げた中で共通したのは「人」に関するものでした。柴田氏は事業における困難は、苦難と感じない一方で、「約束を破られる」ことや「裏切られる」ことは辛く感じると述べています。

 足立氏は、「シードやエンジェルレベルの投資は人に投資するもの」と考えており、「ピカピカの事業プラン」に「過去の経歴も素晴らしい人」に出資したことがあったが、半年後競合がより上手くやっていたのを見て、経営者の心が折れてしまったことがあったと言います。そういった経験から、「プランに愛着を持ち、固執し過ぎる」リスクや、「アジェンダレベルで事業を見る」重要さなどを学んだと述べました。

 木村氏は、ベンチャーキャピタリストのHard Thingsとして、投資先のコアメンバーが辞めたことに対して深く傷つく経営者を側で支える瞬間を挙げました。また他にも、自分たちが提案したアイデアが投資先にマッチしておらず、困惑させてしまったことなども失敗談として語りました。

 起業志望の人で、具体的なアイデアをまだ持っていない人をどう支援するか

ノンアイデアである起業志望の若者に対するVCの対応は多様です。例えば足立氏は、「アジェンダを持った人に張るタイプ」として、起業に際する信念を植え付けるのは自らの仕事ではないと語りました。

 一方で、起業家と投資家の2つの顔を掛け持つ柴田氏は、常に「20~30くらいの事業アイデアをストック」しており、その中でも「この事業は適任者いたら」と探し、起業志望の人の熱量や、バックグラウンドに応じて事業アイデアを投げていくスタイルで投資を行っています。

 柴田氏は「偉大な会社を作りたい/世界で戦いたい」or「早くバイアウトしたい」という2つのビジョンの中で、より後者を重視し、まずは「一緒ににやって、実績を作り、スタートアップのやり方を学んだ」上で、「やりたいことを見つけて、次のステージで頑張る」土台になりたいと述べています。また、起業の際に生じる、収入の減少への不安等へのアプローチとして、年収保証なども行い、より起業しやすい環境を整える大事さなどを語りました。

 木村氏も、事業アイデアをストックする中で、相手を選ぶ際は、「MissionVisionPassion」の中でもよりPassion(熱意)を集中的に掘り下げ、何がその人の動機の根源にあるのか見極めることを重視しており、「嘘をつかず、熱意を出し切って欲しい」と述べました。

座談会

パネルディスカッション後は、参加したGPに加えIncubate Fund社の社員と参加者による相談会と、参加者によるネットワーキングが行われました。

 今回の参加者は大学生から社会人と、バックグラウンドが多様な人達が、互いに知らない世界を共有できる場としてとても良い会となった様です。アンケートによると、起業を考えている方達にとっては、シードVCのビジョンや雰囲気をより身近に感じることができたという意見が多く、また投資基準や人の見極め方に関しても多くの共感を生みました。

 また、柴田氏の「新たなVCのあり方」「新たな起業家のあり方」に関して、関心を持ったという人の意見も数多く散見され、各々がそれぞれの視点を持って学ぶことがあった会になりました。

 

インターン生目線での感想

夏前まで、スタートアップについてほとんど無知であった自分ですが、こうしたイベントを通して、「自分の知らない世界」に触れられることがとても貴重だと常に感じています。就活の際には、「スタートアップに就職なんてどうにかしている」とまで言われる業界の一方で、人の熱さや、各々が少なからず「自分のビジョン」を持っている世界観には、「世間が認める企業」を目指す「冷めた」様な世界観と相対する考え方があり、とても興味深いなと感じております。

 蛇足ですが、今回Partner Fundの出演者の方に、レポートの内容について多くコメントを頂き、とても勉強になりました。スタートアップと共に闘い、成長させるというGPの方々の、「温かさ」を個人的にも感じることができました。また、イベントの潜入レポを書いていきたいと思います!

最後となりましたが、社会人やスタートアップの経営者に宛てたイベントに特別に参加でき、また意欲によっては現場やミーティングへ参加できるインターンシップをしたいという方は、是非一緒にインターンに参加しましょう!(※編集部注:現在はインターンの新規募集は行っておりません。2020/07/20)

Zero to Impact編集部

寄稿者

VCが運営するスタートアップ・VC業界の情報発信マガジン「Zero to Impact」を運営しています。起業家の魅力や、スタートアップへのお役立ち情報を発信します。ベンチャーキャピタル「インキュベイトファンド」が運営。

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